髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

2章 芸能界復帰編

挨拶周り

収録場所へと到着する。

「収録ってこんな感じでしたね」

　到着早々、俺は懐かしい雰囲気を感じる。
　スタッフが慌ただしく動く様子や、カメラなどの収録に必要な機器の数々、そして何より、収録場所となる舞台セットを見てそう思う。

「では挨拶周りに行きましょう」
「そうですね」

　俺は矢上さんの提案に同意して、挨拶周りに動く。
　ちなみに今の俺の服装は、『読者モデル』を撮影した時と同じ服装だ。

「まずは監督からですね」

　そう言って歩き出す矢上さんに付いて行き、俺たちは監督のもとへ向かう。
　しばらく移動すると、50代くらいの男性と、テレビでよく見かける男性芸人の下田智也さんがいた。

「おはよう御座います。夏目凛と申します。今日はよろしくお願いします！」

　俺は2人に向けて頭を下げる。

「おはよう、夏目くん！そして復帰、おめでとう！」

　開口一番に監督である戸坂博さんが、復帰に関して触れてくれる。

「また、夏目レンの演技が見れるかもしれないんだなぁ」

　そして感慨深い様子で呟く。

「おはよう、夏目さん。俺も君が復帰するのを楽しみに待ってたよ」

　戸坂監督の隣にいた下田さんも俺の復帰を祝ってくれる。

「今回、俺の復帰をメインに収録していただくとお聞きしております。本当にありがとうございます」

　俺は2人に感謝の気持ちを伝え、頭を下げる。

「いやいや、これくらい大したことないよ。むしろ、番組側は『夏目レン復帰！』という見出しを使えるから、ありがたい話だよ」
「うんうん。それに俺たちは愛甲さんの強い希望を叶えただけだからな」

　そう言って俺が代役として選ばれた経緯と、夏目レンを話題にしてくれた理由を話し始める。
　どうやら、真奈美が戸坂監督と下田さんに俺が夏目レンだということをコッソリ伝え、俺が出演するメリットを熱弁したらしい。

「そうですか。真奈美がそんなことをしてくれたんですね」
「あぁ。だから早く彼女に礼を言ってきなさい」
「ありがとうございます！」

　俺は戸坂監督と下田さんに頭を下げて、真奈美がいる楽屋へ向かった。