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7章 凛くん争奪戦
選考会という名の修羅場 8
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「疲れた……」
全員を慰めた俺は、控え室から逃げるように飛び出し、廊下にあるベンチで休憩していた。
「みんなの視線が痛かったなぁ」
美奈の頭を撫でた俺は、結局全員の頭を撫でることとなった。
ちなみに全員の頭を撫でる中で一番大変だったのは立花さんだ。
『べ、別に私は凛から撫でられても何とも思わないけど、みんな頭を撫でられて私だけ撫でられないとか嫌だから撫でさせてあげるわ。仕方なくね』
『無理することないんだぞ?俺なんかに撫でられて嫌な思いをするくらいなら』
『嫌な思いをするとは言ってないわよ。ただ、凛に撫でられても何とも思わないって言っただけよ』
『……なら撫でる必要なくね?』
『そ、そんなことないわよ!だからとっとと私の頭を撫でなさい!』
『えぇ……』
『立花さん。夏目さんが困ってますのでその辺にした方がいいと思いますよ?ウチらは立花さんだけ撫でられなかったことに対して仲間外れとか思いませんから』
『だよな!ほら!浜崎さんもそう言ってるから撫でなくても……嘘です。今すぐ撫でます。しっかり撫でます。なので睨まないでください』
“ギロっ!”と睨まれた俺は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなり、立花さんの頭を撫でる機械となった。
その際、周りが『長い』だの『ずるい』だの色々と言っていたので、『立花さんの頭を撫でたいなら今すぐにでも変わってあげよう!』と言ったら再び立花さんから睨まれた。
そんなことを思い出しつつ一息ついていると、俺のもとに寧々がやってきた。
「香帆ちゃん落ち込んでたよ?お兄ちゃんのせいで」
「俺のせいかよ。いや、心当たりしかないけど」
きっと俺みたいな奴から長時間頭を撫でられ、嫌な思いをして落ち込んでるのだろう。
そんな俺を見て「はぁ。鈍感お兄ちゃんめ」とため息をつく寧々。
「とりあえず控え室に戻ろ?もうすぐで障害物競走が始まる時間だから」
「あ、もうそんな時間なのか」
みんなの頭をナデナデしかしてないが、あっという間に時間が経っていたらしい。
「急いで戻るか」
俺は寧々と一緒に急いで控え室に戻った。
戻ってすぐに立花さんへ謝る。
「ごめん、立花さん。俺なんかに頭を撫でられて嫌な思いをしたんだろ?」
「そ、そんなことないわよ。それにさっきは私の方が悪かったわ。何度も睨んでごめんなさい」
「……?なんで立花さんが謝るんだよ。俺が立花さんの気持ちを理解してれば立花さんが睨むことなんてなかったんだから」
「……そうね。それに関しては凛も悪いと思うわ」
「あれ!?そこ肯定しちゃうの!?」
そんな感じで仲直りをする。
そんな俺たちを他所に…
「立花さんが素直になるか、夏目さんの鈍感が治り、立花さんの気持ちに気づくか。どっちが先だと思いますか?」
「夏目様の鈍感さが治ることはないと思います」
「リン様、私たちのアピールに全く気付いてませんからね」
「しかも未だにお兄ちゃんって立花さんから嫌われてるって思ってるからね」
「なんか香帆ちゃんが可哀想に思えてきたよ……」
5人が何かを話していたが、俺の耳には届かなかった。
俺が立花さんと仲直りしたタイミングで川端さんが部屋に入ってくる。
「障害物競走の準備が整いました。さっそく撮影を始めたいと思います」
とのことで俺たちは撮影現場に向かう。
「おぉー!障害物だらけだよ!」
大きなスタジオを丸々使い、色々な障害物が置かれていた。
「ハードルに網、それに平均台もありますね」
「あぁ。パン食い競争まで準備されてるし」
一般的な障害物は全て準備されていた。
「では5人はスタート位置へお願いします。夏目さんは一之瀬さんの隣へ」
とのことで全員が移動する。
「では準備が整いましたので撮影を始めます」
俺たちが配置についたのを確認した川端さんが声を上げる。
