スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部

文字の大きさ
上 下
9 / 146
1章 リブロ編

ラジハルとの決闘 1

しおりを挟む
 支部長とラジハルの後に続き、訓練場へ向かう。

「カミトさん!」

 その最中、俺はルーリエさんに呼び止められた。
 そのため振り返るとルーリエさんを始め、いつも優しい対応をしてくれる受付嬢たちがいた。

「頑張ってくださいね!私たち、カミトさんがオーガを倒すことのできる実力者だと信じてますから!」

 ルーリエさんが受付嬢全員の想いを代弁してくれたのだろう。
 みんなの表情からそう判断する。

(俺が嘘をついてるとは思ってないんだな)

 そのことをとても嬉しく思う。

「ありがとうございます、ルーリエさん。それに皆さんも。絶対、勝ってきます!」

 そう答えた俺はルーリエさんたちに背を向けて歩き出した。



 リブロ支部に併設されている訓練場に到着する。
 そこには円形のステージが設置されており、ステージには場外とならないよう、壁も建てられている。
 また、周りには闘技場のように観戦することのできる観客席が設けられており、俺たちの会話を聞いた冒険者たちが観客席に座っている。

「ラジハルー!一瞬で終わらせるなよー!ザコがサンドバッグにされるところを見に来たんだから!」
「気絶させないよう気をつけろよ!」

 等々、俺を罵倒する声や俺が惨めに負けるところを期待する声が多々聞こえてくる。
 そんな声が聞こえる中、俺とラジハルは向かい合い、その中央に支部長が立つ。

「審判は私が務める」

 そう言って審判を務める支部長がルール説明を行う。

「ルールは2つ。武器の使用に制限はないことと、どちらかが気絶するまで戦うこと。以上だ」
「だってよ。つまり、お前は気絶するまで俺のサンドバッグになるってことだ。ま、そう簡単に気絶なんかさせないけどな」

(なるほど。支部長は俺が気絶するまでラジハルに攻撃させる予定か。そして、ラジハルは俺を気絶させる予定なんかないと。嫌なルールだ)

 支部長は俺を弱者と思っているにも関わらずこのルール。
 支部長の性格が悪さが著明に現れてる。

「先ほど預かった金貨2枚については勝者に渡す。ラジハルが勝った場合はオーガを倒し、魔石を手に入れた者へ返却するように」
「へーい」

 ラジハルが口だけの返事をする。

 すると「あ、そうだ」と、思い出したかのようにラジハルが話し始める。

「決闘の報酬、1つ追加させれくれよ。俺はお前の実力を証明するために巻き込まれたんだから1つくらい増やしてもいいだろ?」
「は?巻き込まれたとか全く思ってないだろ」
「そんなことねぇぞ。決闘なんか起きなかったら俺は今頃8階層でオーガを倒しているんだ。得るはずだった金額くらいの報酬はあってもいいだろ?」

 現時刻は夕方なので決闘がなかったら8階層にいるとは思えない。

 そう思い反論しようとするが…

「ラジハルの言う通りだな。B級冒険者であるラジハルの貴重な時間を使ってるんだ。報酬の追加はすべきだぞ」

 審判である支部長がラジハルがの提案に同意する。
 全然同意できる内容ではないが決闘が無くなってしまうのは困るので引き受けることにする。

「いいだろう。負けるつもりなんてないからな」
「弱いくせに物分かりがいいじゃねぇか」
「で、追加の報酬ってのはなんだ?」
「あぁ。お前の妹をよこせ」
「………は?」
「お前の妹をよこせって言ったんだ」
「はぁ!?なんでクレアが追加の報酬になるんだよ!」
「そりゃ、兄が『スライムしか倒せないゴミ』ってことが広まってるせいで学校では肩身の狭い思いをしてるからな。俺が救ってやろうと思ったんだ。まぁ、お前みたいに不出来じゃないからイジメられてはねぇがな」
「なっ!」

 その言葉に俺は衝撃を受ける。

(俺のせいでクレアは普通の学園生活を送ることができていなかったのか?不甲斐ない俺のせいで……)

 そして自分を責めてしまう。

(それなのにクレアは学校のことを俺に話さず、いつも俺に元気を与えてくれてたのか)

 俺が帰るといつもクレアは笑ってくれた。
 俺が困っているといつもクレアは助けてくれた。
 そしてクレアは常に俺の味方でいてくれた。

 だが…

(何がお兄ちゃんだ。俺は一番近くにいる妹でさえ守ることができないなんて)

 クレアは俺に心配をかけないよう、学校のことを言わず、1人で抱え込んでいた。
 そんなクレアを俺は助けることができなかった。
 そのことに心を痛める。
 すると聞き捨てならないセリフが聞こえてきた。

「お前の妹って顔と身体が俺のタイプなんだよ。だから以前、お前の妹を遊びに誘ったんだ。でも、アイツは俺の誘いを断った。だから俺は『兄はスライムしか倒せないゴミだ』という噂を学校中に広めてやったんだ。いやぁ、噂ってすごいな。一瞬でお前の妹は1人になったぞ!」
「っ!」

 その言葉を聞き、心の底から怒りが込み上げてくる。

「でもよ、アイツは泣きもせずに毎日学校に通ってるんだから心が強いよな。そんな奴ほど俺の物にして俺色に調教したくなるよなぁ!」

 その言葉を聞いて、俺は自分を押さえつけていた何かが消し飛んだ。
 当初はラジハルに俺がオーガを倒せる実力を持っていることだけを証明する予定だったが、そんな気持ちは一瞬で吹き飛ぶ。

「―――ねぇ」
「あ?」
「お前は絶対許さねぇ!」
「はっ、ザコの分際で調子に乗るなよ!」

 俺たちは向かい合いながら敵意をむき出しにする。
 それを見た支部長が「始めっ!」という声をあげた。
 するとラジハルが握り拳を作って俺の下に突っ込んでくる。

「死ねっ!」

 普通の冒険者なら回避することができないスピードだが、全ステータス12,000越えの俺は問題なく視認できる。

 “パシっ!”

 俺はラジハルのパンチを左手で受け止める。

「!?」

「お前の攻撃はこんなもんかよ。なら、次は俺の番だな」

 そう言って俺は右手をグーにする。
 そしてラジハルが気絶しない程度で腹を殴る。

「かはっ!」

 俺のパンチを喰らい吹き飛んだラジハルが“ドンっ!”という大きな音ともに壁にぶつかる。
 まさか俺がラジハルを吹き飛ばすとは思わなかったのか、俺たちの決闘を見ている観客が一言も喋らなくなった。

「立てよ、ラジハル。俺とクレアが味わった苦しみを味わわせてやるから」

 俺は吹き飛んだラジハルに向けて、そう言った。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...