スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部

文字の大きさ
上 下
45 / 146
2章 王都編

S級ダンジョン『奈落』の攻略 9

しおりを挟む
 気がつくと後頭部に柔らかい感触を感じた。

(柔らかい。最高の寝心地だ)

 そんなことを思い、再び眠りにつこうとするが…

(待てよ?確かS級ダンジョンの30階で黒の騎士とかいう化け物に勝ってそのまま倒れたんだよな?ダンジョンに柔らかい枕なんかないし……)

 と思い、俺は頭に敷いているものを触ってみる。

「ひゃっ!」

 すると可愛らしい声が上から聞こえてきた。

「………」

 嫌な予感がした俺はすぐに目を開けると、メルさんの巨乳が目に入った。

(ってこれ、膝枕かよ!)

 そこで、ようやく自分の体勢を理解する。
 そして飛び跳ねるように起き上がる。

「痛って!」
「だ、大丈夫!?」

 そんな俺に優しくメルさんが話しかける。

「だ、大丈夫です!ってそんなことよりも、ごめんなさい!男嫌いのメルさんに触ってしまって!」

 俺は太ももに触ったことを即座に謝る。

(きっと今から半殺しか永遠の罵倒がやってくるんだろうなぁ)

 そんなことを思いつつ、ビクビクしながらメルさんの言葉を待つ。
 しかし、俺の想像した未来はやってこなかった。

「カ、カミトになら触られても平気よ。だから謝らなくてもいいわ」
「………あ、ありがとうございます?」
「なんで疑問系なのよ」

 まさか許してもらえるとは思わなかった俺は、ぎごちない返答となる。

(顔を真っ赤にしてるからめっちゃ怒ってると思ったんだが……)

 俺がメルさんの行動を不思議に思っていると、突然メルさんが頭を下げる。

「ごめんカミト!私、カミトのことを殴ってしまった!ホントごめん!」
「気にしないでください。メルさんのパンチは効きましたが、それが原因で大怪我を負ってませんから」

 実際、ポーションでメルさんから殴られたダメージは回復できたので本当に気にしてない。

「……やっぱりカミトは優しいわね」
「……?」

 すると、なぜか「優しい」と言われる。
 理由は全くわからなかったが、聞き返すことはせず、俺はメルさんの身を心配する。

「それよりもメルさんは大丈夫ですか?嫌な出来事を思い出させるスキルを喰らったようですが」
「っ!」

 俺の発言を聞いて、なぜか顔を真っ赤にする。

「え、えぇ。カ、カミトのおかげで問題ないわ」
「………?」

 なぜそんな反応をするのかは理解できなかったが、大丈夫そうなので一安心する。
 そんな中、メルさんがモジモジしながら俺に問いかける。

「ね、ねぇ、カミト。カミトはこれからも私のことを守ってくれるの?」

『これからは俺がメルを守るから』

 この言葉は俺がメルさんへ言った言葉だ。

「もちろんです。まぁ、S級冒険者のメルさんを守る機会なんてないとは思いますが」
「そ、そう……」

 すると、先ほどよりも顔を真っ赤にしたメルさんが俺から顔を逸らす。

「どうしましたか?」
「な、なんでもないわ!」

 と言うが俺の顔を全く見てくれない。

「と、とにかく!ダンジョンのコアを破壊するわよ!騎士の魔石は私が回収しておいたから!」
「そ、そうですね!」

 変な空気を変えるため、俺もメルさんの提案に同意する。

「それとボス戦では私の過去のせいでカミトの足を引っ張ってしまったわ。だからカミトは私の過去を知る必要があると思うの」

 正直、メルさんのトラウマは気になっていた。
 あの時『奴隷にもなる!何でもする!だから妹には手を出さないで!』という言葉を聞いてから。

「でも少しだけ待ってほしいの。カミトに話す心の準備ができるまで。必ず、カミトには話すから!」
「わかりました。メルさんの心の準備ができるまで待ち続けますよ」

 トラウマを人に話すことには抵抗がある。
 メルさんはそのトラウマを話そうとしてくれた。
 それだけで俺はメルさんとの距離が縮まったように感じ、笑みをこぼす。

「な、なによ?」
「いえ、なんでもありません。はやくダンジョンコアに向かいましょう」

 そう言って俺は歩き出す。
 今回俺たちの目的は、王都の地下にあるS級ダンジョン『奈落』のコアを破壊し、このS級ダンジョンを消滅させることだ。

「これね」

 たどり着いた場所には、占い師がよく使う水晶玉のような物が台座の上にポツンと置かれていた。

「これを割るとダンジョンが消滅するわ。じゃあ、割るわよ」

 とのことで、メルさんが地面に水晶玉を叩きつける。

 すると…

『ダンジョンコアが破壊されました。そのため、このダンジョンは後30分で消滅します』

 とのアナウンスが聞こえてきた。

「じゃあ帰るわよ。カミトは大怪我を負ってるんだから」
「そうですね。自分でも歩けてることが奇跡だと思ってます」

 俺が気絶している間、メルさんがポーション等々を使い介抱してくれたおかげだろう。

「俺、どれくらい寝てましたか?」
「私が起きてから3時間は寝てたわ」

「えっ!俺、3時間もメルさんに膝枕してもらってたんですか!?」
「3時間もしてないわよ!」

 どうやら3時間は膝枕してないようだ。

「なら3時間もメルさんを待たせてしまってたんですね。途中で俺を起こしても良かったと思いますが……」
「重傷を負ってる人を無理やり起こす趣味なんてないわ」
「た、確かに……」

 俺も逆の立場だったら絶対に起こさない。

「じゃあ、俺が起きる間の3時間は何してたんですか?」
「っ!」

 純粋に気になったことをメルさんに聞くと、なぜか顔を真っ赤にする。

「カ、カミトには関係ないわ!」

(えぇ……そんな反応されると逆に気になるんですが)

「ほ、ほら!はやくワープゾーンに入るわよ!」

 これ以上、この話題に触れたらまずいようなので、俺はメルさんに促されてワープゾーンに入る。
 すると俺たちの目の前に宝箱が1つ用意されており『黒の騎士 No.8の討伐に成功。報酬部屋へ案内します』とのアナウンスが聞こえてきた。

「報酬部屋につきましたね」
「報酬がないなんて割に合わないもの。たどり着いて当然ね」

 そんな話をしつつ、俺たちは宝箱を開けた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...