116 / 146
3章 7人の婚約者編
メルの想い
しおりを挟む
~メル視点~
21階層に到着してから約30分が経過する。
アルカ、クルシュの2人が歩けるくらい回復したが、強奪の杖にストックした魔法は残り一つとなった。
「もうすぐでワープゾーンよ。2人とも頑張って」
「「はい!」」
ワープゾーンまで残り数100メートルとなり、2人が気合いのこもった返事をする。
しかし、最後の最後でミノタウロス7体と出会う。
「さすがS級ダンジョンの21階層ね。モンスターの数が尋常じゃないわ」
1人なら〈孤高の魔女 Lv.Max〉の称号が発動し、私の全ステータスを5,000上昇してくれるが、今は姉妹と一緒なので発動せず、1人で21階層を攻略した時よりも敵を倒しにくくなっている。
「でも負けられないわ。絶対、3人で帰還する!」
そう言い放った後、強奪の杖を握り、魔法を発動する。
「リリースっ!ライトニング・ブラスト!」
私は最後のストックである魔法を発動し、殲滅を図る。
強奪の杖から雷属性の魔法を放射状に照射して敵にダメージを与える。
「「「「「グォォォォォっ!」」」」」
私の攻撃にミノタウロス5体が魔石となり、2体が重傷を負う。
「っ!殲滅できなかった!」
殲滅しきれなかったことに舌打ちしつつ、私は残った魔力をかき集めて最後の技を発動する。
「アイス・ブレイクっ!」
砕け散った氷塊で相手を串刺しにする。
「「グォ……ォォ……」」
私の攻撃で残り2体が力尽き、魔石となる。
「はぁ…はぁ…」
魔力を使い切った私はその場で膝をつき、肩で息をする。
「「メルさんっ!」」
そんな私に姉妹が駆け寄る。
「大丈夫よ、これくらい……はぁはぁ……」
「私たちが肩を貸します!」
「もう少しでワープゾーンです!頑張りましょう!」
アルカとクルシュが肩を貸してくれる。
ワープゾーン目前なので私の護衛は必要ないはず。
それなのに2人は迷いなく私に肩を貸してくれた。
「ありがとう、アルカ。クルシュ」
「いえいえ!もうすぐで脱出できますよ!」
魔力不足で足取りの悪い私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「もう少しです!頑張りま――」
「グォォォォォっ!」
――しょう!とアルカが言おうとしたのだろうが、ミノタウロスの咆哮と被り、かき消される。
「っ!もう少しなのにっ!」
ワープゾーンまで残り100メートルを切ったところでミノタウロスに見つかり、私たち目掛けて特攻し始める。
「っ!逃げてっ!」
私は何とか身体を動かしてアルカとクルシュをワープゾーンの方へ突き飛ばす。
「「メルさんっ!」」
「はやく逃げて!ここは私が何とかするわ!」
と強がって言ってみるが、私の魔力は底をつきており、発動できる魔法もない。
私は2人が逃げていることを信じ、全身から魔力を回収する。
多分、命が危険な状態になるだろうが、そんなことを言っている場合ではないため、かき集めるだけかき集める。
しかし…
「っ!足りないっ!技を発動できないっ!」
自身の生命を脅かす危険性が伴うため無意識のうちに脳がストップをかけている。
初めての試みということもあり上手くストップを解除できない私はその場で膝をつく。
そうこうしている内に私の目の前にミノタウロスが来ていた。
「「メルさんっ!」」
危機迫った声でアルカとクルシュが私を呼ぶ。
(あぁ、私の命もここまでか……)
そう思った時、走馬灯のようにたくさんの情景が脳内に流れた。
(もう少し、みんなと過ごしたかったな……)
セリアやリーシャたちと過ごす日々はとても楽しく、毎日が幸せだった。
そんな日々を振り返る中、カミトの姿が流れ込んできた。
(やっぱり、自分の気持ちを伝えればよかったわ)
伝えた結果、どうなったかは分からないが、強く当たってばかりで可愛くない私なんか貰ってくれるわけないので、カミトと気まずい関係になってただろう。
でも伝えないことでこんなにも後悔するのなら、伝えれば良かったと思った。
なので最後に自分の想いを口に出してみる。
「カミト……大好きよ……」
私は目を瞑りながら自分の想いを口にした。
すると…
「その言葉は俺の目を見て言ってほしいですね」
との声と共に「グォ……ォォ……」とミノタウロスが力尽きる声が聞こえてきた。
「……え?」
私は不思議に思い目を開けると、そこには私の好きな人がいた。
21階層に到着してから約30分が経過する。
アルカ、クルシュの2人が歩けるくらい回復したが、強奪の杖にストックした魔法は残り一つとなった。
「もうすぐでワープゾーンよ。2人とも頑張って」
「「はい!」」
ワープゾーンまで残り数100メートルとなり、2人が気合いのこもった返事をする。
しかし、最後の最後でミノタウロス7体と出会う。
「さすがS級ダンジョンの21階層ね。モンスターの数が尋常じゃないわ」
1人なら〈孤高の魔女 Lv.Max〉の称号が発動し、私の全ステータスを5,000上昇してくれるが、今は姉妹と一緒なので発動せず、1人で21階層を攻略した時よりも敵を倒しにくくなっている。
「でも負けられないわ。絶対、3人で帰還する!」
そう言い放った後、強奪の杖を握り、魔法を発動する。
「リリースっ!ライトニング・ブラスト!」
私は最後のストックである魔法を発動し、殲滅を図る。
強奪の杖から雷属性の魔法を放射状に照射して敵にダメージを与える。
「「「「「グォォォォォっ!」」」」」
私の攻撃にミノタウロス5体が魔石となり、2体が重傷を負う。
「っ!殲滅できなかった!」
殲滅しきれなかったことに舌打ちしつつ、私は残った魔力をかき集めて最後の技を発動する。
「アイス・ブレイクっ!」
砕け散った氷塊で相手を串刺しにする。
「「グォ……ォォ……」」
私の攻撃で残り2体が力尽き、魔石となる。
「はぁ…はぁ…」
魔力を使い切った私はその場で膝をつき、肩で息をする。
「「メルさんっ!」」
そんな私に姉妹が駆け寄る。
「大丈夫よ、これくらい……はぁはぁ……」
「私たちが肩を貸します!」
「もう少しでワープゾーンです!頑張りましょう!」
アルカとクルシュが肩を貸してくれる。
ワープゾーン目前なので私の護衛は必要ないはず。
それなのに2人は迷いなく私に肩を貸してくれた。
「ありがとう、アルカ。クルシュ」
「いえいえ!もうすぐで脱出できますよ!」
