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6章 ドラマ撮影編
『生徒会長は告らせたい』の撮影 4
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「カットぉぉーっ!」
そこで森野監督の声が響き渡る。
「素晴らしいよ、2人とも!」
「「ありがとうございます!」」
演技を終えた俺たちを監督が絶賛して出迎えてくれる。
「随所で迫真の演技が目立ってたぞ!まるで演技じゃなく本心で言ってるようだった!」
(そりゃそうです。本心で言ってる部分ばかりだったので)
特に消しゴムを全力で投げられた後からは本心で言ってる部分ばかりだった。
監督が迫真の演技と感じたのも無理はない。
「立花さんも良かった!俺が想像した藤崎さんだったぞ!」
「ほ、ほんとですか!?」
「あぁ!黒川くんのことが好きではないけど構ってほしい女の子を上手く表現していた!君を指名して良かったよ!」
「っ!あ、ありがとうございます!」
立花さんの顔がパーっと笑顔になる。
(監督から、しかもこの業界で長く活躍されている森野監督からの褒め言葉だ。言われて嬉しく思わない役者はいないだろう)
立花さんの努力が報われた気がして俺まで嬉しくなる。
「今から俺は撮った映像を確認するから、2人は休憩してていいぞ」
そう言って監督が俺たちのもとから立ち去る。
「ねぇ、どうだった?私の演技は?」
「そうだな。すごく良かったよ。かなり練習してきたことが伝わってきた」
「ふふん!」
立花さんが程よい膨らみを強調するように胸を張る。
俺も監督と同じく立花さんの演技は素晴らしいと思った。
「でも私の実力はこんなもんじゃないわ!この撮影のために全てを賭けるつもりだもの!」
だが今の演技には満足してないようで、まだまだ上を見せてくれるらしい。
「それは楽しみだ」
お互いが高め合い、より良いドラマを作ろうと努力することは良いことなので笑って返答する。
「余裕そうね」
「そんなことないぞ。立花さんや真奈美に負けないよう頑張らないとって思ってたところだ。って、そんなことより、撮影中、立花さんが全力で消しゴムを投げてくるとは思わなかったぞ。事前に聞いてたスピードの倍くらい速かったし」
「あぁ、あれね。なんかイライラしたから全力で投げたわ」
「………」
どの辺でイライラしたかは知らないが、かなりイライラしたようで、俺の頬スレスレを狙って正確無比なコントロールを披露していた。
「ごめんなさいね。次は気をつけるから」
「心臓に悪いから次がないことを願うわ」
あれはマジでビビったので次がないことを本気で願う。
「でも良かったわよ。消しゴムを投げた後のアナタの演技は。監督も言ってた通り迫真の演技だったわ」
「危機感があったからな!ってか投げた後、めっちゃ悔しそうな顔してただろ!」
「当然よ。だって当てる気満々だったもの。でも外してしまったわ。アナタ、運が良いのね」
「やかましいわ!」
俺は声を荒げてツッコミをする。
そんなやり取りをしていると、いつの間にか側に真奈美が来ていた。
「じーー」
「ど、どうした?」
「ううん、2人とも息ぴったりだったなーって」
「はぁ!?」
真奈美の指摘に立花さんが声を上げる。
「どこが息ぴったりなのよ!」
「だって2人とも仲睦まじく喧嘩してるんだよ。しかも随所でアドリブまで入れて」
確かに後半部分は勢いに任せてアドリブが入っているが、作品を崩すようなアドリブではなかった。
その辺りは監督も気づいたと思うが撮影を止めることはしなかったので、アドリブを混ぜても問題ないと判断したのだろう。
「俺も息がぴったりだったことには同意だな。初めての演技でアドリブを入れる。しかもそのアドリブが作品の雰囲気や会話の流れを壊してなかったからな」
「うんうん!」
「うっ……」
俺の言っていることが理解できないほどの役者歴じゃないため、立花さんは言葉に詰まる。
心の中では息がぴったりだったと思っているが、嫌いな俺と息がぴったりなんて思われるのが嫌で否定したんだろう。
そう理解した俺は笑みをこぼす。
「な、なによ!」
「いや、何でもないぞ」
「じゃあ笑わないでよ!」
そう言われても立花さんの意地っ張りが可愛かったので、つい笑ってしまう。
「やっぱり香帆ちゃんは要注意人物だよ!私、絶対負けないから!」
そう言った真奈美が“ビシッ”と立花さんに宣戦布告して立ち去る。
「おぉ。真奈美の奴、燃えてるな。これは立花さんも頑張らないといけないんじゃないか?」
「なんで凛は他人事なのよ……」
「はぁ」となぜか立花さんがため息をつく。
「次はアナタと真奈美の演技よ。私は見学してるから良い演技を期待してるわ」
