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5章 ドラマ撮影開始まで
『鷲尾の家族に乾杯』の放送 4
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弁明を諦めてテレビへと視線を戻す。
すると、俺が大名行列の如く、女性たちを引き連れて歩いていた。
「おぉー、お兄ちゃんに女の子たちが群がってるよ」
「いや群がってるわけじゃ………って否定できないな」
否定しようにも否定できないくらいの女性たちが俺の周りにいるため、寧々の言葉に頷いてしまう。
そんな会話をしながらテレビを見ていると、俺がドーナツ屋を発見する。
『おっ!抹茶のドーナツが売ってあるぞ!』
そう言って吸い寄せられるようにドーナツ屋へ向かう。
そして優しそうなお爺ちゃんに話しかける。
『すみません、ドーナツを1つください』
『はいよっ!……って凛さんじゃないか!収録の途中かい?』
『はい。鷲尾の家族に乾杯という番組で……』
『おぉー!あの番組は婆さんといつも見てるよ!』
『ありがとうございます!』
お決まりの会話をしながら、お爺ちゃんが紙に包んだ状態でドーナツを手渡してくる。
それを受け取り会計を済ませた後、俺はパクっとドーナツを食べる。
『んーっ!美味しいっ!』
『そうだろ?俺の婆さんが丹精込めて作ったドーナツだからな』
そう言ったお爺ちゃんが裏で作業をしているお婆ちゃんを指差すと、俺に気づいたお婆ちゃんが手を振ってくれた。
『これ、とても美味しいです!お持ち帰りとかできますか?』
『あぁ。何個持って帰る?』
『そうですね……5個お願いします』
『ちょっと待ってろ』
「へー!あのドーナツってここのドーナツだったんだ!めっちゃ美味しかったよね!」
「あぁ。美味しかったから父さんと寧々にも食べさせたかったんだ」
お土産として買ったドーナツは送迎してくれた矢上さんへ1つプレゼントした後、家に持って帰って父さんと寧々にあげた。
ドーナツをプレゼントした3人がとても美味しそうに食べていたのを今でも覚えている。
『また来てくれよ、凛さん。次も美味しいドーナツを提供するからさ』
『はいっ!』
俺がそう答え、お爺ちゃんとお婆ちゃんに手を振ってから別れる。
すると…
『私にもドーナツをくださいっ!』
『私は10個お持ち帰りで!』
『リン様大絶賛のドーナツ!これは食べなければっ!おじちゃん!私は2つお願い!』
大名行列の如く俺の後ろにいた女性たちが一斉にドーナツ屋へ並び、大行列ができていた。
「すごっ!お兄ちゃんの宣伝効果、半端ないよ!」
「俺も驚いた。大絶賛しただけで行列ができるとは……」
「それだけお兄ちゃんに食レポの才能があったってことだよ!」
「俺、美味しいって言っただけなんだが……」
そんなことを寧々と話す。
すると画面が切り替わり、俺にドーナツを販売したお爺ちゃんとお婆ちゃんが映し出される。
これはスタッフが後日撮影したもので、俺がドーナツを買ってから数日後に撮影している。
――夏目さんがドーナツを購入されましたが、その後の反響はいかがでしたか?
『いやぁ、凛さん様々だよ!世の中の人が「リン様リン様」って言ってる理由が分かったぞ!もう、凛さんに足を向けて寝れねぇよ!』
お爺ちゃんがナレーターの質問に対して興奮気味に答える。
『あれから、すごく反響をいただいてね。凛さんが絶賛したドーナツ屋って噂が広まって近所に住んでる人たちや学生さんたちが買いに来てくださって。おかげで毎日、忙しい日々を過ごしております』
対するお婆ちゃんは嬉しそうな顔でナレーターの質問に答えている。
――今日も大行列ができてましたね。
『あぁ、婆さんも言ってたが、凛さんが来て以降、毎日休む暇なく動いてるぞ』
お爺ちゃんがナレーションの言葉に返答した後、忙しなく動くお爺ちゃんとお婆ちゃんの様子や、ドーナツを買いに来たお客さんの大行列が映し出された。
「お兄ちゃんの宣伝効果すごすぎっ!」
「確かに俺の宣伝効果かもしれないが、俺の宣伝だけじゃここまでの行列はできない。お爺ちゃんたちのドーナツが美味しかったから、行列ができてるんだ」
「確かにっ!」
行列ができたキッカケは俺の宣伝かもしれないが、売っているドーナツが美味しくなければ毎日のように行列はできない。
「お爺ちゃんたち楽しそうに働いてるね」
「そうだな。きっと自分たちが作ったドーナツを美味しそうに食べる人たちを見るのが好きなんだろう」
「だね!」
映像に映るお爺ちゃんとお婆ちゃんが生き生きとしながらドーナツを売っている様子を見て、自然と笑みが溢れる。
――夏目さんに何か一言お願いします。
『凛さん!いつでも遊びに来ていいからな!』
『美味しいドーナツを準備してお待ちしております。京都まで足を運んだ際はウチに寄ってくださいね』
そう言ってお爺ちゃんとお婆ちゃんが手を振っている。
「寧々。今度の長期休みの時、京都まで遊びに行かないか?」
「うんっ!ドーナツを食べに京都まで行こうね!」
