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6章 ドラマ撮影編
サイン会 1
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ドラマが放送されてから1ヶ月半が経過し8月中旬となる。
ドラマの撮影はアクシデントもなく順調に進んでおり、このペースでいけばクランクアップが9月上旬頃になるらしい。
クランクアップが最終回放送日の前日になるケースも多いため、今回の撮影は順調に進んでいた。
そんなある日のこと。
「明日は予定通り、凛くんのサイン会を開催する」
明日開かれる俺のサイン会について、社長と最終確認を行う。
このサイン会は俺の1st写真集の増刷に伴い企画されたもので、増刷した分の販売に併せて行う予定となっていた。
そして先日、1st写真集の増刷が完了し、サイン会の会場も準備できたため、明日実施することとなった。
「準備はできてるか?」
「問題ありません。目をつぶった状態でもサインを書くことができますよ」
寧々のおかげでたくさんのサインを書かされた俺は、達筆でカッコいいサインを目をつぶった状態でも書けるようになっていた。
「そうか。なら凛くんは告知を頼む」
「分かりました」
1ヶ月ほど前に一度告知しているが前日ということで再び告知を行う。
「事前に告知した時はすごい盛り上がりを見せましたが本当に来てくれるんですかね?」
「その辺は問題ない。入場制限をかけないといけないくらい人が来るはずだから」
どこからその自信が来るのかは分からないが、堂々と社長が言う。
「あ、そうか。凛くんには言ってなかったな。実はサイン会に来てくれる人が想像以上に多かったから事前にネット上で抽選会を行ったんだ」
「え、そんなことしたんですか?」
「あぁ。定員720名に対し、応募数は3千万越え。倍率は驚異の4万超えだ」
「………へ?」
「計算したら約41,000人に1人が当選してる計算だったぞ」
「………oh」
あり得ない数字に絶句する。
「ここ最近、凛くんのサイン会に行けないみたいな話をする人はいなかったか?」
「……そういえば真奈美と立花さんが行けないって言ってましたね。あれ、仕事の関係で行けないのかと思ってました」
「2人はハズレたんだろうな」
「な、なるほど。だから真奈美は『家族全員ダメだったんだよ!』とか言ってたのか……って、そんな状況になってるんだったら早く言ってくださいよ。俺、6時間と言わず1日中サインを書きましたよ?」
事前の話し合いにより俺のサイン会は6時間ほど行い、1人あたり30秒でサインを書く予定だった。
しかし今の話を聞き、サイン会の時間を伸ばしたいと思った。
「当日券とか用意できないんですか?」
「そうしたいのは山々だが現場の人たちに負担がかかり過ぎてしまう。今回は諦めてくれ」
「……そうですね」
俺は当たらなかった人たちへ申し訳ない気持ちを抱く。
そんな俺を見て社長が言葉を続ける。
「まぁ、応募数は3千万を超えてるが、本当にサイン会に来たかった人はその半分以下だ。家族総出で応募してる人や転売ヤーなども応募してるはずだからな」
「な、なるほど」
3千万の半分以下と言われても1千万人くらいはガッカリしてるが。
「そんな張り切らなくていいぞ。サイン会って凛くんが思ってる以上に疲れるから。初めは6時間やってみて、余力があったら次回以降、時間を延ばしてみよう」
どうやら社長は俺の負担を考えて6時間に設定してくれたようだ。
「分かりました。当日はどんな動きをすればいいですか?」
「あぁ。凛くんは発売する写真集にサインを書き、持ち時間である30秒でできることを叶えてくれ」
「30秒でできること……ですか?」
「あぁ。握手だったりツーショット写真を撮るとかだな」
「となるとサインを書く時間はできるだけ短くした方がいいですね」
30秒でサインを書いてツーショット写真を撮れるかは分からないが、来てくれたファンの希望はできるだけ叶えたいので頑張ってみる。
