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2章 王都編
女王陛下からの褒美 1
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王宮に招待されたことを聞いた日から数日が経過する。
俺は活気付いている街並みと一枚のチラシを見る。
「S級ダンジョン『奈落』の攻略達成と新たなS級冒険者誕生を祝う祭りが明日開催されますね」
「そうね。これ、女王陛下が企画したらしいわよ」
俺は隣にいるメルさんに話しかける。
「たしか、カミトは国民の前で顔出しするって聞いてるわ。頑張ってね」
「うっ。俺、何を言えばいいかわからないのですが……」
「そんなの適当でいいわよ。カミトの顔見せがメインなんだから」
女王陛下の発案で俺のことを国民全員に紹介することとなり、それに併せて明日、王都では祭りが行われるとのこと。
ちなみに、女王陛下からの褒美も明日もらう予定だ。
「だから緊張する必要なんてないわ。私も招待されてるからサポートするわよ」
「ありがとうございます、メルさん」
メルさんがサポートしてくれるので少しは気が楽になる。
そんな話をしつつ俺は宿屋に戻った。
祭り当日。
王宮に招かれた俺は到着早々1つの部屋に案内され、貴族が着るような服に着替えさせられた。
「あのぉ、メルさん。俺、似合ってますか?着せられてる感が半端ないのですが」
「そんなことないわよ。とても似合ってて……その……か、かっこいいわ」
「あ、ありがとうございます」
そんな俺をメルさんが頬を染めつつ褒めてくれる。
お世辞だと思うが、その言葉を聞いて少し安心した俺は女王陛下と謁見するため、メルさんと話しながら声がかかるのを待つ。
すると“コンコン”というノック音が響き渡る。
「入っても大丈夫ですよ」
部屋に俺とメルさんしかいないため、メルさんの様子をチラッと確認してノックした人に声をかける。
「失礼します」
そう言って部屋に入ってきた女性を見て俺は言葉を失う。
高級なドレスに身を包み、腰まで伸ばした金色の髪をなびかせながら優雅に歩く女性。
絶世の美少女と言っても過言ではない女性は俺たちのもとへ辿り着くと綺麗な所作で挨拶をする。
「初めまして。わたくし、この国の第一王女であるリーシャ•ヴェールと申しますわ」
この国の第一王女であるリーシャ様。
現在16歳で冒険者学校に通っており、国王陛下と女王陛下の間に息子がいないため、将来はこの国の女王陛下になることが約束されている人物だ。
「あ、えーっと……お、俺はカミトといいます。今日はよろしくお願いします」
王族への礼儀など学んでいないため、年下ではあるが、丁寧な言葉で頭を下げる。
すると「ふふっ、聞いてた通りの方ですね」という言葉が聞こえてくる。
「……?」
その言葉を聞いて頭を上げると、リーシャ様が微笑んでいた。
「わたくし、メル様からカミト様のお話をたくさんお聞きして、一度お会いしたいと思っておりましたわ。妹もカミト様にお会いするのを楽しみにしてましたが、着替えに手間取ってるようで、ここには連れてくることができませんでした」
「………俺の話をメルさんから聞いたんですか?」
「はい!カミト様がメル様のことを抱きしめて『これからは俺がメルを守るから』と仰ったことまでお聞きしておりますわ!」
「ちょっ!リーシャ!そんなこと言わなくていいわよ!」
「ふふっ。すみません、メル様。口が滑ってしまいましたわ」
そう言ってメルさんを揶揄うリーシャ様。
「メルさんとリーシャ様は仲が良いですね」
「そうね。私の親が冒険者協会の会長だったから、昔から交流があるのよ。だから、こんな感じで話すことができてるわ。もちろん、公の場ではリーシャ様って呼んでるけどね」
「はい!だからカミト様も気軽にわたくしのことをリーシャと呼んでください!」
「そ、それは……か、考えときます……」
「すごく楽しみにしてますわ!」
そう言ってリーシャ様はニコッと笑う。
「あ、そうでした!わたくし、メル様とカミト様を呼びに来たことを忘れてましたわ!メル様、カミト様。お母様がお呼びですわ」
どうやらリーシャ様は俺たちのことを呼びに来たようで、俺たちは部屋を出る。
その時…
「この方なら相応しいかもしれませんわ」
と、何かを呟く声が聞こえてきた。
「……?何か言いましたか?」
「いえ、なんでもありませんわ」