「あぁ。期待しててくれ」
そう力強く返事をして、森野監督のもとへ向かった。
そこで森野監督の声が響き渡る。
「素晴らしいよ、2人とも!」
「「ありがとうございます!」」
演技を終えた俺たちを監督が絶賛して出迎えてくれる。
「随所で迫真の演技が目立ってたぞ!まるで演技じゃなく本心で言ってるようだった!」
(そりゃそうです。本心で言ってる部分ばかりだったので)
特に消しゴムを全力で投げられた後からは本心で言ってる部分ばかりだった。
監督が迫真の演技と感じたのも無理はない。
「立花さんも良かった!俺が想像した藤崎さんだったぞ!」
「ほ、ほんとですか!?」
「あぁ!黒川くんのことが好きではないけど構ってほしい女の子を上手く表現していた!君を指名して良かったよ!」
「っ!あ、ありがとうございます!」
立花さんの顔がパーっと笑顔になる。
(監督から、しかもこの業界で長く活躍されている森野監督からの褒め言葉だ。言われて嬉しく思わない役者はいないだろう)
立花さんの努力が報われた気がして俺まで嬉しくなる。
「今から俺は撮った映像を確認するから、2人は休憩してていいぞ」
そう言って監督が俺たちのもとから立ち去る。
「ねぇ、どうだった?私の演技は?」
「そうだな。すごく良かったよ。かなり練習してきたことが伝わってきた」
「ふふん!」
立花さんが程よい膨らみを強調するように胸を張る。
俺も監督と同じく立花さんの演技は素晴らしいと思った。
「でも私の実力はこんなもんじゃないわ!この撮影のために全てを賭けるつもりだもの!」
だが今の演技には満足してないようで、まだまだ上を見せてくれるらしい。
「それは楽しみだ」
お互いが高め合い、より良いドラマを作ろうと努力することは良いことなので笑って返答する。
「余裕そうね」
「そんなことないぞ。立花さんや真奈美に負けないよう頑張らないとって思ってたところだ。って、そんなことより、撮影中、立花さんが全力で消しゴムを投げてくるとは思わなかったぞ。事前に聞いてたスピードの倍くらい速かったし」
「あぁ、あれね。なんかイライラしたから全力で投げたわ」
「………」
どの辺でイライラしたかは知らないが、かなりイライラしたようで、俺の頬スレスレを狙って正確無比なコントロールを披露していた。
「ごめんなさいね。次は気をつけるから」
「心臓に悪いから次がないことを願うわ」
あれはマジでビビったので次がないことを本気で願う。
「でも良かったわよ。消しゴムを投げた後のアナタの演技は。監督も言ってた通り迫真の演技だったわ」
「危機感があったからな!ってか投げた後、めっちゃ悔しそうな顔してただろ!」
「当然よ。だって当てる気満々だったもの。でも外してしまったわ。アナタ、運が良いのね」
「やかましいわ!」
俺は声を荒げてツッコミをする。
そんなやり取りをしていると、いつの間にか側に真奈美が来ていた。
「じーー」
「ど、どうした?」
「ううん、2人とも息ぴったりだったなーって」
「はぁ!?」
真奈美の指摘に立花さんが声を上げる。
「どこが息ぴったりなのよ!」
「だって2人とも仲睦まじく喧嘩してるんだよ。しかも随所でアドリブまで入れて」
確かに後半部分は勢いに任せてアドリブが入っているが、作品を崩すようなアドリブではなかった。
その辺りは監督も気づいたと思うが撮影を止めることはしなかったので、アドリブを混ぜても問題ないと判断したのだろう。
「俺も息がぴったりだったことには同意だな。初めての演技でアドリブを入れる。しかもそのアドリブが作品の雰囲気や会話の流れを壊してなかったからな」
「うんうん!」
「うっ……」
俺の言っていることが理解できないほどの役者歴じゃないため、立花さんは言葉に詰まる。
心の中では息がぴったりだったと思っているが、嫌いな俺と息がぴったりなんて思われるのが嫌で否定したんだろう。
そう理解した俺は笑みをこぼす。
「な、なによ!」
「いや、何でもないぞ」
「じゃあ笑わないでよ!」
そう言われても立花さんの意地っ張りが可愛かったので、つい笑ってしまう。
「やっぱり香帆ちゃんは要注意人物だよ!私、絶対負けないから!」
そう言った真奈美が“ビシッ”と立花さんに宣戦布告して立ち去る。
「おぉ。真奈美の奴、燃えてるな。これは立花さんも頑張らないといけないんじゃないか?」
「なんで凛は他人事なのよ……」
「はぁ」となぜか立花さんがため息をつく。
「次はアナタと真奈美の演技よ。私は見学してるから良い演技を期待してるわ」
「あぁ。期待しててくれ」
そう力強く返事をして、森野監督のもとへ向かった。
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