その後は矢上さんも交えて話し合いを続けた。
そしてサイン会当日を迎える。
ドラマの撮影はアクシデントもなく順調に進んでおり、このペースでいけばクランクアップが9月上旬頃になるらしい。
クランクアップが最終回放送日の前日になるケースも多いため、今回の撮影は順調に進んでいた。
そんなある日のこと。
「明日は予定通り、凛くんのサイン会を開催する」
明日開かれる俺のサイン会について、社長と最終確認を行う。
このサイン会は俺の1st写真集の増刷に伴い企画されたもので、増刷した分の販売に併せて行う予定となっていた。
そして先日、1st写真集の増刷が完了し、サイン会の会場も準備できたため、明日実施することとなった。
「準備はできてるか?」
「問題ありません。目をつぶった状態でもサインを書くことができますよ」
寧々のおかげでたくさんのサインを書かされた俺は、達筆でカッコいいサインを目をつぶった状態でも書けるようになっていた。
「そうか。なら凛くんは告知を頼む」
「分かりました」
1ヶ月ほど前に一度告知しているが前日ということで再び告知を行う。
「事前に告知した時はすごい盛り上がりを見せましたが本当に来てくれるんですかね?」
「その辺は問題ない。入場制限をかけないといけないくらい人が来るはずだから」
どこからその自信が来るのかは分からないが、堂々と社長が言う。
「あ、そうか。凛くんには言ってなかったな。実はサイン会に来てくれる人が想像以上に多かったから事前にネット上で抽選会を行ったんだ」
「え、そんなことしたんですか?」
「あぁ。定員720名に対し、応募数は3千万越え。倍率は驚異の4万超えだ」
「………へ?」
「計算したら約41,000人に1人が当選してる計算だったぞ」
「………oh」
あり得ない数字に絶句する。
「ここ最近、凛くんのサイン会に行けないみたいな話をする人はいなかったか?」
「……そういえば真奈美と立花さんが行けないって言ってましたね。あれ、仕事の関係で行けないのかと思ってました」
「2人はハズレたんだろうな」
「な、なるほど。だから真奈美は『家族全員ダメだったんだよ!』とか言ってたのか……って、そんな状況になってるんだったら早く言ってくださいよ。俺、6時間と言わず1日中サインを書きましたよ?」
事前の話し合いにより俺のサイン会は6時間ほど行い、1人あたり30秒でサインを書く予定だった。
しかし今の話を聞き、サイン会の時間を伸ばしたいと思った。
「当日券とか用意できないんですか?」
「そうしたいのは山々だが現場の人たちに負担がかかり過ぎてしまう。今回は諦めてくれ」
「……そうですね」
俺は当たらなかった人たちへ申し訳ない気持ちを抱く。
そんな俺を見て社長が言葉を続ける。
「まぁ、応募数は3千万を超えてるが、本当にサイン会に来たかった人はその半分以下だ。家族総出で応募してる人や転売ヤーなども応募してるはずだからな」
「な、なるほど」
3千万の半分以下と言われても1千万人くらいはガッカリしてるが。
「そんな張り切らなくていいぞ。サイン会って凛くんが思ってる以上に疲れるから。初めは6時間やってみて、余力があったら次回以降、時間を延ばしてみよう」
どうやら社長は俺の負担を考えて6時間に設定してくれたようだ。
「分かりました。当日はどんな動きをすればいいですか?」
「あぁ。凛くんは発売する写真集にサインを書き、持ち時間である30秒でできることを叶えてくれ」
「30秒でできること……ですか?」
「あぁ。握手だったりツーショット写真を撮るとかだな」
「となるとサインを書く時間はできるだけ短くした方がいいですね」
30秒でサインを書いてツーショット写真を撮れるかは分からないが、来てくれたファンの希望はできるだけ叶えたいので頑張ってみる。
その後は矢上さんも交えて話し合いを続けた。
そしてサイン会当日を迎える。
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