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2章
6話 フレイヤ女王の誤算(前編)
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ここは、煌びやかなラーンザイル王国謁見の間。
「よくぞ戻った。西の勇者アーネ。」
絶世の美女フレイヤ女王の言葉が、謁見の間隅々まで響き渡る。
「はっ!ご報告が遅くなり申し訳ございません。」
フレイヤ女王は、少し驚いた表情を見せた。
「うん?そなたはルビではないか?」
「ご縁があり、また参上しました。今回は勇者パーティーメンバーとしてでございます。」
(婚約破棄されたのに、また来た未練がましい男と思われたくないからな。ここにいる理由は、はっきりさせておかないとな。)
「勇者パーティーに?そちは確か無……いやまあよい。」
(いま絶対に『無能』と言おうとしたよね?確かに、個人の身体能力は変わらないけど、俺はユニークスキル『レベルMAX勇者召喚』を獲得したのだ!あなたが婚約破棄してくれたおかげでな!)
「では、アーネ殿。報告を。魔王は確認されたのか?」
王宮預言者らしき人物が、アーネに問う。
「はい。古代ダークエルフ迷宮の奥深くに魔王を確認しました。」
「なんとっ!?それで討伐できたのか?」
王宮預言者が、早く続きを話せと言わんばかりに一歩前へ出る。
「まあ待て。慌てるでない。報告を続けよ。」
フレイヤ女王が、王宮預言者を軽く制す。だがその言葉には強烈な重みがあった。
(貫禄半端ないな!こんな人と結婚なんて始めから無理だった。)
ルビは、改めて先日までの自分の無謀な立場に呆れた。
アーネは、天才少女らしく古代ダークエルフ迷宮での経緯を上手に説明した。
「なるほど。その後ろの者が魔王であると……確かに威圧感はない。今はLV.1の魔王のようだな。まさか大魔王が異世界の者を魔王として召喚していようとはな。それにしてもルビ。とても面白いスキルを身につけたようだ。『レベルMAX勇者召喚』とな?」
「は、はい……」
(おいおいおい!めちゃくちゃ見られてる!吟味されてる?怖い怖い!まさかいくら何でも婚約復活とか言わないよな?)
「それにしてもまさか地下宝物庫とはな……で、地下宝物庫にあったという宝玉とはどれだ?」
(『レベルMAX勇者召喚』スキルよりそっちに食いつくのかよ!)
ルビは、そう思いながら腰の鞄からタマを取り出して見せる。
「こちらでございます。」
「ルビ、なんじゃ?うん、これはまたスタイルの良い絶世の美女じゃな?お主は誰じゃ?」
タマは、いきなり鞄から出されて状況を掴めずにいた。
「さっき話したろ?フレイヤ女王様と謁見すると。」
「そうじゃったな。二度寝して寝ぼけていたわい。フレイヤ女王様、わしはサポートアイテムのタマと申します。」
「!?…………う、う~む……」
フレイヤ女王は、唸る様に声を絞り出した。
そんなフレイヤ女王の様子を目の当たりにしたアーネは、タマを横目で見ながら考えを巡らす。
(何なの?フレイヤ女王様が、サポートアイテムくらいであんなに動揺するなんて……でも、よく考えてみれば、どうしてサポートアイテムが城の地下宝物庫に封印されていたの?これは何かあるわね。)
「ルビ。すまぬがその宝玉は返してもらおう。他の宝と交換して欲しいのだ。」
「そ、そんなっ!?」
ルビは、フレイヤ女王の予想外の要求に絶句した。
(嘘だろ?ユニークスキルが欲しくなったのか?婚約復活を通り越してタマの返却!?いくら何でも横暴すぎるだろ!)
「よくぞ戻った。西の勇者アーネ。」
絶世の美女フレイヤ女王の言葉が、謁見の間隅々まで響き渡る。
「はっ!ご報告が遅くなり申し訳ございません。」
フレイヤ女王は、少し驚いた表情を見せた。
「うん?そなたはルビではないか?」
「ご縁があり、また参上しました。今回は勇者パーティーメンバーとしてでございます。」
(婚約破棄されたのに、また来た未練がましい男と思われたくないからな。ここにいる理由は、はっきりさせておかないとな。)
「勇者パーティーに?そちは確か無……いやまあよい。」
(いま絶対に『無能』と言おうとしたよね?確かに、個人の身体能力は変わらないけど、俺はユニークスキル『レベルMAX勇者召喚』を獲得したのだ!あなたが婚約破棄してくれたおかげでな!)
「では、アーネ殿。報告を。魔王は確認されたのか?」
王宮預言者らしき人物が、アーネに問う。
「はい。古代ダークエルフ迷宮の奥深くに魔王を確認しました。」
「なんとっ!?それで討伐できたのか?」
王宮預言者が、早く続きを話せと言わんばかりに一歩前へ出る。
「まあ待て。慌てるでない。報告を続けよ。」
フレイヤ女王が、王宮預言者を軽く制す。だがその言葉には強烈な重みがあった。
(貫禄半端ないな!こんな人と結婚なんて始めから無理だった。)
ルビは、改めて先日までの自分の無謀な立場に呆れた。
アーネは、天才少女らしく古代ダークエルフ迷宮での経緯を上手に説明した。
「なるほど。その後ろの者が魔王であると……確かに威圧感はない。今はLV.1の魔王のようだな。まさか大魔王が異世界の者を魔王として召喚していようとはな。それにしてもルビ。とても面白いスキルを身につけたようだ。『レベルMAX勇者召喚』とな?」
「は、はい……」
(おいおいおい!めちゃくちゃ見られてる!吟味されてる?怖い怖い!まさかいくら何でも婚約復活とか言わないよな?)
「それにしてもまさか地下宝物庫とはな……で、地下宝物庫にあったという宝玉とはどれだ?」
(『レベルMAX勇者召喚』スキルよりそっちに食いつくのかよ!)
ルビは、そう思いながら腰の鞄からタマを取り出して見せる。
「こちらでございます。」
「ルビ、なんじゃ?うん、これはまたスタイルの良い絶世の美女じゃな?お主は誰じゃ?」
タマは、いきなり鞄から出されて状況を掴めずにいた。
「さっき話したろ?フレイヤ女王様と謁見すると。」
「そうじゃったな。二度寝して寝ぼけていたわい。フレイヤ女王様、わしはサポートアイテムのタマと申します。」
「!?…………う、う~む……」
フレイヤ女王は、唸る様に声を絞り出した。
そんなフレイヤ女王の様子を目の当たりにしたアーネは、タマを横目で見ながら考えを巡らす。
(何なの?フレイヤ女王様が、サポートアイテムくらいであんなに動揺するなんて……でも、よく考えてみれば、どうしてサポートアイテムが城の地下宝物庫に封印されていたの?これは何かあるわね。)
「ルビ。すまぬがその宝玉は返してもらおう。他の宝と交換して欲しいのだ。」
「そ、そんなっ!?」
ルビは、フレイヤ女王の予想外の要求に絶句した。
(嘘だろ?ユニークスキルが欲しくなったのか?婚約復活を通り越してタマの返却!?いくら何でも横暴すぎるだろ!)
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