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1章 リブロ編
アムネシアさんとの別れ
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俺たち3人はアムネシアさんの部屋を訪れ、“コンコン”とノックをする。
しばらく待つと、玄関のドアが開き、アムネシアさんが現れた。
「こんにちは、アムネシアさん」
「あら、こんにちは。今日はどうしたの?」
「はい。実はアムネシアさんにお話ししたいことと、確認したいことがありまして」
俺はそのような前置きから本題へと移る。
「昨日、アムネシアさんから依頼された『希望の花』を納品することができました」
俺が『希望の花』を見つけ、依頼達成したことを伝えると驚いた顔をする。
「なかなか見つけることができない素材とは聞いてたけど……ありがとう、カミトくん。これで孫を助けることができるよ」
そして眼を潤ませ、感謝を伝えてくる。
「その件で1つ確認したいことがありまして……アムネシアさんのお孫さんってセリアさんですか?」
「えぇ、セリア•エリスティンよ」
その言葉を聞いてソラさんが動き出す。
「アムネシアさん!私、セリアさんと一緒に冒険者をやってるソラと言います!」
どうやらソラさんのリーダーと名前が一致したようだ。
「今回、セリアさんは私を庇ってドクサソリの攻撃を受け、今も寝込んでいます。本来なら今頃、セリアさんはアムネシアさんと会っているはずなのに……ごめんなさい!」
ソラさんが頭を下げる。
ソラさんは自分の過ちを悔やんでいるのか、全身が震えていた。
そんなソラさんに「謝りに来てくれてありがとう」と優しい声色でソラさんに語り始める。
「セリアが重い病気になったと聞いた時は心臓が飛び出るかと思うほど苦しかったし、セリアに会えないのは残念だけど、カミトくんのおかげで元気になるからね。ソラさんは気にしなくていいよ」
「アムネシアさん……」
「これからもセリアと仲良くしてね」
「っ!はい!」
ソラさんが元気に返事をする。
その返事に満足したアムネシアさんが俺の方へ視線を移す。
「あ、そうだ。カミトくん、依頼達成の報酬は受け取ったかな?」
「あ、そのことなんですが……俺、金貨6枚も受け取れません」
そう言って金貨6枚をアムネシアさんへ差し出す。
「実はソラさんもセリアさんを助けるために『希望の花』を探してました」
という前置きの後、俺は金貨6枚を返す理由を説明する。
俺が『希望の花』を3つ見つけたこと。
その内の1つをセリアさんを助けるためにソラさんへあげたこと。
そして、その対価としてソラさんに王都を案内してくれるようお願いしたこと。
「だからアムネシアさんからも報酬を受け取るわけにはいきません。というより、今まで俺たちを助けてくれたアムネシアさんから金貨6枚もいただけません」
そう言って無理やりアムネシアさんへ金貨6枚を返す。
「あと、俺とクレアからの餞別品として『希望の花』をプレゼントしようと思います。『希望の花』は病気も治す薬になりますので」
「……いいの?『希望の花』を購入するとなれば金貨10枚はくだらないと聞いたよ?そんな物をタダでもらうわけには……」
「俺たち、アムネシアさんには元気で長生きしてほしいんです。だって、俺たちのお婆ちゃんですから」
俺は心の底から思っていることをアムネシアさんに伝える。
隣ではクレアも頷いていることから、クレアも俺と同じことを思っていたようだ。
「カミトくん……クレアちゃん……」
そんな俺たちを見たアムネシアさんは諦めた表情となる。
「ふふっ、可愛い孫たちにここまで言われたら元気に長生きしないとね」
「「アムネシアさん!」」
「ありがとう、カミトくん。クレアちゃん。元気に長生きしてるから、リブロに帰ってきた時は顔を見せてね」
「「はい!」」
俺たちは元気に返事をする。
その後、アムネシアさんに明日王都へ出発することを伝え、俺たちは別れの挨拶を済ませた。
【1章完結】
しばらく待つと、玄関のドアが開き、アムネシアさんが現れた。
「こんにちは、アムネシアさん」
「あら、こんにちは。今日はどうしたの?」
「はい。実はアムネシアさんにお話ししたいことと、確認したいことがありまして」
俺はそのような前置きから本題へと移る。
「昨日、アムネシアさんから依頼された『希望の花』を納品することができました」
俺が『希望の花』を見つけ、依頼達成したことを伝えると驚いた顔をする。
「なかなか見つけることができない素材とは聞いてたけど……ありがとう、カミトくん。これで孫を助けることができるよ」
そして眼を潤ませ、感謝を伝えてくる。
「その件で1つ確認したいことがありまして……アムネシアさんのお孫さんってセリアさんですか?」
「えぇ、セリア•エリスティンよ」
その言葉を聞いてソラさんが動き出す。
「アムネシアさん!私、セリアさんと一緒に冒険者をやってるソラと言います!」
どうやらソラさんのリーダーと名前が一致したようだ。
「今回、セリアさんは私を庇ってドクサソリの攻撃を受け、今も寝込んでいます。本来なら今頃、セリアさんはアムネシアさんと会っているはずなのに……ごめんなさい!」
ソラさんが頭を下げる。
ソラさんは自分の過ちを悔やんでいるのか、全身が震えていた。
そんなソラさんに「謝りに来てくれてありがとう」と優しい声色でソラさんに語り始める。
「セリアが重い病気になったと聞いた時は心臓が飛び出るかと思うほど苦しかったし、セリアに会えないのは残念だけど、カミトくんのおかげで元気になるからね。ソラさんは気にしなくていいよ」
「アムネシアさん……」
「これからもセリアと仲良くしてね」
「っ!はい!」
ソラさんが元気に返事をする。
その返事に満足したアムネシアさんが俺の方へ視線を移す。
「あ、そうだ。カミトくん、依頼達成の報酬は受け取ったかな?」
「あ、そのことなんですが……俺、金貨6枚も受け取れません」
そう言って金貨6枚をアムネシアさんへ差し出す。
「実はソラさんもセリアさんを助けるために『希望の花』を探してました」
という前置きの後、俺は金貨6枚を返す理由を説明する。
俺が『希望の花』を3つ見つけたこと。
その内の1つをセリアさんを助けるためにソラさんへあげたこと。
そして、その対価としてソラさんに王都を案内してくれるようお願いしたこと。
「だからアムネシアさんからも報酬を受け取るわけにはいきません。というより、今まで俺たちを助けてくれたアムネシアさんから金貨6枚もいただけません」
そう言って無理やりアムネシアさんへ金貨6枚を返す。
「あと、俺とクレアからの餞別品として『希望の花』をプレゼントしようと思います。『希望の花』は病気も治す薬になりますので」
「……いいの?『希望の花』を購入するとなれば金貨10枚はくだらないと聞いたよ?そんな物をタダでもらうわけには……」
「俺たち、アムネシアさんには元気で長生きしてほしいんです。だって、俺たちのお婆ちゃんですから」
俺は心の底から思っていることをアムネシアさんに伝える。
隣ではクレアも頷いていることから、クレアも俺と同じことを思っていたようだ。
「カミトくん……クレアちゃん……」
そんな俺たちを見たアムネシアさんは諦めた表情となる。
「ふふっ、可愛い孫たちにここまで言われたら元気に長生きしないとね」
「「アムネシアさん!」」
「ありがとう、カミトくん。クレアちゃん。元気に長生きしてるから、リブロに帰ってきた時は顔を見せてね」
「「はい!」」
俺たちは元気に返事をする。
その後、アムネシアさんに明日王都へ出発することを伝え、俺たちは別れの挨拶を済ませた。
【1章完結】
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