スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部

文字の大きさ
上 下
39 / 146
2章 王都編

S級ダンジョン『奈落』の攻略 3

しおりを挟む
「どう?これがメルの実力」
「凄すぎて褒め言葉しか出てきません」

 メルさんのステータスを確認した俺は、思っていることを正直に伝える。

「だよね!氷魔法を自由自在に操ってる所とかカッコいいよね!」
「だから褒めなくていいわよ!」

 そんな会話をしながらダンジョンを攻略していく。
 その後も俺はメルさんと積極的にコミュニケーションを図り、ある程度連携できるようになった。

「今度は俺が倒します!」
「………」

 “ザシュっ!”

 俺は目の前のオーガを剣で倒す。
 すると、すぐにオーガがもう1匹現れる。

「………」
「あ、今度はメルさんが倒すんですね!お願いします!」
「アイスソード」

 杖を構えたメルさんを見て、俺は瞬時にその場から離れる。

「いけ」
「グォォォっ!」

 メルさんのアイスソードに貫かれ、オーガが魔石となる。

「おー。だんだん連携っぽくなってきた。さすがメルとカミト」
「これを連携といっていいのかは分かりませんが、協力はするようになりましたね」

 俺がメルさんの動向を逐一確認し、メルさんの意図を汲み取って合わせてるだけだが。

「10階までは協力しなかったって聞いてたから、かなりの進歩だよ!」

(男である俺と多少だがコミュニケーションを取り、今のような感じで協力もしてくれる)

 そう言われるとかなりの進歩を感じる。

「メル。21階からは私たちはついていけない。今の感じでカミトと協力すれば21階からも問題なく探索できる?」
「そうね。もともと21階から25階までは私1人でも問題なく探索できてるから問題ないと思うわ。ソロでの探索にならないからステータスは少し下がっちゃうけど」

 〈孤高の魔女〉という称号により、ソロでの探索だと全ステータス5,000上昇という効果が追加されるが、俺と一緒に探索することになるため、〈孤高の魔女〉は発動しない。

「大丈夫です。その辺りは俺がサポートしますので」
「ん、なら安心」
「だね!しっかりとメルさんを守ってね!」

 セリアさんがホッとした表情で言い、ソラさんは俺なら守ってくれると確信してるように言う。

「………」

 その様子を黙って見てたメルさんが「ねぇ、セリア」と、不思議そうに口を開く。

「どうしてセリアはアイツを信頼してるの?アイツはセリアに『希望の花』を渡しただけの関係よ。セリアにとっては命の恩人だけどさすがに信頼しすぎだわ」

 メルさんにとって、セリアさんが俺のことを信頼しすぎているように見えるらしい。
 俺も『希望の花』をあげただけで信頼されすぎだとは思っていたため、セリアさんの返答が気になる。

「理由はたくさんあるけど1番はこれ。私は自分よりも他人を優先し、謙遜することなく振る舞う姿を見て、カミトを信頼できると思った」

 真っ直ぐな瞳でメルさんに言う。

「ソラはなぜアイツを信頼してるの?」
「ふえっ!私!?」
「そうよ。ソラもアイツのことを信頼してると思ったわ。なぜなの?」
「え、えーっと……私、リブロのダンジョンでブラックドラゴンに襲われてるところをカミトくんに助けられたんです」
「えっ!そんなことがあったの!?」
「はい。その時、カミトくんが颯爽と現れて助けてくれたんだけど、カミトくんは私がブラックドラゴンと対峙してることを知ってて助けに来てくれたんです。危険な目に遭うかもしれないのに。それだけで私は信頼できる人って思ったんです」

 ソラさんの発言を聞いてメルさんが考え込む。

「私、昔のことがあって男は絶対に信頼しないようにしてきたわ。その結果、どんどん男が嫌いになったの。会話も嫌なくらいに」

 ある程度予想はしてたが予想通りの理由だった。

「でもセリアとソラはアイツの内面を見て信頼できると思ったのね。それに母さんにも言われたわ。アイツは絶対にメルを傷つけないって。母親と親友、それに友達の言うことは信じなきゃダメよね」
「メル!」
「メルさん!」
「ま、まぁ、私があれだけ酷い対応をしても歩み寄ろうとしてくるお人好しだから、信じてあげてもいいかなーって思っただけよ」

 そう言ってメルさんが俺の方を向く。

「そ、その……い、今まで酷い対応をしてごめん……カミト」
「……え?」

 咄嗟のことで脳が理解できず聞き返してしまう。

「だから、ごめんなさいって言ったの!今度は聞こえたでしょ!」
「あ、いえ!まさか俺のことを名前で呼んでくれるとは思わなくて」
「な、なによ!今まで通りアンタって呼ぶわよ!」
「いえ!名前で呼んでくれて嬉しいです!それと、今までの対応は気にしてませんので、謝らなくてもいいですよ」
「……ふんっ!」

 若干頬を染め、顔を逸らすメルさん。

「男は嫌いだけどカミトのことは……その……信頼しようと思うわ。これからはちゃんとコミュニケーションもする予定よ」
「メルさん!」
「ただし!コミュニケーションだけよ!私の身体に触ったら殺すからね!」
「わ、わかりました!」

(メルさんに触ったら殺されるらしいが……少しはメルさんとの距離を縮められたかな)

 そう思うと自然と笑みが溢れる。

「な、なによ!突然、笑ったりして!」
「あ、いえ!俺、メルさんとは仲良くなりたかったので嬉しいなぁって思っただけです!」
「っ!私から散々酷いことされたのに……」
「これがカミトの良いところ」
「はい!」
「ふふっ、そうかも。だから私はカミトのことを信頼しようと思ったのね」

 男である俺がいることで表情が固かったメルさんにも、ようやく笑顔が生まれる。

「メルとカミトが無事仲良くなったことで、このまま探索を再開するよ」
「えぇ!」
「はい!」
「分かりました!」

 俺たちはセリアさんの言葉に返事をして、探索を再開した。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜

妄想屋さん
ファンタジー
 最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。  彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、 「このパーティを抜けたい」  と、申し出る。  しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。  なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

毎日スキルが増えるのって最強じゃね?

七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。 テンプレのような転生に驚く。 そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。 ※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。 ※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

処理中です...