俺の問いかけに寧々が満面の笑みで応えてくれる。
そんな寧々を見た俺は笑みを溢しつつ、寧々の頭を優しく撫でた。
すると、俺が大名行列の如く、女性たちを引き連れて歩いていた。
「おぉー、お兄ちゃんに女の子たちが群がってるよ」
「いや群がってるわけじゃ………って否定できないな」
否定しようにも否定できないくらいの女性たちが俺の周りにいるため、寧々の言葉に頷いてしまう。
そんな会話をしながらテレビを見ていると、俺がドーナツ屋を発見する。
『おっ!抹茶のドーナツが売ってあるぞ!』
そう言って吸い寄せられるようにドーナツ屋へ向かう。
そして優しそうなお爺ちゃんに話しかける。
『すみません、ドーナツを1つください』
『はいよっ!……って凛さんじゃないか!収録の途中かい?』
『はい。鷲尾の家族に乾杯という番組で……』
『おぉー!あの番組は婆さんといつも見てるよ!』
『ありがとうございます!』
お決まりの会話をしながら、お爺ちゃんが紙に包んだ状態でドーナツを手渡してくる。
それを受け取り会計を済ませた後、俺はパクっとドーナツを食べる。
『んーっ!美味しいっ!』
『そうだろ?俺の婆さんが丹精込めて作ったドーナツだからな』
そう言ったお爺ちゃんが裏で作業をしているお婆ちゃんを指差すと、俺に気づいたお婆ちゃんが手を振ってくれた。
『これ、とても美味しいです!お持ち帰りとかできますか?』
『あぁ。何個持って帰る?』
『そうですね……5個お願いします』
『ちょっと待ってろ』
「へー!あのドーナツってここのドーナツだったんだ!めっちゃ美味しかったよね!」
「あぁ。美味しかったから父さんと寧々にも食べさせたかったんだ」
お土産として買ったドーナツは送迎してくれた矢上さんへ1つプレゼントした後、家に持って帰って父さんと寧々にあげた。
ドーナツをプレゼントした3人がとても美味しそうに食べていたのを今でも覚えている。
『また来てくれよ、凛さん。次も美味しいドーナツを提供するからさ』
『はいっ!』
俺がそう答え、お爺ちゃんとお婆ちゃんに手を振ってから別れる。
すると…
『私にもドーナツをくださいっ!』
『私は10個お持ち帰りで!』
『リン様大絶賛のドーナツ!これは食べなければっ!おじちゃん!私は2つお願い!』
大名行列の如く俺の後ろにいた女性たちが一斉にドーナツ屋へ並び、大行列ができていた。
「すごっ!お兄ちゃんの宣伝効果、半端ないよ!」
「俺も驚いた。大絶賛しただけで行列ができるとは……」
「それだけお兄ちゃんに食レポの才能があったってことだよ!」
「俺、美味しいって言っただけなんだが……」
そんなことを寧々と話す。
すると画面が切り替わり、俺にドーナツを販売したお爺ちゃんとお婆ちゃんが映し出される。
これはスタッフが後日撮影したもので、俺がドーナツを買ってから数日後に撮影している。
――夏目さんがドーナツを購入されましたが、その後の反響はいかがでしたか?
『いやぁ、凛さん様々だよ!世の中の人が「リン様リン様」って言ってる理由が分かったぞ!もう、凛さんに足を向けて寝れねぇよ!』
お爺ちゃんがナレーターの質問に対して興奮気味に答える。
『あれから、すごく反響をいただいてね。凛さんが絶賛したドーナツ屋って噂が広まって近所に住んでる人たちや学生さんたちが買いに来てくださって。おかげで毎日、忙しい日々を過ごしております』
対するお婆ちゃんは嬉しそうな顔でナレーターの質問に答えている。
――今日も大行列ができてましたね。
『あぁ、婆さんも言ってたが、凛さんが来て以降、毎日休む暇なく動いてるぞ』
お爺ちゃんがナレーションの言葉に返答した後、忙しなく動くお爺ちゃんとお婆ちゃんの様子や、ドーナツを買いに来たお客さんの大行列が映し出された。
「お兄ちゃんの宣伝効果すごすぎっ!」
「確かに俺の宣伝効果かもしれないが、俺の宣伝だけじゃここまでの行列はできない。お爺ちゃんたちのドーナツが美味しかったから、行列ができてるんだ」
「確かにっ!」
行列ができたキッカケは俺の宣伝かもしれないが、売っているドーナツが美味しくなければ毎日のように行列はできない。
「お爺ちゃんたち楽しそうに働いてるね」
「そうだな。きっと自分たちが作ったドーナツを美味しそうに食べる人たちを見るのが好きなんだろう」
「だね!」
映像に映るお爺ちゃんとお婆ちゃんが生き生きとしながらドーナツを売っている様子を見て、自然と笑みが溢れる。
――夏目さんに何か一言お願いします。
『凛さん!いつでも遊びに来ていいからな!』
『美味しいドーナツを準備してお待ちしております。京都まで足を運んだ際はウチに寄ってくださいね』
そう言ってお爺ちゃんとお婆ちゃんが手を振っている。
「寧々。今度の長期休みの時、京都まで遊びに行かないか?」
「うんっ!ドーナツを食べに京都まで行こうね!」
俺の問いかけに寧々が満面の笑みで応えてくれる。
そんな寧々を見た俺は笑みを溢しつつ、寧々の頭を優しく撫でた。
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