119 / 146
3章 7人の婚約者編
7人目
しおりを挟む
俺はメルさんをお姫様抱っこした状態で家まで歩く。
「ねぇカミト」
「なんですか?」
「私の過去を話したいのだけど、聞いてくれる?」
私の過去とは男嫌いとなった原因のことだろう。
「もちろんです。大好きなメルさんのことは全て知りたいので」
「もう。調子良いこと言っちゃって」
俺の言葉にメルさんが嬉しそうな顔をする。
「なら全部話すわ。私が男嫌いになった原因を」
そう言ってメルさんが語り出した。
「私が10歳でサヤが5歳の頃。私の家に1人の冒険者が不法侵入してきたわ。お母さんが家に結界を張ってたけど結界を破ることができるくらい強い男が」
まだ小さかったメルさんとサヤを残して家を出る際は必ず強力な結界を家に張っており、その日までは襲撃に遭うことはなかったらしい。
「その男はお母さんによって冒険者資格を剥奪されて2度と冒険者として活動できなくなったの。その恨みを私たち娘に向けた」
男は強引に結界を破って家に入った後、メルさんとサヤを襲った。
その時、メルさんの機転でサヤは物置きに身を潜めることができたが、メルさんは男に捕まり拘束された。
「男は私にお母さんの恨みを口にした。そして私に何度も何度も攻撃をした。口から血を吐いても全く止める気配は無かった」
「っ!」
俺は無意識のうちに握り拳を作る。
「私は何度も何度も攻撃に耐えた。サヤに危害が加わらないよう痛いのを我慢して」
以前、S級ダンジョン『奈落』の攻略でメルさんが黒騎士のスキルを喰らって悪夢を見せられていた時、『奴隷にもなる!何でもする!だから妹には手を出さないで!』と叫んでいた。
(メルさんはサヤを守るために必死になって男のサンドバッグになってたんだ)
「どれくらい殴られたかは覚えてないけど、気づいたらお母さんが私の身体を抱きしめてた。そして男が血まみれで倒れていた」
「そうですか……」
ちなみに男はソフィアさんが殺したらしい。
「その日以降、私は男と顔を合わせることもできなくなった。そして気づけば男と話すのもできないくらい男嫌いになったわ」
そこでメルさんが口を閉じる。
昔を思い出したためか、心なしかメルさんの表情は暗い。
「ありがとうございます。話してくれて」
「私が話したかっただけよ。だからそんな悲しそうな顔をしないで。私は今、幸せなんだから」
そう言ってメルさんが微笑む。
「分かりました。なら一言だけ言わせてください。俺は絶対、メルさんを傷つけたりしませんから」
「知ってるわよ。だから私はカミトのことが好きになったわ」
婚約者となってからツンツンの部分がカケラも見られず、普通に好きと言ってくれる。
「これからよろしくね、カミト」
「こちらこそよろしくお願いします、メルさん」
そう言って俺たちは微笑んだ。
メルさんをお姫様抱っこした状態で家に帰り着き、メルさんを地面に降ろす。
ちなみに帰る道中、俺がメルさんをお姫様抱っこしていることにすれ違う人たち全員が驚いていた。
「たくさんの人たちを驚かせましたね」
「気にしなくて良いわよ。どうせすぐにもっと驚くニュースが広まるのだから」
「ははっ!確かにそうですね」
俺とメルさんの婚約が決まれば世間を騒がせるはず。
「そのためにはリーシャたちから許可をもらわないといけませんね」
「えぇ。リーシャたちが私とカミトの婚約に反対したら諦めるわ。でも、そうならないでほしいわね」
緊張した面持ちのメルさんだが、俺は大丈夫だと思ってる。
(おそらくだが未来の7人目はメルさんのような気がする。だから未来通り、メルさんとは婚約できるはずだ)
そんなことを思いつつ俺は玄関の扉を開ける。
「ただいま~」
「あ、おかえりー!」
俺の帰宅にクレアが1番に駆け寄ってくる。
そしてクレアに続くように続々と婚約者たちが玄関に集まってきた。
ルーリエさんも集まっていることから、ソフィアさんとの話は俺たちがのんびり帰っている間に終わったようだ。
「メル様、ご無事で安心しました。サヤ様ならメル様の無事を聞いて安心したようで、わたくしの部屋で眠ってますわ」
「そう。なら起きた時に顔を見せるわ」
そうメルさんが返事をした後、真剣な表情をする。
「みんなに報告とお願いがあるわ」
との前置きをした後、メルさんが口を開く。
「私はカミトのことが好き。だから私も婚約者の1人にしてください」
「俺もメルさんのことをリーシャたちと同じくらい愛してる。だからメルさんとも婚約させてほしい」
俺たちは真っ直ぐな目でリーシャたちに伝える。
すると…
「やっぱり最後の1人はメル様でしたわ」
「うんうん。想像通りだったね」
「ん、すごく嬉しい」
「これでメルさんもユメたちと一緒にカミトさんを支えることができますね!」
等々、婚約者6人が俺たちの婚約を祝福してくれる。
「ありがとう、みんな」
その様子に嬉しさが込み上げたのか、メルさんが目を潤ませながら感謝を口にする。
「これで7人揃ったね!お兄ちゃん!」
「そうだな。クレアも仲良くしてくれよ?」
「もちろんだよ!」
こうしてメルさんが俺の婚約者となった。
「ねぇカミト」
