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7章 凛くん争奪戦

雨宮桃華との撮影 1

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 ドMでないことの弁明に10分程度の時間を要した。
 そのタイミングで途中から俺の話を聞いていた川端さんが話しかけてくる。
 ちなみに元凶である寧々は知らぬ存ぜぬといった感じでスタッフたちと話していた。

「夏目さんが実はドMという話は終わりましたか?」
「今、頑張って訂正したので蒸し返さないでくださいっ!」
「冗談です」
「………」

 淡々と告げるので冗談に聞こえない。

「それでは次の撮影に移ります。次は雨宮さんとの撮影です。他の4人は先ほどと同じように遠くから撮影を眺めてください」

 とのことで離れる前に4人が俺のもとに来る。

「凛くん。雨宮さんとはイチャイチャしすぎないでね」
「当たり前だ。撮影中にイチャイチャするわけないだろ。なぁ桃ちゃん?」
「そうですね。私はこの撮影に全てを賭けてますので夏目様とイチャイチャしてる余裕はありません」

 そう言って1つの手帳を取り出す。

「……なにそれ?」
「ふふんっ!これはですね。夏目ガールに選ばれるため、美柑と考えた作戦の数々です!」

 美柑とは桃ちゃんの妹で、ここにいるメンバーに負けないくらいの美少女だ。

「何が書かれてるかは知らないが、それだけ本気ってことか」
「はいっ!夏目ガールに選ばれるため、雨宮財閥の力まで使いましたから!」
「そこまでしたの!?」
「もちろんです!あ、財閥の力を使ったといっても、お金で私を選んでもらうよう働いたわけではありません。ただのアンケートを財閥の力で行っただけですよ」
「そうなんだ。ちなみにそのアンケートってなに?」
「それは秘密です。楽しみにしてくださいね?」

 そう言ってウインクを決める。

「っ!」

 毎度のことながら年上の色気がすごく、ちょっとした仕草でドキッとしてしまう。

(ただでさえ今日は露出の多い服を着てるんだ。桃ちゃんのことを変な目で見ないよう頑張らないと)

 改めて気合を入れる。
 そのタイミングでスマホを触っていた浜崎さんが声を上げた。

「雨宮財閥のアンケートってこれじゃないですか?」

 そう言って画面を見せられたため、俺たちは集まって画面を見る。

 そこには…

『20歳の女の子が年下の男の子と仲良くなる方法』

 と書かれていた。

 今行われている最終選考で確認したい要素が『俺との仲』だったので、この質問は絶対桃ちゃんが企画したものだろう。

「絶対これよ」
「自分の年齢まで書いてあるから100%このアンケートだね」
「俺もそう思うよ」

 意見が一致し、桃ちゃんを見る。

「今から行うことがバレてしまうので夏目様には隠したかったのですが……仕方ありません。それは私が企画したアンケートです」

 そう言って概要を教えてくれる。
 性別問わず行われたアンケートで、答えてくれた人に抽選でギフトカード1万円分をプレゼントするという破格のアンケートだった。
 しかも当選者は200人。
 こんなアンケートに200万円も費やしている雨宮財閥に言葉を失う。

「結果も書かれてますね。えーっと……1位は身体的アプローチですね」
「これが圧倒的でしたね。年上の魅力を余すとこなくアピールできるのは身体的アプローチが有効的なようです。幸い、私は身体に自信があります」

 そう言って胸を張り、“ぷるるんっ!”と巨乳を揺らす。

「ぐぬぬっ」
「私たちには無いものをっ!」

 それを見て、真奈美たちが親の仇でも見るような目で見る。

(いや真奈美は小さく無いだろ)

 1番の貧乳である美奈が怒るなら分かるが、巨乳と言っていいくらい大きな胸を持つ真奈美まで睨んでいる。

「というわけで、身体的アプローチの方法をいっぱいメモしてきました!機会があれば実行するので、覚悟してくださいね!夏目様っ!」

 眩しい笑顔で桃ちゃんが言う。

「あ、あぁ。ほどほどに頼むよ」

 どうやら俺は課題をクリアしつつ、桃ちゃんからの身体的アプローチにも耐えないといけないらしい。

(夏目ガールになるため身体的アプローチをするみたいだが……俺、桃ちゃんから何かされたら絶対放送できない顔になるぞ?)

 先程、“ぷるるんっ!”と大きく揺れた巨乳が目に焼き付いており、今もなお隙さえあれば大胆に開いた胸元へ視線が吸い寄せられている。
 そんなことを考えていると「こほんっ!」との咳払いが聞こえてきた。

「皆さん。私のこと忘れてませんか?」
「「「「「「あっ……」」」」」」

 桃ちゃんのアンケートのせいで川端さんのことをすっかり忘れていた。

「はぁ。絶対、人選を間違えました。先ほども撮影に乱入しそうになる4人を押さえ込むのに必死だったんですから」

 そんな苦労を呟きつつ俺を見る。

「それもこれも全て夏目さんの女たらしが原因です。なので責任をとって良い撮影にしてください」
「なんで俺!?」
「分かりましたか?」
「………はい」

 クール美女である川端さんから発せられる謎の圧に屈し、頷くことしかできない俺だった。
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