スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部

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2章 王都編

宰相親子への罰 1

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 手を上げる人たちの中から、数人だけ選び、俺たちは王宮へ向かう。
 宰相の領地から王宮までは馬車で半日かかるとのことで、現在の時刻から馬車で移動した場合は予定している顔見せの時間ギリギリに到着しそうだ。
 そのため、証拠品を持って俺だけ先に王宮へ向かうこととなった。
 メルさんとシャーリーさんが馬車の護衛を担うため、問題なく王宮まで着くことができるだろう。

「じゃあ、俺は一足先に王宮へ帰ります」
「えぇ。私たちもすぐに出発するわ。シャーリーの力を使えばカミトが挨拶してる時には間に合うと思うから」

 半日かかる道のりをどうやって短縮するのかは分からないが、メルさんの言葉を信じる。

「分かりました。みなさんが到着するまで時間を稼ぎながら挨拶をします」

 そう言ってメルさんたちと別れ、俺は宰相の領地に来た時と同様、1時間程度で王宮まで帰り着く。
 俺が到着した時には夕方となっており、国民への挨拶が行われる夜には間に合った。

「ただ今帰りました」
「「カミト様っ!」」

 俺は到着早々、女王陛下がいる部屋へ訪れる。
 そこには女王陛下とリーシャ様、レオノーラ様がいた。
 2人は俺を見てすぐに駆け寄ってくる。

「お怪我はありませんか?」
「はい。怪我はありませんのでご心配なく。それと証拠品もバッチリ確保してきました」
「「ホントですか!?」」

 リーシャ様たちの声が被る。

「はいっ!これで宰相親子は終わりだと思います!」
「うぅ……」
「お姉様!やりましたね!」

 俺の言葉を聞いて安堵したのか、リーシャ様はその場で泣き崩れ、レオノーラ様もリーシャ様に寄り添って涙を流す。

「ありがとう、カミト。貴方とメルには感謝してもしたりないわ」
「いえいえ。これに関してはメルさんやシャーリーさんの協力と女王陛下が俺の挨拶を夜に変更してくれたおかげです。それと、まだ宰相親子との婚約破棄はできてませんので安心するのははやいですよ」
「そうね。それでどんな証拠品を手に入れたのかしら?」

 俺は女王陛下とリーシャ様、レオノーラ様が分かるように事の顛末を証拠品を交えて話す。
 女王陛下たちは黙って聞いていたが、『王女様暗殺計画』と『王都乗っ取り計画』を話すと顔を青ざめていた。

「まさかそんな計画を立ててたなんて」
「お母様。これは婚約破棄どころではなくなりましたわ」
「えぇ。貴方はこれを公にすると言ってたわね」
「はい。俺がS級冒険者として国民へ挨拶する時に公にする予定でした。ですが、これは王都に関わる問題です。女王陛下のやり方で公にした方がいいと思います」

 俺の発言に女王陛下は考える。

「そうね。ならこうしましょう」

 そして俺たちだけの作戦会議が始まった。



 S級冒険者となった俺の顔出しを行う時間となったため、俺はビシッとした服装を着てテラスに移動する。
 俺の隣には女王陛下がおり、後ろには王女様2人とニーファ宰相、それと場違いではあるがワルモチもいる。
 テラスから下を見ると、王都の国民がたくさん集まっていた。

「あの方が6人目のS級冒険者!」
「王都を救ってくれてありがとーっ!」
「カッコいいーっ!」

 俺の登場と共に様々な歓声が上がる。

「紹介するわ。コチラが新しくS級冒険者となったカミトよ。ご存知の通り、S級冒険者メルと共に長年我々を苦しめてきた王都地下にあるS級ダンジョン『奈落』を攻略してくれたわ」

 俺の隣にいる女王陛下が簡単に説明してくれる。

「それと、我が国の未来を脅かす計画を企てた者を断罪する証拠を私に持ってきてくれたわ」

 女王陛下の言葉から俺の挨拶よりも重大なことが起こったことは理解できたようで、国民のみんなが静まる。
 ニーファ宰相は動かないが、息を呑む気配が伝わってくる。
 その様子を見た女王陛下が一枚の紙を取り出す。

「っ!」

 そこでようやくニーファ宰相が気づく。
 女王陛下が取り出した紙に『王女様暗殺計画』と『王都乗っ取り計画』を企てた内容が書かれていることに。

「陛下っ!その紙は……」
「なにかしら?私はカミトが手に入れてくれた紙をみんなの前で読むだけよ。宰相に不都合なことなどないはずだわ」
「ですがその紙は……」
「宰相。ここは国民の前です。みっともない姿を見せるわけにはいきませんよ」