「なんですか?」
「私の過去を話したいのだけど、聞いてくれる?」
私の過去とは男嫌いとなった原因のことだろう。
「もちろんです。大好きなメルさんのことは全て知りたいので」
「もう。調子良いこと言っちゃって」
俺の言葉にメルさんが嬉しそうな顔をする。
「なら全部話すわ。私が男嫌いになった原因を」
そう言ってメルさんが語り出した。
「私が10歳でサヤが5歳の頃。私の家に1人の冒険者が不法侵入してきたわ。お母さんが家に結界を張ってたけど結界を破ることができるくらい強い男が」
まだ小さかったメルさんとサヤを残して家を出る際は必ず強力な結界を家に張っており、その日までは襲撃に遭うことはなかったらしい。
「その男はお母さんによって冒険者資格を剥奪されて2度と冒険者として活動できなくなったの。その恨みを私たち娘に向けた」
男は強引に結界を破って家に入った後、メルさんとサヤを襲った。
その時、メルさんの機転でサヤは物置きに身を潜めることができたが、メルさんは男に捕まり拘束された。
「男は私にお母さんの恨みを口にした。そして私に何度も何度も攻撃をした。口から血を吐いても全く止める気配は無かった」
「っ!」
俺は無意識のうちに握り拳を作る。
「私は何度も何度も攻撃に耐えた。サヤに危害が加わらないよう痛いのを我慢して」
以前、S級ダンジョン『奈落』の攻略でメルさんが黒騎士のスキルを喰らって悪夢を見せられていた時、『奴隷にもなる!何でもする!だから妹には手を出さないで!』と叫んでいた。
(メルさんはサヤを守るために必死になって男のサンドバッグになってたんだ)
「どれくらい殴られたかは覚えてないけど、気づいたらお母さんが私の身体を抱きしめてた。そして男が血まみれで倒れていた」
「そうですか……」
ちなみに男はソフィアさんが殺したらしい。
「その日以降、私は男と顔を合わせることもできなくなった。そして気づけば男と話すのもできないくらい男嫌いになったわ」
そこでメルさんが口を閉じる。
昔を思い出したためか、心なしかメルさんの表情は暗い。
「ありがとうございます。話してくれて」
「私が話したかっただけよ。だからそんな悲しそうな顔をしないで。私は今、幸せなんだから」
そう言ってメルさんが微笑む。
「分かりました。なら一言だけ言わせてください。俺は絶対、メルさんを傷つけたりしませんから」
「知ってるわよ。だから私はカミトのことが好きになったわ」
婚約者となってからツンツンの部分がカケラも見られず、普通に好きと言ってくれる。
「これからよろしくね、カミト」
「こちらこそよろしくお願いします、メルさん」
そう言って俺たちは微笑んだ。
メルさんをお姫様抱っこした状態で家に帰り着き、メルさんを地面に降ろす。
ちなみに帰る道中、俺がメルさんをお姫様抱っこしていることにすれ違う人たち全員が驚いていた。
「たくさんの人たちを驚かせましたね」
「気にしなくて良いわよ。どうせすぐにもっと驚くニュースが広まるのだから」
「ははっ!確かにそうですね」
俺とメルさんの婚約が決まれば世間を騒がせるはず。
「そのためにはリーシャたちから許可をもらわないといけませんね」
「えぇ。リーシャたちが私とカミトの婚約に反対したら諦めるわ。でも、そうならないでほしいわね」
緊張した面持ちのメルさんだが、俺は大丈夫だと思ってる。
(おそらくだが未来の7人目はメルさんのような気がする。だから未来通り、メルさんとは婚約できるはずだ)
そんなことを思いつつ俺は玄関の扉を開ける。
「ただいま~」
「あ、おかえりー!」
俺の帰宅にクレアが1番に駆け寄ってくる。
そしてクレアに続くように続々と婚約者たちが玄関に集まってきた。
ルーリエさんも集まっていることから、ソフィアさんとの話は俺たちがのんびり帰っている間に終わったようだ。
「メル様、ご無事で安心しました。サヤ様ならメル様の無事を聞いて安心したようで、わたくしの部屋で眠ってますわ」
「そう。なら起きた時に顔を見せるわ」
そうメルさんが返事をした後、真剣な表情をする。
「みんなに報告とお願いがあるわ」
との前置きをした後、メルさんが口を開く。
「私はカミトのことが好き。だから私も婚約者の1人にしてください」
「俺もメルさんのことをリーシャたちと同じくらい愛してる。だからメルさんとも婚約させてほしい」
俺たちは真っ直ぐな目でリーシャたちに伝える。
すると…
「やっぱり最後の1人はメル様でしたわ」
「うんうん。想像通りだったね」
「ん、すごく嬉しい」
「これでメルさんもユメたちと一緒にカミトさんを支えることができますね!」
等々、婚約者6人が俺たちの婚約を祝福してくれる。
「ありがとう、みんな」
その様子に嬉しさが込み上げたのか、メルさんが目を潤ませながら感謝を口にする。
「これで7人揃ったね!お兄ちゃん!」
「そうだな。クレアも仲良くしてくれよ?」
「もちろんだよ!」
こうしてメルさんが俺の婚約者となった。
121
お気に入りに追加
1,713
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる