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3章 7人の婚約者編
メルの想い
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~メル視点~
21階層に到着してから約30分が経過する。
アルカ、クルシュの2人が歩けるくらい回復したが、強奪の杖にストックした魔法は残り一つとなった。
「もうすぐでワープゾーンよ。2人とも頑張って」
「「はい!」」
ワープゾーンまで残り数100メートルとなり、2人が気合いのこもった返事をする。
しかし、最後の最後でミノタウロス7体と出会う。
「さすがS級ダンジョンの21階層ね。モンスターの数が尋常じゃないわ」
1人なら〈孤高の魔女 Lv.Max〉の称号が発動し、私の全ステータスを5,000上昇してくれるが、今は姉妹と一緒なので発動せず、1人で21階層を攻略した時よりも敵を倒しにくくなっている。
「でも負けられないわ。絶対、3人で帰還する!」
そう言い放った後、強奪の杖を握り、魔法を発動する。
「リリースっ!ライトニング・ブラスト!」
私は最後のストックである魔法を発動し、殲滅を図る。
強奪の杖から雷属性の魔法を放射状に照射して敵にダメージを与える。
「「「「「グォォォォォっ!」」」」」
私の攻撃にミノタウロス5体が魔石となり、2体が重傷を負う。
「っ!殲滅できなかった!」
殲滅しきれなかったことに舌打ちしつつ、私は残った魔力をかき集めて最後の技を発動する。
「アイス・ブレイクっ!」
砕け散った氷塊で相手を串刺しにする。
「「グォ……ォォ……」」
私の攻撃で残り2体が力尽き、魔石となる。
「はぁ…はぁ…」
魔力を使い切った私はその場で膝をつき、肩で息をする。
「「メルさんっ!」」
そんな私に姉妹が駆け寄る。
「大丈夫よ、これくらい……はぁはぁ……」
「私たちが肩を貸します!」
「もう少しでワープゾーンです!頑張りましょう!」
アルカとクルシュが肩を貸してくれる。
ワープゾーン目前なので私の護衛は必要ないはず。
それなのに2人は迷いなく私に肩を貸してくれた。
「ありがとう、アルカ。クルシュ」
「いえいえ!もうすぐで脱出できますよ!」
魔力不足で足取りの悪い私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「もう少しです!頑張りま――」
「グォォォォォっ!」
――しょう!とアルカが言おうとしたのだろうが、ミノタウロスの咆哮と被り、かき消される。
「っ!もう少しなのにっ!」
ワープゾーンまで残り100メートルを切ったところでミノタウロスに見つかり、私たち目掛けて特攻し始める。
「っ!逃げてっ!」
私は何とか身体を動かしてアルカとクルシュをワープゾーンの方へ突き飛ばす。
「「メルさんっ!」」
「はやく逃げて!ここは私が何とかするわ!」
と強がって言ってみるが、私の魔力は底をつきており、発動できる魔法もない。
私は2人が逃げていることを信じ、全身から魔力を回収する。
多分、命が危険な状態になるだろうが、そんなことを言っている場合ではないため、かき集めるだけかき集める。
しかし…
「っ!足りないっ!技を発動できないっ!」
自身の生命を脅かす危険性が伴うため無意識のうちに脳がストップをかけている。
初めての試みということもあり上手くストップを解除できない私はその場で膝をつく。
そうこうしている内に私の目の前にミノタウロスが来ていた。
「「メルさんっ!」」
危機迫った声でアルカとクルシュが私を呼ぶ。
(あぁ、私の命もここまでか……)
そう思った時、走馬灯のようにたくさんの情景が脳内に流れた。
(もう少し、みんなと過ごしたかったな……)
セリアやリーシャたちと過ごす日々はとても楽しく、毎日が幸せだった。
そんな日々を振り返る中、カミトの姿が流れ込んできた。
(やっぱり、自分の気持ちを伝えればよかったわ)
伝えた結果、どうなったかは分からないが、強く当たってばかりで可愛くない私なんか貰ってくれるわけないので、カミトと気まずい関係になってただろう。
でも伝えないことでこんなにも後悔するのなら、伝えれば良かったと思った。
なので最後に自分の想いを口に出してみる。
「カミト……大好きよ……」
私は目を瞑りながら自分の想いを口にした。
すると…
「その言葉は俺の目を見て言ってほしいですね」
との声と共に「グォ……ォォ……」とミノタウロスが力尽きる声が聞こえてきた。
「……え?」
私は不思議に思い目を開けると、そこには私の好きな人がいた。
21階層に到着してから約30分が経過する。
アルカ、クルシュの2人が歩けるくらい回復したが、強奪の杖にストックした魔法は残り一つとなった。
「もうすぐでワープゾーンよ。2人とも頑張って」
「「はい!」」
ワープゾーンまで残り数100メートルとなり、2人が気合いのこもった返事をする。
しかし、最後の最後でミノタウロス7体と出会う。
「さすがS級ダンジョンの21階層ね。モンスターの数が尋常じゃないわ」
1人なら〈孤高の魔女 Lv.Max〉の称号が発動し、私の全ステータスを5,000上昇してくれるが、今は姉妹と一緒なので発動せず、1人で21階層を攻略した時よりも敵を倒しにくくなっている。
「でも負けられないわ。絶対、3人で帰還する!」
そう言い放った後、強奪の杖を握り、魔法を発動する。
「リリースっ!ライトニング・ブラスト!」
私は最後のストックである魔法を発動し、殲滅を図る。
強奪の杖から雷属性の魔法を放射状に照射して敵にダメージを与える。
「「「「「グォォォォォっ!」」」」」
私の攻撃にミノタウロス5体が魔石となり、2体が重傷を負う。
「っ!殲滅できなかった!」
殲滅しきれなかったことに舌打ちしつつ、私は残った魔力をかき集めて最後の技を発動する。
「アイス・ブレイクっ!」
砕け散った氷塊で相手を串刺しにする。
「「グォ……ォォ……」」
私の攻撃で残り2体が力尽き、魔石となる。
「はぁ…はぁ…」
魔力を使い切った私はその場で膝をつき、肩で息をする。
「「メルさんっ!」」
そんな私に姉妹が駆け寄る。
「大丈夫よ、これくらい……はぁはぁ……」
「私たちが肩を貸します!」
「もう少しでワープゾーンです!頑張りましょう!」
アルカとクルシュが肩を貸してくれる。
ワープゾーン目前なので私の護衛は必要ないはず。
それなのに2人は迷いなく私に肩を貸してくれた。
「ありがとう、アルカ。クルシュ」
「いえいえ!もうすぐで脱出できますよ!」
魔力不足で足取りの悪い私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「もう少しです!頑張りま――」
「グォォォォォっ!」
――しょう!とアルカが言おうとしたのだろうが、ミノタウロスの咆哮と被り、かき消される。
「っ!もう少しなのにっ!」
ワープゾーンまで残り100メートルを切ったところでミノタウロスに見つかり、私たち目掛けて特攻し始める。
「っ!逃げてっ!」
私は何とか身体を動かしてアルカとクルシュをワープゾーンの方へ突き飛ばす。
「「メルさんっ!」」
「はやく逃げて!ここは私が何とかするわ!」
と強がって言ってみるが、私の魔力は底をつきており、発動できる魔法もない。
私は2人が逃げていることを信じ、全身から魔力を回収する。
多分、命が危険な状態になるだろうが、そんなことを言っている場合ではないため、かき集めるだけかき集める。
しかし…
「っ!足りないっ!技を発動できないっ!」
自身の生命を脅かす危険性が伴うため無意識のうちに脳がストップをかけている。
初めての試みということもあり上手くストップを解除できない私はその場で膝をつく。
そうこうしている内に私の目の前にミノタウロスが来ていた。
「「メルさんっ!」」
危機迫った声でアルカとクルシュが私を呼ぶ。
(あぁ、私の命もここまでか……)
そう思った時、走馬灯のようにたくさんの情景が脳内に流れた。
(もう少し、みんなと過ごしたかったな……)
セリアやリーシャたちと過ごす日々はとても楽しく、毎日が幸せだった。
そんな日々を振り返る中、カミトの姿が流れ込んできた。
(やっぱり、自分の気持ちを伝えればよかったわ)
伝えた結果、どうなったかは分からないが、強く当たってばかりで可愛くない私なんか貰ってくれるわけないので、カミトと気まずい関係になってただろう。
でも伝えないことでこんなにも後悔するのなら、伝えれば良かったと思った。
なので最後に自分の想いを口に出してみる。
「カミト……大好きよ……」
私は目を瞑りながら自分の想いを口にした。
すると…
「その言葉は俺の目を見て言ってほしいですね」
との声と共に「グォ……ォォ……」とミノタウロスが力尽きる声が聞こえてきた。
「……え?」
私は不思議に思い目を開けると、そこには私の好きな人がいた。
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