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3章 7人の婚約者編
5人目
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「……え?」
毎度のことながら告白されてフリーズする俺。
「眠ってた私を目覚めさせるため、貴重な素材である『希望の花』を無償でくれたカミトに目覚めた時から好意を持った。そして関わるうちにどんどんカミトのことが好きになった。カミトは私の好意に気づいてなさそうだったけど」
「す、すみません」
ソラさんにも告白された時、そのような言葉を言われた。
「私はずっとカミトのことを見てた。特にメルと仲良くなろうと頑張ったところはカッコ良かった」
「え、ホントですか?俺、最初の方はメルさんから色々言われてカッコ悪かったと思いますよ」
「ううん。そんなことない。大抵の男はメルの良いところを知ろうとせず逃げてばかり。でもカミトはメルの良いところを知ろうと寄り添ってくれた。それが私にはカッコ良く見えた」
「あ、ありがとうございます」
素直に褒められ照れながら頬を掻く。
「だから私はこの人なら私のことも大事にしてくれるって思った。なので……」
――私もカミトの婚約者にしてください。
セリアさんが自分の想いを口にした。
その想いを聞き、俺はセリアさんのことを真剣に考える。
(俺はセリアさんのことをどう思っているのだろうか)
表情豊かではないがハッキリと意思表示ができ、時折見せる笑顔は見惚れてしまうくらい可愛い。
そして何より俺はセリアさんをリーシャたちと同じくらい大切に思っており、俺の中で守りたい存在になっていることに気がつく。
数秒と短い時間だが俺は自分の気持ちを整理することができ、顔を上げてセリアさんを見る。
「ユメから告白された時、ユメに対してどう抱いているか分からなかった俺にメルさんが叱ってくれました。『心から愛しているから守りたい、大事にしたいって思ってるんじゃないの?』と」
「ん。メルらしい」
俺の言葉に緊張した面持ちだったセリアさんの口角が上がる。
「俺はセリアさんのこともリーシャたちと同じくらい大切に思ってます。そして俺の手で守りたい、幸せにしたいと思ってます」
「カミト……」
俺の返答内容に見当がついたのだろう。
セリアさんの目には薄らと光るものが見えた。
「俺もセリアさんのことが好きです。俺の婚約者になってください」
「ん。喜んで」
そう言ってセリアさんが見惚れるくらい眩しい笑顔を見せた。
「勢いでセリアさんを婚約者にしてしまいましたが……リーシャたちになんて説明すればいいだろうか」
セリアさんに対する気持ちを理解し、そのままの勢いで婚約者にしたが、リーシャたちから合意をもらっていない。
そのことに頭を悩ませるが「それなら問題ない」とセリアさんが堂々と言う。
「事前にカミトへ告白することは婚約者4人に伝えてる。そして婚約者になる可能性があることも伝えてる」
「あ、だから出発前、クレアが変なことを言ってたんですね」
ダンジョン出発前、クレアが『私たちはセリアさんを応援してます!頑張ってください!』と言っていた。
「ん。だから婚約者の皆んなには許可をもらってる。あとはカミトが私の気持ちに応えてくれるだけだった」
「そうなんですね。それなら安心しました」
その手際の良さに関心しつつ、俺たちは屋敷を目指す。
そして屋敷へ到着し玄関を開けると…
「おかえり!カミトくん!それとセリアさんも!」
ソラが出迎えてくれた。
「カミトくんがセリアさんと一緒に帰ってきたってことは……」
「ん、無事カミトの婚約者になった」
そう言って嬉しそうに“Vサイン”をするセリアさん。
「やったー!おめでとうございますっ!セリアさん!」
「ソラもサポートありがとう」
「いえいえ!」
そして2人が抱き合う。
「おめでとうございますわ!セリア様っ!」
「おめでとうございます!」
そんな2人にリーシャとレオノーラが祝福の言葉を告げる。
「ありがとうございます。リーシャ様、レオノーラ様」
「いえいえですわ!それとわたくし達に敬語など要りませんわ!」
「そうです!これからはカミト様を支える者同士です!気軽にリーシャ、レオノーラと呼んでください!」
「ん。分かった。ありがとう、リーシャ、レオノーラ」
王女様という立場上、セリアさんも初対面はソラさんのように固かったが、リーシャとレオノーラの働きかけでセリアさんの緊張が解ける。
「ユメは今、強くなるための旅に出てるので後日紹介しますが、事前にユメとは会ってるんですよね?」
「ん。ユメも可愛くて良い子だった」
「なら後でユメがどんな子か簡単に説明しますね。じゃあ皆んな、リビングに上がろうか」
そう言って促すとセリアさんが不意に立ち止まる。
そして綺麗な所作で頭を下げる。
「皆んな、今日からよろしく」
