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7章 凛くん争奪戦

選考会という名の修羅場 4

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 みんなの質問に答えられなかった俺は逃げるように控え室から出る。
 そしてスマホを取り出し、可愛い妹へ電話をかける。

『助けてください、寧々様』
『……はぁ。絶対、一悶着起こすと思ったけど、まだ撮影現場に到着して1時間も経ってないよ?それに昨日のお兄ちゃんは「皆んな集合で楽しみー!」みたいなこと言ってたよ?』
『なんか想像してたのと全然違った』

 俺の想像ではみんな仲良く駄弁りながら楽しい選考会を行うはずだった。
 しかし到着早々、バチバチにやり合ってる5人が目に入り、川端さんの話を聞いてる時も楽しそうな雰囲気を感じなかった。
 かと思えば俺に対して一致団結した5人が迫ってくる。

『寧々様。俺がタクシー代を払うので今すぐ来てください。というか来てくれないと困ります。あの5人の仲を良い感じにすることなんて俺には無理です』
『……はぁ。15分もあれば着くからちょっと待ってて』
『ありがとう寧々!やっぱり持つべきものは可愛い妹だな!』
『お兄ちゃん、妹離れできるのかなぁ』

 そんなことを言いながら電話を切られた。



 15分後、寧々が到着する。
 もちろん、川端さんには話を通している。

「皆さんお久しぶりです!それと涼菜ちゃんと美奈ちゃんは初めまして!お兄ちゃんの妹の寧々です!」

 “ペコリ”と頭を下げながら簡単に自己紹介をする。

「わー!リン様に妹さんがいたんですね!すごい美人さんです!」
「芸能界で働いてるんですか?」
「ううん。私は働いてないよ。お兄ちゃんを応援するだけ」
「えぇー!勿体無いですよ!」
「ウチもそう思います!」
「そうよね。私も寧々を初めて見た時は同じ反応をしたわ」

 そう言って立花さんも会話に混ざり、和やかな雰囲気となる。

「さすが寧々様。後でお兄ちゃんがいっぱい甘やかしてあげよう」
「ふふっ。相変わらず凛くんは寧々ちゃんに激甘だね。気持ちはわかるけど」

 そこら辺の女の子よりも可愛くて常に俺のことを助けてくれる妹を甘やかすなというのは無理な話だ。
 そんなことを思いつつ寧々がみんなと話している様子を眺める。

「なるほど。選考会って知力と体力、そしてお兄ちゃんとの仲を点数化して1番良かった人がお兄ちゃんと旅をするんだ。知力、体力はある程度予測できるけど、お兄ちゃんとの仲ってどーやって点数化するんだろ?」

 そう言って寧々を交えた6人が頭を悩ませながら話し合う。
 美少女6人が色々と話し合う姿はとても絵になり、見てるだけで目の保養になる。

(寧々のおかげで5人の仲も良さそうだ。さすが寧々だよ)

 そんなことを思いつつみんなを眺めていると“コンコン”とのノック音が聞こえてくる。
 そして川端さんと共に1人の男性が部屋に入ってきた。

「一之瀬友也だ。今回の撮影で司会を務める。よろしくな」
「はいっ!よろしくお願いします!」

 俺たちは一之瀬さんへ挨拶をする。
 一之瀬友也さんは50代前半の男性で『イッテ来い』ではレギュラーメンバーとなっている芸人さんだ。

「今回、一ノ瀬さんには選考会を盛り上げるため司会をお願いしました」

 これも事前に聞いていたことなので驚きはない。

「では準備が整いましたので移動しますが、寧々さんも見学しますか?」
「えっ!いいんですか!?」
「はい。問題ありませんよ」
「ありがとうございます!」

 とのことで寧々を含め、全員で川端さんの後に続く。

「こちらになります。凛さんは特別席へどうぞ」

 そう言われ川端さんが指し示す方を向くと、司会者の隣の席に『夏目凛』と書かれたカードが置かれていた。

「本当に特別席ですね」
「凛さんには解説役をお願いしますので」
「えっ!俺、解説なんてできませんよ?」
「大丈夫です。その辺りは一之瀬がカバーしてくれますので」

 とのことで俺は一之瀬さんと共に用意された席へ向かう。

「解説なんてできるか分かりませんがよろしくお願いします。一之瀬さん」
「あぁ。よろしくな。夏目くん」

 そう言って手を差し出されたので俺は握手する。
 その間、真奈美たちが用意された席に座り、目の前にある早押しボタンの説明を受けていた。

「どんな問題が出るんですか?」
「聞いた話だと色々な問題らしい。小学生で学ぶことや日常生活で使える豆知識など多岐にわたると聞いてるぞ」
「それは楽しみです」

 俺も心の中でクイズに答えながら解説しようと思う。

「では準備が整いましたのでさっそく始めましょう」

 川端さんが周囲を確認し、声を上げる。

 その言葉を聞いて…

「夏目凛の初めてのおつかい!選考会編~!」

 元気よく一之瀬さんが話し始めた。
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