そう言ってリーシャ様は歩き出す。
「……?」
俺は呟いた内容が気になったが聞き返さずにリーシャ様の後を歩いた。
俺は活気付いている街並みと一枚のチラシを見る。
「S級ダンジョン『奈落』の攻略達成と新たなS級冒険者誕生を祝う祭りが明日開催されますね」
「そうね。これ、女王陛下が企画したらしいわよ」
俺は隣にいるメルさんに話しかける。
「たしか、カミトは国民の前で顔出しするって聞いてるわ。頑張ってね」
「うっ。俺、何を言えばいいかわからないのですが……」
「そんなの適当でいいわよ。カミトの顔見せがメインなんだから」
女王陛下の発案で俺のことを国民全員に紹介することとなり、それに併せて明日、王都では祭りが行われるとのこと。
ちなみに、女王陛下からの褒美も明日もらう予定だ。
「だから緊張する必要なんてないわ。私も招待されてるからサポートするわよ」
「ありがとうございます、メルさん」
メルさんがサポートしてくれるので少しは気が楽になる。
そんな話をしつつ俺は宿屋に戻った。
祭り当日。
王宮に招かれた俺は到着早々1つの部屋に案内され、貴族が着るような服に着替えさせられた。
「あのぉ、メルさん。俺、似合ってますか?着せられてる感が半端ないのですが」
「そんなことないわよ。とても似合ってて……その……か、かっこいいわ」
「あ、ありがとうございます」
そんな俺をメルさんが頬を染めつつ褒めてくれる。
お世辞だと思うが、その言葉を聞いて少し安心した俺は女王陛下と謁見するため、メルさんと話しながら声がかかるのを待つ。
すると“コンコン”というノック音が響き渡る。
「入っても大丈夫ですよ」
部屋に俺とメルさんしかいないため、メルさんの様子をチラッと確認してノックした人に声をかける。
「失礼します」
そう言って部屋に入ってきた女性を見て俺は言葉を失う。
高級なドレスに身を包み、腰まで伸ばした金色の髪をなびかせながら優雅に歩く女性。
絶世の美少女と言っても過言ではない女性は俺たちのもとへ辿り着くと綺麗な所作で挨拶をする。
「初めまして。わたくし、この国の第一王女であるリーシャ•ヴェールと申しますわ」
この国の第一王女であるリーシャ様。
現在16歳で冒険者学校に通っており、国王陛下と女王陛下の間に息子がいないため、将来はこの国の女王陛下になることが約束されている人物だ。
「あ、えーっと……お、俺はカミトといいます。今日はよろしくお願いします」
王族への礼儀など学んでいないため、年下ではあるが、丁寧な言葉で頭を下げる。
すると「ふふっ、聞いてた通りの方ですね」という言葉が聞こえてくる。
「……?」
その言葉を聞いて頭を上げると、リーシャ様が微笑んでいた。
「わたくし、メル様からカミト様のお話をたくさんお聞きして、一度お会いしたいと思っておりましたわ。妹もカミト様にお会いするのを楽しみにしてましたが、着替えに手間取ってるようで、ここには連れてくることができませんでした」
「………俺の話をメルさんから聞いたんですか?」
「はい!カミト様がメル様のことを抱きしめて『これからは俺がメルを守るから』と仰ったことまでお聞きしておりますわ!」
「ちょっ!リーシャ!そんなこと言わなくていいわよ!」
「ふふっ。すみません、メル様。口が滑ってしまいましたわ」
そう言ってメルさんを揶揄うリーシャ様。
「メルさんとリーシャ様は仲が良いですね」
「そうね。私の親が冒険者協会の会長だったから、昔から交流があるのよ。だから、こんな感じで話すことができてるわ。もちろん、公の場ではリーシャ様って呼んでるけどね」
「はい!だからカミト様も気軽にわたくしのことをリーシャと呼んでください!」
「そ、それは……か、考えときます……」
「すごく楽しみにしてますわ!」
そう言ってリーシャ様はニコッと笑う。
「あ、そうでした!わたくし、メル様とカミト様を呼びに来たことを忘れてましたわ!メル様、カミト様。お母様がお呼びですわ」
どうやらリーシャ様は俺たちのことを呼びに来たようで、俺たちは部屋を出る。
その時…
「この方なら相応しいかもしれませんわ」
と、何かを呟く声が聞こえてきた。
「……?何か言いましたか?」
「いえ、なんでもありませんわ」
そう言ってリーシャ様は歩き出す。
「……?」
俺は呟いた内容が気になったが聞き返さずにリーシャ様の後を歩いた。
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