「「「はいっ!」」」
セリアさんの発言に婚約者の3人が元気に返事をした。
毎度のことながら告白されてフリーズする俺。
「眠ってた私を目覚めさせるため、貴重な素材である『希望の花』を無償でくれたカミトに目覚めた時から好意を持った。そして関わるうちにどんどんカミトのことが好きになった。カミトは私の好意に気づいてなさそうだったけど」
「す、すみません」
ソラさんにも告白された時、そのような言葉を言われた。
「私はずっとカミトのことを見てた。特にメルと仲良くなろうと頑張ったところはカッコ良かった」
「え、ホントですか?俺、最初の方はメルさんから色々言われてカッコ悪かったと思いますよ」
「ううん。そんなことない。大抵の男はメルの良いところを知ろうとせず逃げてばかり。でもカミトはメルの良いところを知ろうと寄り添ってくれた。それが私にはカッコ良く見えた」
「あ、ありがとうございます」
素直に褒められ照れながら頬を掻く。
「だから私はこの人なら私のことも大事にしてくれるって思った。なので……」
――私もカミトの婚約者にしてください。
セリアさんが自分の想いを口にした。
その想いを聞き、俺はセリアさんのことを真剣に考える。
(俺はセリアさんのことをどう思っているのだろうか)
表情豊かではないがハッキリと意思表示ができ、時折見せる笑顔は見惚れてしまうくらい可愛い。
そして何より俺はセリアさんをリーシャたちと同じくらい大切に思っており、俺の中で守りたい存在になっていることに気がつく。
数秒と短い時間だが俺は自分の気持ちを整理することができ、顔を上げてセリアさんを見る。
「ユメから告白された時、ユメに対してどう抱いているか分からなかった俺にメルさんが叱ってくれました。『心から愛しているから守りたい、大事にしたいって思ってるんじゃないの?』と」
「ん。メルらしい」
俺の言葉に緊張した面持ちだったセリアさんの口角が上がる。
「俺はセリアさんのこともリーシャたちと同じくらい大切に思ってます。そして俺の手で守りたい、幸せにしたいと思ってます」
「カミト……」
俺の返答内容に見当がついたのだろう。
セリアさんの目には薄らと光るものが見えた。
「俺もセリアさんのことが好きです。俺の婚約者になってください」
「ん。喜んで」
そう言ってセリアさんが見惚れるくらい眩しい笑顔を見せた。
「勢いでセリアさんを婚約者にしてしまいましたが……リーシャたちになんて説明すればいいだろうか」
セリアさんに対する気持ちを理解し、そのままの勢いで婚約者にしたが、リーシャたちから合意をもらっていない。
そのことに頭を悩ませるが「それなら問題ない」とセリアさんが堂々と言う。
「事前にカミトへ告白することは婚約者4人に伝えてる。そして婚約者になる可能性があることも伝えてる」
「あ、だから出発前、クレアが変なことを言ってたんですね」
ダンジョン出発前、クレアが『私たちはセリアさんを応援してます!頑張ってください!』と言っていた。
「ん。だから婚約者の皆んなには許可をもらってる。あとはカミトが私の気持ちに応えてくれるだけだった」
「そうなんですね。それなら安心しました」
その手際の良さに関心しつつ、俺たちは屋敷を目指す。
そして屋敷へ到着し玄関を開けると…
「おかえり!カミトくん!それとセリアさんも!」
ソラが出迎えてくれた。
「カミトくんがセリアさんと一緒に帰ってきたってことは……」
「ん、無事カミトの婚約者になった」
そう言って嬉しそうに“Vサイン”をするセリアさん。
「やったー!おめでとうございますっ!セリアさん!」
「ソラもサポートありがとう」
「いえいえ!」
そして2人が抱き合う。
「おめでとうございますわ!セリア様っ!」
「おめでとうございます!」
そんな2人にリーシャとレオノーラが祝福の言葉を告げる。
「ありがとうございます。リーシャ様、レオノーラ様」
「いえいえですわ!それとわたくし達に敬語など要りませんわ!」
「そうです!これからはカミト様を支える者同士です!気軽にリーシャ、レオノーラと呼んでください!」
「ん。分かった。ありがとう、リーシャ、レオノーラ」
王女様という立場上、セリアさんも初対面はソラさんのように固かったが、リーシャとレオノーラの働きかけでセリアさんの緊張が解ける。
「ユメは今、強くなるための旅に出てるので後日紹介しますが、事前にユメとは会ってるんですよね?」
「ん。ユメも可愛くて良い子だった」
「なら後でユメがどんな子か簡単に説明しますね。じゃあ皆んな、リビングに上がろうか」
そう言って促すとセリアさんが不意に立ち止まる。
そして綺麗な所作で頭を下げる。
「皆んな、今日からよろしく」
「「「はいっ!」」」
セリアさんの発言に婚約者の3人が元気に返事をした。
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