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2章 王都編
作戦開始
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リーシャ様とレオノーラ様が部屋から出る。
「まさかリーシャに宰相の息子との結婚話があったなんて。だから女王陛下は本気で悪事の証拠を掴もうとしてたのね」
メルさんがボソッと呟く。
「メルさんは知らなかったんですか?」
「えぇ。宰相の息子が最低な男ということは知ってたけど、結婚の話は知らなかったわ。教えてくれたら私も力になれたかもしれないのに」
後悔が混じった声でメルさんが話す。
「俺、リーシャ様たちと結婚した方がいいのでしょうか?」
「それは私が決めることではないわ。カミト自身で決めなさい」
俺の問いかけに至極もっともな返答をされる。
「まぁ、カミトがリーシャたちとイチャイチャハーレム生活をしたいなら、結婚して良いと思うわよ。2人とも私より可愛いし」
すると今度は少し不機嫌そうな口調でメルさんが言う。
「え、えーっと……怒ってます?」
「当たり前よ!リーシャたちは私に相談しなかったんだから!しかもカミトに結婚を申し込むなんて……私よりも可愛い2人がカミトと結婚すれば、私なんてもらってくれなくなるわ……」
「な、なるほど……」
後半の部分は聞こえなかったが、かなりお怒りのようだ。
「と、とにかく!これはカミトがどうしたいかよ!」
「俺がどうしたいか……」
「そうよ。今、リーシャたちを助けることができるのはカミトだけ。カミトはリーシャたちを助けたい?」
「もちろんです!俺はリーシャ様とレオノーラ様を助けたいと思いました!」
「ならカミトが取るべき選択は2つよ。リーシャたちと結婚するか、宰相の息子の悪事を公にするか。カミトはどうするの?」
「当然、息子の悪事を公にしますよ!リーシャ様たちは俺との結婚なんて心の底から望んでませんので!」
俺はメルさんの問いかけに即答する。
「カミトならそう言うと思ったわ」
「だって『宰相の悪事を公にする』という選択肢を俺に提示したってことは、公にできる方法があるってことですよね?」
「えぇ。私には無理だけどカミトならできると思ったわ。モンスターの位置を正確に把握できるスキルを持つカミトなら」
「さすがメルさん。頼りになりますね」
「そ、そんなに褒めなくてもいいわよ。いずれ、私の手で宰相の悪事を暴こうとしてたから、作戦をたくさん考えてただけよ」
「え!作戦をたくさん考えてたんですか!?」
「そうよ。以前、私は女王陛下から宰相の息子の悪事を聞いて、悪事の証拠を掴むよう、協力をお願いされたからね」
その言葉でメルさんが宰相の息子の悪事を知っている理由と、たくさん作戦を考えていた理由を理解する。
「宰相たちの耳に入るとマズイから、悪事の証拠を掴む計画を企てたのは私と女王陛下だけよ。リーシャたちは知らないわ」
(なるほど。だからリーシャ様たちは俺と結婚するしか方法がないと思っていたのか。知っていたらもメルさん同様、俺に協力をお願いするはずだ)
「さっきリーシャが言ってたように、宰相の息子は反抗した人を皆殺しにして、領地内の女は俺の物といって無理やり連れて帰ってるわ。そんなことが起こってるのに、なんで領民が訴えないと思う?」
そう聞かれて俺は考える。
「そうですね。訴えるなと脅されている。もしくは領民が気づいていない……ですかね」
「半分当たりね。正解は両方よ。気に入らない奴は夜道で殺し、気に入った女はコソコソと連れ去ってるわ。だから、ほとんどの領民が宰相の悪事を知らないわ。そして、消えた領民は失踪という形になり、失踪の原因が宰相にあると思った領民は脅されてる、もしくは殺されてるの。だから宰相の悪事が公に出てこないのよ」
「なるほど。徹底してますね」
「えぇ。そして失踪の多さに違和感を感じた女王陛下がコッソリと調べた時、偵察に送った部下が、息子が領民を殺すところと淫行を行っているところを目撃したの。その時、初めて女王陛下は宰相の悪事を知ったわ」
「でも、その目撃情報は証拠にならなかったと」
メルさんは無言で頷く。
「なるほどです。今の話で疑問は無くなりました。それで、どんな作戦ですか?」
「えぇ」
そして、メルさんから作戦の全容を聞かされる。
「なるほど。これならいけると思います」
「私だけだと厳しかったから実行できなかったけど、カミトがいれば成功する未来しか見えないわ。タイミング良く、国民のみんなへ公にする場も用意してくれたからね」
国民への挨拶を利用する形とはなるが、この機会を逃すわけにはいかない。
「作戦開始ね」
俺たちは一斉に動き始めた。
「まさかリーシャに宰相の息子との結婚話があったなんて。だから女王陛下は本気で悪事の証拠を掴もうとしてたのね」
メルさんがボソッと呟く。
「メルさんは知らなかったんですか?」
「えぇ。宰相の息子が最低な男ということは知ってたけど、結婚の話は知らなかったわ。教えてくれたら私も力になれたかもしれないのに」
後悔が混じった声でメルさんが話す。
「俺、リーシャ様たちと結婚した方がいいのでしょうか?」
「それは私が決めることではないわ。カミト自身で決めなさい」
俺の問いかけに至極もっともな返答をされる。
「まぁ、カミトがリーシャたちとイチャイチャハーレム生活をしたいなら、結婚して良いと思うわよ。2人とも私より可愛いし」
すると今度は少し不機嫌そうな口調でメルさんが言う。
「え、えーっと……怒ってます?」
「当たり前よ!リーシャたちは私に相談しなかったんだから!しかもカミトに結婚を申し込むなんて……私よりも可愛い2人がカミトと結婚すれば、私なんてもらってくれなくなるわ……」
「な、なるほど……」
後半の部分は聞こえなかったが、かなりお怒りのようだ。
「と、とにかく!これはカミトがどうしたいかよ!」
「俺がどうしたいか……」
「そうよ。今、リーシャたちを助けることができるのはカミトだけ。カミトはリーシャたちを助けたい?」
「もちろんです!俺はリーシャ様とレオノーラ様を助けたいと思いました!」
「ならカミトが取るべき選択は2つよ。リーシャたちと結婚するか、宰相の息子の悪事を公にするか。カミトはどうするの?」
「当然、息子の悪事を公にしますよ!リーシャ様たちは俺との結婚なんて心の底から望んでませんので!」
俺はメルさんの問いかけに即答する。
「カミトならそう言うと思ったわ」
「だって『宰相の悪事を公にする』という選択肢を俺に提示したってことは、公にできる方法があるってことですよね?」
「えぇ。私には無理だけどカミトならできると思ったわ。モンスターの位置を正確に把握できるスキルを持つカミトなら」
「さすがメルさん。頼りになりますね」
「そ、そんなに褒めなくてもいいわよ。いずれ、私の手で宰相の悪事を暴こうとしてたから、作戦をたくさん考えてただけよ」
「え!作戦をたくさん考えてたんですか!?」
「そうよ。以前、私は女王陛下から宰相の息子の悪事を聞いて、悪事の証拠を掴むよう、協力をお願いされたからね」
その言葉でメルさんが宰相の息子の悪事を知っている理由と、たくさん作戦を考えていた理由を理解する。
「宰相たちの耳に入るとマズイから、悪事の証拠を掴む計画を企てたのは私と女王陛下だけよ。リーシャたちは知らないわ」
(なるほど。だからリーシャ様たちは俺と結婚するしか方法がないと思っていたのか。知っていたらもメルさん同様、俺に協力をお願いするはずだ)
「さっきリーシャが言ってたように、宰相の息子は反抗した人を皆殺しにして、領地内の女は俺の物といって無理やり連れて帰ってるわ。そんなことが起こってるのに、なんで領民が訴えないと思う?」
そう聞かれて俺は考える。
「そうですね。訴えるなと脅されている。もしくは領民が気づいていない……ですかね」
「半分当たりね。正解は両方よ。気に入らない奴は夜道で殺し、気に入った女はコソコソと連れ去ってるわ。だから、ほとんどの領民が宰相の悪事を知らないわ。そして、消えた領民は失踪という形になり、失踪の原因が宰相にあると思った領民は脅されてる、もしくは殺されてるの。だから宰相の悪事が公に出てこないのよ」
「なるほど。徹底してますね」
「えぇ。そして失踪の多さに違和感を感じた女王陛下がコッソリと調べた時、偵察に送った部下が、息子が領民を殺すところと淫行を行っているところを目撃したの。その時、初めて女王陛下は宰相の悪事を知ったわ」
「でも、その目撃情報は証拠にならなかったと」
メルさんは無言で頷く。
「なるほどです。今の話で疑問は無くなりました。それで、どんな作戦ですか?」
「えぇ」
そして、メルさんから作戦の全容を聞かされる。
「なるほど。これならいけると思います」
「私だけだと厳しかったから実行できなかったけど、カミトがいれば成功する未来しか見えないわ。タイミング良く、国民のみんなへ公にする場も用意してくれたからね」
国民への挨拶を利用する形とはなるが、この機会を逃すわけにはいかない。
「作戦開始ね」
俺たちは一斉に動き始めた。
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