 俺は女王陛下を守るように立ち塞がる。

「くっ!」

 S級冒険者の俺に太刀打ちはできないことを理解している宰相が苦虫を噛み潰したような顔となる。

「ん?」

 そんな宰相を他所に、現在の状況を全く理解できていないのか、俺たちとのやり取りを不思議そうに眺めるワルモチ。

(なるほど。ワルモチは『王女様暗殺計画』や『王都乗っ取り計画』のことは知らないのか。宰相にとって、息子は王女様と結婚させるための道具なんだな)

 そんなことを思う。

「この紙には第一王女リーシャと第二王女レオノーラの暗殺を行い、ヴェール家を滅ぼす計画が書かれている」

 女王陛下の発言にテラス下の国民が様々な声を発する。
 そんな中、女王陛下は紙に書かれている内容を一語一句話す。
 差出人がニーファ宰相であることも。

「っ!」

 ニーファ宰相の顔が真っ青になる。

「そして次に、この紙に書かれている報告書を読むわ。これは私の部下とS級冒険者のメル、それとカミトが宰相の屋敷を調べてくれた結果が書かれているわ」
「な、なんだと!?」

 この発言にはさすがのワルモチも反応する。

「なんですか?ワルモチさん。女王陛下が今、お話中ですよ?」

 そんなワルモチを牽制するように、俺は一言かける。
 しかしアホなのか、ワルモチは女王陛下のもとへ歩み寄る。

「待ってください、女王陛下!それは何かの間違いです!」
「あら、まだ報告書の内容は読んでないのだけど……貴方にとって読まれたくない内容が書かれているのかしら?」
「そ、そうです!俺の家のことを勝手に調べた挙句、国民の前で報告するなど、プライバシーの侵害です!その報告書は俺やお父様が一度、目を通す必要があります!」
「息子の言う通りです。我々が一度、目を通す必要があります。カミト様やメル様が虚偽の報告をしてる可能性がありますので」

 ワルモチに便乗した宰相も女王陛下のもとへ詰め寄る。

「なるほど。これをプライバシーの侵害というのか。だが、私の娘たちを殺す計画をしてるヤツにプライバシーなどない!」
「「っ!」」

 女王陛下が一声で黙らせる。

「そうですよ。アナタたちはリーシャ様やレオノーラ様を殺そうとしたんです。大人しくそこに立っててください」

 俺は女王陛下やリーシャ様たちを守れる位置に移動し、2人を睨む。

「さて、メルやカミトが報告してくれた内容を皆に話そう」

 そう言って女王陛下は話し始める。
 宰相の領地で度々行われている辻斬りはワルモチが気に食わなかった者を冒険者を雇って暗殺していたこと。
 突然、美しい女性たちが失踪したという話は、ワルモチが冒険者を雇って攫ったこと。
 そして、攫った女性たちを宰相の屋敷の地下に隔離し、ワルモチの玩具にされていたこと。
 それらの悪事を宰相が揉み消したことを丁寧に話す。

「ち、違う!そ、そんなことしてない!」
「デタラメです!女王陛下!我々はそんなこと……」
「デタラメなんかじゃねぇ!」

 宰相の声を掻き消すくらいの大声がテラス下から響き渡る。
 そこにはメルさんとシャーリーさん、それと宰相の領地から来た数人がいた。

「俺は見たんだ!失踪したと言われた妻と娘がメル様と共に宰相の屋敷から出てくるところを!妻と娘は痩せ細り、身体中には痛々しい傷があった!ワルモチが俺の妻と娘を奪い、好き放題玩具にしたんだ!」
「私はワルモチに捕まり、数ヶ月も地下に閉じ込められた!ワルモチからのお願いを聞かなければ攻撃され、私は何度も惨めな目に遭った!この傷だってワルモチから負わされたもの!」

 2人の証言は現実味を帯びており、女王陛下の話と宰相たちの話、どちらが真実かは誰でも理解できる。

「決まりだな」
「「くっ!」」

 これ以上は言い逃れできないのか、必死に言葉を探す様子は見られるが、言葉を発することはない。

「以上のことより、ニーファ宰相とその息子、ワルモチを死刑、2人に加担した貴族、冒険者は全員、奴隷とする!そしてカミトの顔見せは後日に変更する!」

 この言葉で国民への挨拶が終わった。
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