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1章 リブロ編

vsブラックドラゴン 2

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「さぁ、討伐開始だ!」

 俺は気合を入れるために、大きな声を出す。

「賢者さん!ブラックドラゴンの弱点を教えて!」

『了解しました。視覚を通して弱点となる部分に印をつけました。その部位は【硬化】のスキルを発動できませんので、その部位を狙ってください』

「さすがっ!」

 その発言を聞き終わると、ドラゴンの身体にいくつもの赤い点が見え始める。

「あとは3秒先の未来を知ることができる未来視を上手く組み合わせれば勝てるか。問題は未来視を今まで使ったことがないということだが」

 未来視を使いながらの戦闘は今までやったことがなく、3秒先の未来を見ながら動くといった芸当ができるか分からない。
 それに未来視は3秒先のことを10秒間だけ確認できる強力スキルだが、クールタイムが1時間ある。
 なので大事な所で使えるかが勝負の分かれ目になるだろう。

 俺は「ふぅー」と一息つく。

 ブラックドラゴンという強敵と戦う状況だが、何故か落ち着いており不思議と恐怖はない。
 それどころかワクワクしている自分がいる。

(きっとカインのおかげだろう。ドラゴン十数体を相手にしても引けを取らないカインの度胸が俺にも備わったみたいだ)

 記憶の中のカインは戦闘狂な部分もあったため、その部分も引き継がれていることに感謝する。

「可愛い女の子が見てるんだ。カッコ悪いところは見せられないよな。それに、1人で勝手に死なないことをクレアと約束してるんだ。こんなところで死ぬわけにはいかない!」

 俺は自分に言い聞かせるように呟く。

「動かないようなら俺から攻撃させてもらうぞ!」

 俺は地面を蹴り、ドラゴンとの距離を詰める。
 俊敏ステータスをフルに使っているため一瞬で距離を詰めることに成功する。

「はぁーっ!」

 そして足の部分にある赤い点目掛けて一閃するが、爪によって防御される。

「やっぱり防がれるか。図体はデカいのに速いなっ!」
「グォォォっ!」

 俺の攻撃を防いだドラゴンが防御から攻撃へと移る。

「っ!」

 横から来る鉤爪を頑丈な長剣で防御し、反撃に移ろうとすると鉤爪による連続攻撃が来た。

「くっ!」

 隙を見て攻撃に転じようと剣で防ぎ続けるが攻撃に移る隙がない。
 そんな中、“ピキっ!”と嫌な音が響き渡る。

「なっ!」

 俺は慌ててジャンプで躱し、一度距離を取り体勢を立て直す。

「マジかよ。剣にヒビが入ったぞ」

 最悪の事態に頭を抱えたくなる。

「賢者さん。この剣ってあとどれくらい耐えれそう?」

『解、今の攻撃ならあと数回しか防げません』

「っとなると剣で防ぐわけにはいかないか。ちなみに新しい頑丈の長剣で攻撃したら壊れるのか?」

『解、全力攻撃に数回は耐えれますが、何度も攻撃していると折れます』

「マジか」

 予備の装備を買ってはいるが、頑丈な長剣ほど強力な武器は持ってない。

(とりあえず予備で買った頑丈な長剣に変更だ)

 俺は剣を入れ替えて仕切り直す。

「グォォォっ!」

 そのタイミングで咆哮したブラックドラゴンが両翼を使い空を飛ぶ。

「グォォォー!」

 そして鋭い鉤爪を見せながら急降下してくる。

「っ!回避っ!」

 俺は転がるようにドラゴンの攻撃を回避する。

 “ドゴゴっ!”

 その瞬間、かなりの破壊音が響き渡り、地面に小規模のクレーターが発生する。

「破壊不能と言われてるダンジョンの地形を変えたのかよ。さすが全ステータス15,000だな」

 重力を利用した攻撃という点もあるが、喰らったら大怪我を負いそうだ。

「だが引くわけにはいかないっ!」

 俺はすぐに立ち上がりクレーターを作った着後で空中に飛んでないドラゴンへ攻撃を仕掛ける。

「『星剣技』初の型〈牙突〉」

 俺は俊敏ステータスをフルに使いドラゴンへ突き攻撃を仕掛ける。

 この技は一言で言えばただの突き攻撃だが、突き攻撃を極めたことで異次元のスピードと攻撃力を誇る。
 そして部位破壊に特化した剣技となり、赤い点にピンポイントで攻撃を仕掛けるには持ってこいの技だ。
 しかし速さを上げることに全てを割いているため、咄嗟の防御や方向転換はできないことが弱点だ。

(狙うは硬化が発動していない赤い点!)

 寸分違わず突き攻撃を仕掛けるが、俺よりもステータスが上なドラゴンは反応し、鉤爪で防御体勢を取る。

「遅いっ!」

 しかし防御無視でスピードを上げた俺の方が一瞬速く、ドラゴンの弱点である足の関節を貫く。

「グォォォォォっ!」

 今日1番の咆哮後、ドラゴンが再び空を飛ぶ。

「まだまだーっ!『星剣技』四の型〈旋空〉~四連~」

 俺は空を飛ぶドラゴンへ向けて斬撃を飛ばす。

「グォっ!?」

 斬撃が飛ぶとは思わなかったのか、慌てて鉤爪で斬撃を防ぐが4つの斬撃を防ぐことはできず、斬撃の1つが右翼にある赤い点にクリンヒットする。

「グォァッ!」
「いまっ!」

 落下しているドラゴンへ距離を詰めるため、俊敏ステータスを使い、落下地点へ向かうが、落下中に体勢が整ったようで落下しながら口を大きく開ける。

『注意、【竜の息吹】が来ます』

「っ!」

 脳内で響いた賢者さんの声を聞き、攻撃を中断。
 全力で回避行動へ移る。

「ゴォォォォッ!」

 視界いっぱいに広がる【竜の息吹】を紙一重で転がるように回避し、体勢を整える。

「ありがとう、賢者さん」

『もっと褒めても良いですよ』

「ははっ。戦いが終わったらいっぱい褒めてやるから引き続きサポートを頼む」

『了解しました』

 俺は表情を引き締めて地面に着地したドラゴンを見据える。

「さて、第2ラウンドといこうか」
「グォォォォォっ!」

 俺の発言が聞こえたのか、ドラゴンの咆哮が響き渡った。
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