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3章 7人の婚約者編

ダンジョンでの訓練 2

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 その後、順調に攻略し、目的である5階層に到着する。

「みんなの実力ならランクDのモンスター程度、1人で倒せると思うわ。幸い、ここのボスはランクDのボブゴブリン5体。各々1体ずつ討伐して帰るわよ」
「「「「「はい!」」」」」

 メルさんの声かけに5人が応える。
 その様子を見て俺はボス部屋の扉を開け、みんなを促す。

「ガァァァァっ!」

 俺たちを見たボブゴブリンの1体が吠える。

「行くよ!」

 サヤの声掛けに続き、みんなが武器を構える。

「ファイヤーボール!」
「ウィンドカッター!」

 リーシャとレオノーラが無詠唱で魔法を放つ。
 放たれた魔法はボブゴブリンの弱点である頭部にクリンヒットし、一撃で討伐する。

「はっ!」
「やぁーっ!」

 反対側ではサヤとシャルちゃんがスキルを使ってボブゴブリンとの距離をつめており、攻撃を仕掛けた2人があっという間にボブゴブリンの首を刎ねる。

(リーシャやレオノーラは無詠唱を身につけ、落ち着いて弱点を狙えてる。それにサヤとシャルちゃんも冷静にボブゴブリンの攻撃を躱し、一撃で討伐している。みんな成長スピードが速いなぁ)

 そんな感想を抱きつつ、最後にユメさんの戦いを見る。

「はぁーっ!」

 ユメさんは自分から攻めることはせず、ボブゴブリンに攻撃させてはカウンターの一撃を喰らわせている。
 だがスキルを使えないため、一撃で討伐することはできていない。

(一撃での討伐はできないが、攻撃を喰らう様子はない。体力面に懸念はあるが、この戦いはユメさんの圧勝だろう)

 その想像通り、1分後にボブゴブリンが討伐された。

「はぁはぁ……や、やりました……」
「さすがユメちゃん!見事な手際だよ!」

 討伐の完了したユメさんへ、サヤが真っ先に駆け寄る。

「やはりランクDのモンスター程度じゃ相手になりませんでしたね」
「そうね。分かりきってはいたけど嬉しいわね」

 自分の生徒の成長を見て嬉しそうな顔をするメルさん。

「明日は10階層まで行きましょうか」

 フィーネ先生の言葉に俺たちは頷いた。



 翌日、問題なく10階層まで到着する。

「ここのフロアボスはランクCのモンスターであるオーク3体です。ボブゴブリンよりも図体は大きくボブゴブリン以上のスピードとパワーを持っております。気を引き締めて挑んでください」

 フィーネ先生の言葉に5人が頷く。
 そして5人が作戦会議を始める。

「私とシャルちゃん、ユメちゃんがそれぞれ一体ずつ引き受けるよ。リーシャちゃんは魔法で私とシャルちゃんの援護を。レオノーラちゃんはユメちゃんのサポートをお願い」

 サヤが指揮を取り、みんなに指示を出す。

「ユメちゃんは自分の身を第一に考えてね。無理だけはしないように。私たちがオークを倒し次第援護に回るから、それまで耐えてて」
「分かりました!」

 生徒たちが決めた作戦に俺たちが口を出すわけにはいかないので、作戦内容には口を出さない。

「行きましょう」

 サヤがフロアボスの部屋を開き、俺たちは中に入る。
 しかし、フロアボスであるオーク3体が待ち受けていなかった。

「あれ?いませんね」
「おかしいわね。普通なら部屋に入った瞬間フロアボスが現れるはずだけど」

 俺たちはこの異常事態に首を傾げる。

 すると…

『特殊条件を満たしたことを確認。スペシャルボスへと移行します』

 とのアナウンスが聞こえてくる。

「な、なんだ?」

 困惑した俺たちの頭上から「グァァァァァッ!!!」と、ドラゴンの咆哮が聞こえてくる。

「あれはブラックドラゴン!?」
「いや違う!ブラックドラゴンじゃない!」

 以前、ソラさんを助けた時に出会ったブラックドラゴンとは似てないため、俺はメルさんの発言を否定する。

「賢者さん!鑑定!」

『了解しました』

 俺の指示を聞き鑑定してくれる。


*****

名前:エンシェントドラゴン
レベル:7500
筋力:30000
器用:30000
耐久:30000
俊敏:30000
魔力:30000
知力:30000

スキル:【硬化】
    【竜の息吹】
    【竜の鉤爪】
    【威圧】

装備:なし

*****


「エンシェントドラゴンだと!?」

 かつて数多の国を滅ぼし、S級冒険者2人がかりでようやく討伐できたドラゴン。
 そのドラゴンが突然現れた。
 俺が現れたドラゴンがエンシェントドラゴンであることを説明すると、周囲にいた生徒たちが息を呑む。

「退避は……無理そうね」

 いつも通り、ボスを討伐するまで部屋から出ることはできないようで、逃げ場はない。

(賢者さん!エンシェントドラゴンが現れた特殊条件って……いや、今はそんなことを聞いてる場合じゃないな)

 俺が賢者さんへの質問をやめ、今にも攻撃してきそうなドラゴンに視線を動かす。
 そのタイミングでエンシェントドラゴンが「ゴォォォォッ!」と、【竜の息吹】を放つ。

 突然現れたドラゴンに体がいうことを聞かないようで、生徒5人が震えている。

「任せろっ!」

 視界いっぱいに広がる【竜の息吹】からみんなを守るため、純黒の長剣を構えて前に出る。

「『星剣技』四の型〈旋空〉~4連~」

 そして迫り来る真っ赤な炎に向けて星剣技を使って一刀両断し、みんなを【竜の息吹】から守る。

「ここは俺が相手をします!メルさんとフィーネ先生はみんなを守ってください!」
「悔しいけど今の私はカミトの足を引っ張ってしまうわ。だからサヤたちは私たちに任せて」
「カミトさん、お願いします」
「ありがとうございます。メルさんとフィーネ先生が守ってくれるならリーシャたちを気にせずに戦えます」

 俺はメルさんたちに感謝を伝える。
 そして、今にも泣きそうな5人を見る。

「申し訳ありません、カミト様。わたくし達が戦いの邪魔になってしまい」

 足手纏いということを理解している5人の表情から、申し訳ないという気持ちが伝わってくる。

「大丈夫だよ。俺のステータスならエンシェントドラゴンなんて相手にならない。だから泣きそうな顔なんてしなくていいよ」

 本当は今すぐにでもリーシャとレオノーラを抱きしめてみんなを安心させたいが、エンシェントドラゴンが近くにいる状況でそんなことはできない。

「みんなはメルさんたちに守られながら応援してくれ。すぐに終わらせてくるよ」

 そう言って俺はエンシェントドラゴンに視線を戻そうとすると「お待ちくださいっ!」とレオノーラが俺のことを引き止める。

「私の魔法を受け取ってください。気休め程度にしかならないとは思いますが、カミト様を強化させていただきます。【ブレッシング】」

 そう呟くと俺の身体が光出す。

「気持ち程度ではありますがステータスを強化させていただきました」
「ありがとう、レオノーラ。絶対、皆んなのことを守ってみせるから」
「はいっ!頑張ってください!」
「カミト先生、頑張ってください!」

 俺はみんなからの声援を背中に受け、エンシェントドラゴンへ立ち向かった。
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