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4章 ゴールデンウィーク編

桃ちゃんからの招待

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【4章開始】

 のぞみ坂47を脱退した松田さんは、アイドル引退を選択した。
 突然、のぞみ坂47のNo.2が引退したためSNS上では大きな話題となった。
 しかしその盛り上がりは一時的なもので、数日経てば誰も話題にしなくなった。

 ちなみに俺と美奈の熱愛報道もニュースに取り上げられるくらい盛り上がり、大学内でもたくさんの人から声をかけられたが、今では誰も話題にしていない。

 そんなある日のこと。
 俺は寧々と共に大学に登校していた。

「お兄ちゃん!明日からゴールデンウィークだね!」
「そうだな。まぁ俺は1件の仕事と婆ちゃんからのスパルタ演技指導であっという間に終わりそうだがな」
「………確かに、お兄ちゃんのゴールデンウィークはあっという間に終わりそうだね」

 俺の言葉に、寧々が同情の目をしながら同意する。

 俺の婆ちゃんは昔、女優として活躍しており、全国民が知ってるほど有名な女優だった。
 そのため俺は小学4年生の時、1年ほど子役としての活動を休止して婆ちゃんから鍛えてもらったことがある。

 そのおかげで小学5年生の時に『マルモのおきてだよ』で優秀主演男優賞を受賞できたが、あの時の指導がハード過ぎて、思い出すだけで頭が痛くなる。
 ちなみに、俺の婆ちゃんが有名な女優だったことは真奈美しか知らない。

「だが、いずれ婆ちゃんには演技指導をお願いする予定だったんだ。腹を括るしかないだろ」

 俺は小学6年生の頃に芸能界を引退しており、約6年ほどブランクがある。
 そのブランクを埋めるには婆ちゃんからのスパルタ演技指導しかないと思うので、今回のゴールデンウィークを利用して婆ちゃんから演技指導を受ける予定だ。

 そんな会話をしていると大学の敷地内に辿り着く。
 すると「夏目様ーっ!」という声が前方から聞こえてくる。

「あれは……桃ちゃんだな」

 変装のため帽子とマスクをしているが、背格好や声で同じ大学に通っている雨宮桃華だと判断する。

「お久しぶりです、夏目様っ!お会いできてとても嬉しいです!」
「あぁ、久しぶりだな。桃ちゃん」

 数日前に美奈の熱愛報道の件で電話をしたが、対面で会うのは撮影以来になる。
 ちなみに電話の内容は美奈との関係性についてだった。

 『本当に付き合ってないんですか!?』や『今後、女の子に優しくしたらダメですよ!』等々、約3時間ほど色々と言われた。

「同じ大学に通ってるが、大学内で会うのは初めてだな」
「そうですね!ようやく仕事に区切りがついて、大学に通えるようになりましたので!」

 最近は忙しくて大学に通えなかった桃ちゃんだが、仕事に区切りがついて通えるようになったとのこと。

「夏目様の妹様は初めましてですね。私、雨宮桃華と申します」
「初めまして!お兄ちゃんの妹の寧々です!気軽に寧々って呼んでください!」

 初対面である2人が簡単に自己紹介をしている。

「雨宮さんのことはお兄ちゃんから聞いてますよ!昔からのお知り合いだったみたいですね!」

 俺と桃ちゃんの関係は以前、寧々に話していた。
 その時「子役時代のお兄ちゃんは女の子と仲良くなるのが上手だね」とジト目で言われたが。

「はいっ!なので寧々様とも仲良くなりたいです!」
「わ、私のことは様なんて要りませんよ!」

 そんな感じで2人が仲良く話し始め、俺は2人のことを近くで見守る。

(おぉ、連絡先を交換してるぞ。相変わらず寧々は友達を作るのが上手だな)

 我が妹のコミュ力の高さに感動する。
 そんなことを思っていると「あ、そうでした!」と桃ちゃんが声を出す。

「夏目様。今度、お時間ある日に我が家へ来ていただけませんか?」
「……え?桃ちゃんの家に?」
「はい。お父様が夏目様に会ってお話ししたいことがあるとのことです」

 桃ちゃんは日本で最も大きな財閥である雨宮財閥の長女なので、桃ちゃんのお父様とは雨宮財閥の会長である。
 そんな偉い人から会いたいと言われる理由に見当がつかない。

「わ、分かった。いつでもいいのか?」
「はい。夏目様の予定にお父様が合わせると仰ってました」
「そ、そんなことはしなくていいぞ!俺が予定を合わせるから!」

 雨宮財閥の会長が俺の予定に合わせるのは申し訳ないので、俺が桃ちゃんのお父さんの予定に合わせることにする。

「いいのですか?」
「あぁ。連絡してくれたら俺が予定を調整するよ」
「ありがとうございます。また連絡しますね」

 そう言って頭を下げた桃ちゃんが「授業がありますので」と言って俺たちのもとから立ち去る。

「なぁ、寧々。桃ちゃんのお父さんが俺に話したいことって何だと思う?」
「そうだね。『お前なんかに娘はやらんっ!』とかじゃないかな?」
「ははっ、そんなわけないだろ」
「いや、割とマジであり得る話なんだけど……」

 そんな会話をしながら俺たちは歩き出した。
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