上 下
56 / 158
3章 大学入学編

写真を撮った者への罰 1

しおりを挟む
~???視点~

「おかしいっ!なぜ小鳥遊美奈の人気が落ちないっ!」

 自分の部屋で小鳥遊美奈の配信を見終えた私は、怒鳴るように叫ぶ。

「しかもSNSのフォロワーが熱愛報道前よりも増えてるしっ!」

 小鳥遊のフォロワーは熱愛報道後に一旦減少したが、配信終了後には熱愛報道前と比べ1.5倍も増えている。
 理由は小鳥遊の良さに気づいた夏目凛のファンが小鳥遊のSNSをフォローしたから。

「くそっ!全ては夏目凛だ!アイツが小鳥遊と写ってる男だと説明したから!」

 一般男性の方が都合が良いはずなので、絶対表舞台に出てこないと思っていた。
 しかし、熱愛報道がSNSに出回ってすぐ、奴は配信を行って写真の男が自分であることを説明した。
 自分も小鳥遊のように叩かれる可能性があるにも関わらず。

「ちっ!イケメンだから性格はクズかと思ったのに!」

 結果的に私は小鳥遊の人気に火をつけるアシストをしてしまい、イライラが止まらない。

「くそっ!」

 私は近くにあった枕を全力で殴り発散を図る。

「まぁいい。小鳥遊の人気を地に落とすという目的は失敗したが、私が写真を撮った犯人だとはバレてない。のぞみ坂47で2位をキープし続ければ、いずれ小鳥遊を抜いてトップになるだろう。それに、またスキャンダルのネタをゲットできるかもしれないしな」

 私は一昨年、昨年とのぞみ坂47の選抜総選挙で小鳥遊に敗れ2位だった。
 そのため日々の努力に加え、小鳥遊のスキャンダルに繋がるネタ探しも行うことを心に決め、自分の部屋から出た。



 小鳥遊が配信を行った翌日、私はのぞみ坂47のプロデューサーである秋本蓮あきもとれんさんから呼び出された。

「秋本プロデューサーからの呼び出しは始めてだ。何か大きな仕事がもらえたのか?」

 彼はのぞみ坂47の設立に携わっており、彼の発言にはかなりの影響力があるため、期待に胸を膨らませながらプロデューサーの部屋に向かう。

 私は部屋の前に辿り着き“コンコン”とノックすると「入っていいよ」との声が聞こえてくる。

 そのため「失礼します」と言いながら部屋に入ると、何故かプロデューサーの隣に夏目凛がいた。

「っ!」

 その瞬間、私の盗撮がバレてしまったと思い込む。

(い、いや!今から話す内容が夏目凛との仕事だからここにいるのかもしれない!)

 そう思い、先ほどの思い込みを消し去りながらプロデューサーへ問いかける。

「秋本プロデューサー、今日はどのような要件でしょうか?」
「うん、今日は君に確認したいことがあったんだ」
「っ!」

 私は緊張した面持ちで続きの言葉を待つ。
 すると秋本プロデューサーが一冊の雑誌を取り出した。

(そ、それは週刊⚪︎春!)

 嫌な汗が止まらない。
 私は顔色が悪くなっていくのを自覚しながらプロデューサーの動きに注目する。

「この写真は君が撮ったんだよね?松田春美さん」

 そして小鳥遊と夏目凛が手を繋いでいる写真を見せる。
 その瞬間、私こと松田春美まつだはるみは、小鳥遊と夏目凛の熱愛報道で呼び出されたことを理解した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、

ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、 私のおにいちゃんは↓ 泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...