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3章 大学入学編
鷲尾の家族に乾杯 4
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恋占いの石を後にした俺は清水寺の本堂へと向かい、清水寺の観光を終える。
(なんか地域の方たちと触れ合うというより、観光客と触れ合うだけだったぞ)
という衝撃の事実に気づく。
そのため観光地を訪れるのをやめて、近くの街をぶらぶら歩くことにする。
「さて、どこに行こうか……」
当初の予定では清水寺に行った後も有名な観光地へ行く予定だったので急に行くあてがなくなった。
そのため、行き先を考えながら街を歩いていると…
「あー!夏目凛だー!」
ランドセルを背負った男の子と出会う。
「お、もう学校は終わったのか?」
「うん!それより、凛さんはこんなところで何してるのー?」
「俺は今、『鷲尾の家族に乾杯』って番組の撮影中なんだ」
「おー!その番組なら婆ちゃんがいつも見てるぞ!」
「ははっ、ありがとう」
そんな何気ない会話を小学生と行う。
「あ、そうだ。俺、京都を観光するのが初めてで行き先に悩んでるんだ。何かオススメの場所はあるかな?」
「んー、あっ!なら、着物の着付け体験はどうかな!?」
「着物か。そういえば着たことないな」
先ほどの清水寺でも着物を着た女性を多く見かけ、着物に興味を持っていた。
「ウチの家が着物の着付け屋さんをしてるんだ!せっかく京都に来たんだったら着物は着た方がいいと思うよ!」
「そうだな……よし、着てみるか!」
「うん!あ、僕のことは翔太って呼んで!」
「あぁ。よろしくな、翔太」
俺は翔太と一緒に着付け屋を目指して歩き出した。
翔太の家である着付け屋に到着する。
「お姉ちゃん!凛さんが着物着たいんだって!」
「凛さん?凛さんって誰……ってええっ!リン様っ!」
「お、お邪魔します……」
俺を見て、着物を着た高校生くらいの女の子が驚きの声を上げる。
目つきはキリッとしており気の強そうな女の子だが、ピンク色の着物を着ている姿はとても似合っており、学校1の美少女と呼ばれてもおかしくないほど可愛い女の子だ。
「な、なんでリン様がいるのよ!?」
「下校途中に出会ったんだ!そしたら着付けがしたいってことになったから連れてきた!」
「リ、リン様を連れてくるなら一言言いなさいよ!変な格好をしてるかもしれないじゃない!」
「えぇー、そんなことで連絡しなくてもいいじゃん」
「良くないっ!」
女の子は怒った表情で翔太に言うが、翔太は聞く耳を持っておらず、このままでは姉弟喧嘩が勃発しそうだ。
そのため、俺は女の子へ変な格好などしていないことを伝える。
「だ、大丈夫ですよ。変なところなんてありませんから。とても似合ってて可愛いですよ」
「かっ、可愛い……」
すると、先ほどまで怒っていた女の子が“ボッ”と顔を一瞬で赤くする。
「リ、リン様がアタシのことを可愛いって……うぅ~」
そして悶え始める。
「おぉ、さすが凛さん。学校で『難攻不落の氷姫』と呼ばれてるお姉ちゃんをデレデレにするなんて」
「カッコいい異名が付いてるなぁ」
そんなことを話をしつつ、悶えている女の子が復活するのを待った。
翔太のお姉さんである氷鶴さんが復活したため、着付けをお願いする。
「で、ではさっそく着付けをしたいと思います」
「よろしくお願いします、氷鶴さん」
若干顔は赤いが、会話はできる程度に復活したようだ。
「お姉ちゃん、肌着や足袋を持ってきたよ!」
「ありがとう。じゃあリン様に着替えの手順を教えて」
とのやり取りを2人が行う。
(良かった、姉弟間に亀裂は入ってなさそうだ)
そんなことを思いつつ、翔太から着物の着方を聞く。
「――って感じで着替えるんだよ!」
「なるほど。じゃあ、着替えるか」
翔太以外は着替え部屋から出るようお願いした俺は、用意された着物に着替える。
そして着物の上に羽織を着て、羽織紐を付ける。
「どうだ?」
「うん!バッチリ!これでお姉ちゃんをメロメロにできるよ!」
「いや、メロメロにするつもりなんかないんだが……」
そんなことを呟きつつ鏡の前へ移動し、髪を整える。
(初めて着たけど、なかなか様になってるんじゃないか?)
今の俺は紺色の着物に白色の帯を巻き、紺色の羽織をまとっている。
翔太からの太鼓判もあるため、用意された草履を履いて堂々と部屋を出る。
そしてスタッフや氷鶴さんのもとへ向かい…
「ど、どうかな?似合ってるといいんだけど……」
と、氷鶴さんへ聞く。
「………」
しかし、顔を赤くして俺のことを見つめるだけで、一向に返事が返ってこない。
「氷鶴さん?」
「ふぁいっ!」
“ビクッ”となりながら変な声を上げる氷鶴さん。
「どうかな?初めて着たから似合ってるといいんだけど……」
俺は不安になりながら氷鶴さんに問いかける。
「………です」
「ん?」
「とてもカッコイイです!」
そう言って氷鶴さんが走り去る。
「……え、逃げられたんだけど。もしかして直視できないくらいカッコ悪い?」
「そんなことないよー。お姉ちゃんって凛さん大好きだから、カッコ良すぎて直視できなかったんだと思うよ」
「そ、そうか…」
結局、氷鶴さんが戻ってきたのは、走り去ってから数十分後だった。
(なんか地域の方たちと触れ合うというより、観光客と触れ合うだけだったぞ)
という衝撃の事実に気づく。
そのため観光地を訪れるのをやめて、近くの街をぶらぶら歩くことにする。
「さて、どこに行こうか……」
当初の予定では清水寺に行った後も有名な観光地へ行く予定だったので急に行くあてがなくなった。
そのため、行き先を考えながら街を歩いていると…
「あー!夏目凛だー!」
ランドセルを背負った男の子と出会う。
「お、もう学校は終わったのか?」
「うん!それより、凛さんはこんなところで何してるのー?」
「俺は今、『鷲尾の家族に乾杯』って番組の撮影中なんだ」
「おー!その番組なら婆ちゃんがいつも見てるぞ!」
「ははっ、ありがとう」
そんな何気ない会話を小学生と行う。
「あ、そうだ。俺、京都を観光するのが初めてで行き先に悩んでるんだ。何かオススメの場所はあるかな?」
「んー、あっ!なら、着物の着付け体験はどうかな!?」
「着物か。そういえば着たことないな」
先ほどの清水寺でも着物を着た女性を多く見かけ、着物に興味を持っていた。
「ウチの家が着物の着付け屋さんをしてるんだ!せっかく京都に来たんだったら着物は着た方がいいと思うよ!」
「そうだな……よし、着てみるか!」
「うん!あ、僕のことは翔太って呼んで!」
「あぁ。よろしくな、翔太」
俺は翔太と一緒に着付け屋を目指して歩き出した。
翔太の家である着付け屋に到着する。
「お姉ちゃん!凛さんが着物着たいんだって!」
「凛さん?凛さんって誰……ってええっ!リン様っ!」
「お、お邪魔します……」
俺を見て、着物を着た高校生くらいの女の子が驚きの声を上げる。
目つきはキリッとしており気の強そうな女の子だが、ピンク色の着物を着ている姿はとても似合っており、学校1の美少女と呼ばれてもおかしくないほど可愛い女の子だ。
「な、なんでリン様がいるのよ!?」
「下校途中に出会ったんだ!そしたら着付けがしたいってことになったから連れてきた!」
「リ、リン様を連れてくるなら一言言いなさいよ!変な格好をしてるかもしれないじゃない!」
「えぇー、そんなことで連絡しなくてもいいじゃん」
「良くないっ!」
女の子は怒った表情で翔太に言うが、翔太は聞く耳を持っておらず、このままでは姉弟喧嘩が勃発しそうだ。
そのため、俺は女の子へ変な格好などしていないことを伝える。
「だ、大丈夫ですよ。変なところなんてありませんから。とても似合ってて可愛いですよ」
「かっ、可愛い……」
すると、先ほどまで怒っていた女の子が“ボッ”と顔を一瞬で赤くする。
「リ、リン様がアタシのことを可愛いって……うぅ~」
そして悶え始める。
「おぉ、さすが凛さん。学校で『難攻不落の氷姫』と呼ばれてるお姉ちゃんをデレデレにするなんて」
「カッコいい異名が付いてるなぁ」
そんなことを話をしつつ、悶えている女の子が復活するのを待った。
翔太のお姉さんである氷鶴さんが復活したため、着付けをお願いする。
「で、ではさっそく着付けをしたいと思います」
「よろしくお願いします、氷鶴さん」
若干顔は赤いが、会話はできる程度に復活したようだ。
「お姉ちゃん、肌着や足袋を持ってきたよ!」
「ありがとう。じゃあリン様に着替えの手順を教えて」
とのやり取りを2人が行う。
(良かった、姉弟間に亀裂は入ってなさそうだ)
そんなことを思いつつ、翔太から着物の着方を聞く。
「――って感じで着替えるんだよ!」
「なるほど。じゃあ、着替えるか」
翔太以外は着替え部屋から出るようお願いした俺は、用意された着物に着替える。
そして着物の上に羽織を着て、羽織紐を付ける。
「どうだ?」
「うん!バッチリ!これでお姉ちゃんをメロメロにできるよ!」
「いや、メロメロにするつもりなんかないんだが……」
そんなことを呟きつつ鏡の前へ移動し、髪を整える。
(初めて着たけど、なかなか様になってるんじゃないか?)
今の俺は紺色の着物に白色の帯を巻き、紺色の羽織をまとっている。
翔太からの太鼓判もあるため、用意された草履を履いて堂々と部屋を出る。
そしてスタッフや氷鶴さんのもとへ向かい…
「ど、どうかな?似合ってるといいんだけど……」
と、氷鶴さんへ聞く。
「………」
しかし、顔を赤くして俺のことを見つめるだけで、一向に返事が返ってこない。
「氷鶴さん?」
「ふぁいっ!」
“ビクッ”となりながら変な声を上げる氷鶴さん。
「どうかな?初めて着たから似合ってるといいんだけど……」
俺は不安になりながら氷鶴さんに問いかける。
「………です」
「ん?」
「とてもカッコイイです!」
そう言って氷鶴さんが走り去る。
「……え、逃げられたんだけど。もしかして直視できないくらいカッコ悪い?」
「そんなことないよー。お姉ちゃんって凛さん大好きだから、カッコ良すぎて直視できなかったんだと思うよ」
「そ、そうか…」
結局、氷鶴さんが戻ってきたのは、走り去ってから数十分後だった。
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