その声を聞いて…
「続いては障害物競走です!」
一之瀬さんが大きな声で話し始めた。
全員を慰めた俺は、控え室から逃げるように飛び出し、廊下にあるベンチで休憩していた。
「みんなの視線が痛かったなぁ」
美奈の頭を撫でた俺は、結局全員の頭を撫でることとなった。
ちなみに全員の頭を撫でる中で一番大変だったのは立花さんだ。
『べ、別に私は凛から撫でられても何とも思わないけど、みんな頭を撫でられて私だけ撫でられないとか嫌だから撫でさせてあげるわ。仕方なくね』
『無理することないんだぞ?俺なんかに撫でられて嫌な思いをするくらいなら』
『嫌な思いをするとは言ってないわよ。ただ、凛に撫でられても何とも思わないって言っただけよ』
『……なら撫でる必要なくね?』
『そ、そんなことないわよ!だからとっとと私の頭を撫でなさい!』
『えぇ……』
『立花さん。夏目さんが困ってますのでその辺にした方がいいと思いますよ?ウチらは立花さんだけ撫でられなかったことに対して仲間外れとか思いませんから』
『だよな!ほら!浜崎さんもそう言ってるから撫でなくても……嘘です。今すぐ撫でます。しっかり撫でます。なので睨まないでください』
“ギロっ!”と睨まれた俺は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなり、立花さんの頭を撫でる機械となった。
その際、周りが『長い』だの『ずるい』だの色々と言っていたので、『立花さんの頭を撫でたいなら今すぐにでも変わってあげよう!』と言ったら再び立花さんから睨まれた。
そんなことを思い出しつつ一息ついていると、俺のもとに寧々がやってきた。
「香帆ちゃん落ち込んでたよ?お兄ちゃんのせいで」
「俺のせいかよ。いや、心当たりしかないけど」
きっと俺みたいな奴から長時間頭を撫でられ、嫌な思いをして落ち込んでるのだろう。
そんな俺を見て「はぁ。鈍感お兄ちゃんめ」とため息をつく寧々。
「とりあえず控え室に戻ろ?もうすぐで障害物競走が始まる時間だから」
「あ、もうそんな時間なのか」
みんなの頭をナデナデしかしてないが、あっという間に時間が経っていたらしい。
「急いで戻るか」
俺は寧々と一緒に急いで控え室に戻った。
戻ってすぐに立花さんへ謝る。
「ごめん、立花さん。俺なんかに頭を撫でられて嫌な思いをしたんだろ?」
「そ、そんなことないわよ。それにさっきは私の方が悪かったわ。何度も睨んでごめんなさい」
「……?なんで立花さんが謝るんだよ。俺が立花さんの気持ちを理解してれば立花さんが睨むことなんてなかったんだから」
「……そうね。それに関しては凛も悪いと思うわ」
「あれ!?そこ肯定しちゃうの!?」
そんな感じで仲直りをする。
そんな俺たちを他所に…
「立花さんが素直になるか、夏目さんの鈍感が治り、立花さんの気持ちに気づくか。どっちが先だと思いますか?」
「夏目様の鈍感さが治ることはないと思います」
「リン様、私たちのアピールに全く気付いてませんからね」
「しかも未だにお兄ちゃんって立花さんから嫌われてるって思ってるからね」
「なんか香帆ちゃんが可哀想に思えてきたよ……」
5人が何かを話していたが、俺の耳には届かなかった。
俺が立花さんと仲直りしたタイミングで川端さんが部屋に入ってくる。
「障害物競走の準備が整いました。さっそく撮影を始めたいと思います」
とのことで俺たちは撮影現場に向かう。
「おぉー!障害物だらけだよ!」
大きなスタジオを丸々使い、色々な障害物が置かれていた。
「ハードルに網、それに平均台もありますね」
「あぁ。パン食い競争まで準備されてるし」
一般的な障害物は全て準備されていた。
「では5人はスタート位置へお願いします。夏目さんは一之瀬さんの隣へ」
とのことで全員が移動する。
「では準備が整いましたので撮影を始めます」
俺たちが配置についたのを確認した川端さんが声を上げる。
その声を聞いて…
「続いては障害物競走です!」
一之瀬さんが大きな声で話し始めた。
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