魔力不足で足取りの悪い私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「もう少しです!頑張りま――」
「グォォォォォっ!」
――しょう!とアルカが言おうとしたのだろうが、ミノタウロスの咆哮と被り、かき消される。
「っ!もう少しなのにっ!」
ワープゾーンまで残り100メートルを切ったところでミノタウロスに見つかり、私たち目掛けて特攻し始める。
「っ!逃げてっ!」
私は何とか身体を動かしてアルカとクルシュをワープゾーンの方へ突き飛ばす。
「「メルさんっ!」」
「はやく逃げて!ここは私が何とかするわ!」
と強がって言ってみるが、私の魔力は底をつきており、発動できる魔法もない。
私は2人が逃げていることを信じ、全身から魔力を回収する。
多分、命が危険な状態になるだろうが、そんなことを言っている場合ではないため、かき集めるだけかき集める。
しかし…
「っ!足りないっ!技を発動できないっ!」
自身の生命を脅かす危険性が伴うため無意識のうちに脳がストップをかけている。
初めての試みということもあり上手くストップを解除できない私はその場で膝をつく。
そうこうしている内に私の目の前にミノタウロスが来ていた。
「「メルさんっ!」」
危機迫った声でアルカとクルシュが私を呼ぶ。
(あぁ、私の命もここまでか……)
そう思った時、走馬灯のようにたくさんの情景が脳内に流れた。
(もう少し、みんなと過ごしたかったな……)
セリアやリーシャたちと過ごす日々はとても楽しく、毎日が幸せだった。
そんな日々を振り返る中、カミトの姿が流れ込んできた。
(やっぱり、自分の気持ちを伝えればよかったわ)
伝えた結果、どうなったかは分からないが、強く当たってばかりで可愛くない私なんか貰ってくれるわけないので、カミトと気まずい関係になってただろう。
でも伝えないことでこんなにも後悔するのなら、伝えれば良かったと思った。
なので最後に自分の想いを口に出してみる。
「カミト……大好きよ……」
私は目を瞑りながら自分の想いを口にした。
すると…
「その言葉は俺の目を見て言ってほしいですね」
との声と共に「グォ……ォォ……」とミノタウロスが力尽きる声が聞こえてきた。
「……え?」
私は不思議に思い目を開けると、そこには私の好きな人がいた。
134
お気に入りに追加
1,703
あなたにおすすめの小説
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始!
2024/2/21小説本編完結!
旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です
※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。
※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。
生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。
伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。
勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。
代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。
リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。
ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。
タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。
タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。
そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。
なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。
レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。
いつか彼は血をも超えていくーー。
さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。
一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。
彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。
コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ!
・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持
・12/28 ハイファンランキング 3位
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜
妄想屋さん
ファンタジー
最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。
彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、
「このパーティを抜けたい」
と、申し出る。
しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。
なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる
けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ
俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる
だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる