52 / 146
2章 王都編
王女様からのお願い 1
しおりを挟む
俺たち4人は先程メルさんと一緒に待機していた部屋へ移動し、談笑を始める。
「すごいです!やはりカミト様はカッコいいです!」
「レオノーラの言う通りですわ!ブラックドラゴンを無傷で倒すなんてさすがですわ!」
「へぇ、すごいわね。私でさえブラックドラゴンを無傷で倒すのは難しいわよ」
俺がブラックドラゴンを無傷で倒したことを話すと、リーシャ様とレオノーラ様が興奮気味で褒め、メルさんからは感心される。
「あはは、たまたまですよ。あの時はソラさんを守ろうと必死だったので。まぁ身体を酷使し過ぎて倒した後は気絶しましたけど」
素直に褒められることが少ない俺は照れながら返答する。
「ブラックドラゴンを無傷で討伐したことに加えて、黒い騎士を1人で討伐したことも素晴らしいです!」
「メル様の話によれば、先日攻略した30階のボスは圧倒的な強さを誇っていたとお聞きしてますわ!それをカミト様1人で倒したなんて!」
「そうよ。私は黒の騎士からの攻撃で気絶してたけど、カミトは気絶してた私を守るように戦ってくれたわ。大怪我を負ってまでね」
「当然です!女の子であるメルさんに怪我をさせるなんて男として恥ずかしいことなので!」
「っ!そ、そう……その……守ってくれてありがと」
「いえいえ!」
少し頬を染めつつ、何度も聞いた言葉を口にするメルさん。
「さすがです!カミト様は大切な人を決して見捨てない、素晴らしい方です!」
「そんなカミト様のこと、わたくし達はとても気に入っておりますわ!」
「あ、ありがとうございます……」
今日初めて会ったにも関わらず好感度が爆上がりしてる俺。
(メルさん、2人になんて言ったんですか……)
そんなことを思い、俺はリーシャ様とレオノーラ様に問いかける。
「あのぉ、リーシャ様。それにレオノーラ様。お二人は俺のことを信頼しすぎではないですか?メルさんから俺の話を聞いただけですよね?」
「はい。わたくし達は今日初めてカミト様と出会いました。だから不思議に思われるのも当然ですわ」
「でも、私たちはカミト様を信頼しております。理由はリーシャお姉様が信頼できる人物と判断したからです」
「……?」
その返答に首を傾げる。
「わたくし、他人の心の色を見ることで、その人の善悪を知ることができるスキルを持ってますわ。そして、今日初めて会った時にコッソリと調べさせていただきましたわ」
「勝手にスキルを使って申し訳ありませんわ」と頭を下げるリーシャ様。
「あ、頭を上げてください!そんなことで怒ったりしませんから!」
実際、俺もコッソリ賢者さんを使って鑑定してるので、この場で怒ることはできない。
「ありがとうございます」
そう言って頭を上げたリーシャ様は話を続ける。
「カミト様の心は綺麗な色をしてましたわ。だからカミト様を信頼できると判断しました」
「男嫌いであるメル様が心を開くことのできる方なので、悪い方とは思ってませんでしたが」
「な、なるほど……」
2人の話を聞いて、初対面なのに俺への好感度が高いことに納得する。
すると、リーシャ様の表情が引き締まる。
「カミト様、お願いがあります」
「な、なんでしょうか?」
リーシャ様からただならぬ雰囲気を感じ、俺は表情を引き締める。
「代々、王都を治めているのは『ヴェール家』ですわ。しかし、お父様が亡くなったことで、ヴェール家の血筋を引き継いでいるのは、わたくしとレオノーラだけになりましたわ」
亡くなった国王陛下は短命でレオノーラ様が産まれてすぐに亡くなったとのこと。
もともと、ヴェール家の血を引き継いでいる人は少なく、不慮な事故や病気が重なり、一時期、ヴェール家の血を引き継いでいるのがリーシャ様達のお父様だけになってしまった。
そして、十数年前に国王陛下が亡くなったことで、ついにヴェール家の血を引き継いでいるのが2人だけになってしまったらしい。
「わたくし達は一刻も早く結婚して子供を産まなければいけません。ヴェール家の血筋を途絶えさせるわけにはいきませんので」
「2人の事情は分かりましたが、なぜそんな話を俺にしたんですか?」
「はい。なぜわたくしがカミト様にこのような話をしたのかというと、カミト様にはわたくしとレオノーラ、2人と近いうちに結婚していただきたいからです」
「ふむふむ……はぁ!?」
「わたくし達はカミト様の子供を産みたいのです!」
リーシャ様からの爆弾発言に俺は固まる。
メルさんも俺と同様に固まっていた。
「私たち……ぐずっ……特に期限の迫っているリーシャお姉様にはカミト様との結婚しか道はありません!どうか、リーシャお姉様とは今すぐ結婚してください!お願いします!カミト様っ!」
すると突然、涙を流しながらレオノーラ様が言う。
(………え、どゆこと?)
真剣にお願いするリーシャ様と、泣きながらお願いするレオノーラ様を見て困惑する俺だった。
「すごいです!やはりカミト様はカッコいいです!」
「レオノーラの言う通りですわ!ブラックドラゴンを無傷で倒すなんてさすがですわ!」
「へぇ、すごいわね。私でさえブラックドラゴンを無傷で倒すのは難しいわよ」
俺がブラックドラゴンを無傷で倒したことを話すと、リーシャ様とレオノーラ様が興奮気味で褒め、メルさんからは感心される。
「あはは、たまたまですよ。あの時はソラさんを守ろうと必死だったので。まぁ身体を酷使し過ぎて倒した後は気絶しましたけど」
素直に褒められることが少ない俺は照れながら返答する。
「ブラックドラゴンを無傷で討伐したことに加えて、黒い騎士を1人で討伐したことも素晴らしいです!」
「メル様の話によれば、先日攻略した30階のボスは圧倒的な強さを誇っていたとお聞きしてますわ!それをカミト様1人で倒したなんて!」
「そうよ。私は黒の騎士からの攻撃で気絶してたけど、カミトは気絶してた私を守るように戦ってくれたわ。大怪我を負ってまでね」
「当然です!女の子であるメルさんに怪我をさせるなんて男として恥ずかしいことなので!」
「っ!そ、そう……その……守ってくれてありがと」
「いえいえ!」
少し頬を染めつつ、何度も聞いた言葉を口にするメルさん。
「さすがです!カミト様は大切な人を決して見捨てない、素晴らしい方です!」
「そんなカミト様のこと、わたくし達はとても気に入っておりますわ!」
「あ、ありがとうございます……」
今日初めて会ったにも関わらず好感度が爆上がりしてる俺。
(メルさん、2人になんて言ったんですか……)
そんなことを思い、俺はリーシャ様とレオノーラ様に問いかける。
「あのぉ、リーシャ様。それにレオノーラ様。お二人は俺のことを信頼しすぎではないですか?メルさんから俺の話を聞いただけですよね?」
「はい。わたくし達は今日初めてカミト様と出会いました。だから不思議に思われるのも当然ですわ」
「でも、私たちはカミト様を信頼しております。理由はリーシャお姉様が信頼できる人物と判断したからです」
「……?」
その返答に首を傾げる。
「わたくし、他人の心の色を見ることで、その人の善悪を知ることができるスキルを持ってますわ。そして、今日初めて会った時にコッソリと調べさせていただきましたわ」
「勝手にスキルを使って申し訳ありませんわ」と頭を下げるリーシャ様。
「あ、頭を上げてください!そんなことで怒ったりしませんから!」
実際、俺もコッソリ賢者さんを使って鑑定してるので、この場で怒ることはできない。
「ありがとうございます」
そう言って頭を上げたリーシャ様は話を続ける。
「カミト様の心は綺麗な色をしてましたわ。だからカミト様を信頼できると判断しました」
「男嫌いであるメル様が心を開くことのできる方なので、悪い方とは思ってませんでしたが」
「な、なるほど……」
2人の話を聞いて、初対面なのに俺への好感度が高いことに納得する。
すると、リーシャ様の表情が引き締まる。
「カミト様、お願いがあります」
「な、なんでしょうか?」
リーシャ様からただならぬ雰囲気を感じ、俺は表情を引き締める。
「代々、王都を治めているのは『ヴェール家』ですわ。しかし、お父様が亡くなったことで、ヴェール家の血筋を引き継いでいるのは、わたくしとレオノーラだけになりましたわ」
亡くなった国王陛下は短命でレオノーラ様が産まれてすぐに亡くなったとのこと。
もともと、ヴェール家の血を引き継いでいる人は少なく、不慮な事故や病気が重なり、一時期、ヴェール家の血を引き継いでいるのがリーシャ様達のお父様だけになってしまった。
そして、十数年前に国王陛下が亡くなったことで、ついにヴェール家の血を引き継いでいるのが2人だけになってしまったらしい。
「わたくし達は一刻も早く結婚して子供を産まなければいけません。ヴェール家の血筋を途絶えさせるわけにはいきませんので」
「2人の事情は分かりましたが、なぜそんな話を俺にしたんですか?」
「はい。なぜわたくしがカミト様にこのような話をしたのかというと、カミト様にはわたくしとレオノーラ、2人と近いうちに結婚していただきたいからです」
「ふむふむ……はぁ!?」
「わたくし達はカミト様の子供を産みたいのです!」
リーシャ様からの爆弾発言に俺は固まる。
メルさんも俺と同様に固まっていた。
「私たち……ぐずっ……特に期限の迫っているリーシャお姉様にはカミト様との結婚しか道はありません!どうか、リーシャお姉様とは今すぐ結婚してください!お願いします!カミト様っ!」
すると突然、涙を流しながらレオノーラ様が言う。
(………え、どゆこと?)
真剣にお願いするリーシャ様と、泣きながらお願いするレオノーラ様を見て困惑する俺だった。
496
お気に入りに追加
1,713
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最弱引き出しの逆襲 ― クラス転移したのはいいけど裏切られたけど実は最強だった件
ワールド
ファンタジー
俺、晴人は普通の高校生。だけど、ある日突然、クラス全員と一緒に異世界に飛ばされた。
そこで、みんなは凄い能力を手に入れた。炎を操ったり、風を呼んだり。でも、俺だけが"引き出し"なんていう、見た目にも無様な能力を授かった。戦いになんの役にも立たない。当然、俺はクラスの笑い者になった。
だけど、この"引き出し"、実はただの引き出しではなかった。この中に物を入れると、時間が経つにつれて、その物が成長する。最初は、その可能性に気づかなかった。
でも、いつしか、この能力がどれほどの力を秘めているのかを知ることになる。
クラスメイトたちからは裏切られ、孤立無援。でも、俺の"引き出し"が、みんなが見落としていた大きな脅威に立ち向かう唯一の鍵だったんだ。知恵と工夫で困難を乗り越えて、俺は最弱から最強へと変貌する。
工夫次第で幾らでも強くなれる引き出し能力で俺は成りあがっていこう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる