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第 2話 くたびれた中年男
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水上警察署の遺体安置室。
安置室と言っても病院などにある部屋と違って、倉庫の一角なのかと見間違うような場所だ。地か駐車場の片隅にある倉庫のような場所だった。
そこに若い刑事と見た目くたびれた中年男がやって来た。
「これが羽田沖で発見された御遺体ですね?」
男はステンレス製の運搬台の上に乗っていた遺体に手を合わせた。
男の名前は先島秀俊(さきしまひでとし)。先島は公安警察所属の刑事だった。
刑事と言っても一般の警察署に所属する刑事とは違っている。市民生活の治安を守るのが警察なら、国家の安全を守るのが公安の仕事だ。
日本に諜報機関が存在しないため、公安警察がその代行をしているようなものだ。
そして、先島は国家に害する人物の調査などを行う公安所属の刑事だ。
「はい、名前は百ノ古巌(モモノコイワオ)五十六歳・男性・独身。 職業は小説家となっています」
若い刑事は担当者だったらしく、手に持ったメモ帳を見ながら答えていた。
最初、水上警察は事件性を疑っていた。だが、多摩川の河口付近に百ノ古のショルダーバックが落ちており、中に入っていた運転免許証から本人と断定出来た。
そして、百ノ古の行動を追いかけてみた所。当日に百ノ古は終始単独で行動しており、事件性が皆無であった事が判明したのだ。
恐らくは誤って川に転落した事故死であろうと警察は結論付けていた。何しろ争った形跡も無く、微量ながらもアルコールが検出された為だった。
「本人は社会派作家を気取っていたようです」
担当者は疲れているのかため息が多かった。様々な事件を扱っている部署なので忙しいのであろう。
「その方が飲み屋のお姉ちゃんにモテルみたいですからねぇ……」
そんな事をメモ帳を見ながら言っている。行きつけの店にも聞き込みに言っていたようだった。
「まあ、実態は掴んだ情報を記事にしない代わりに、調査協力費を脅し取るゴロツキのライターですね」
事件を担当していた刑事はため息をつきながら言った。
「それに恐喝や詐欺などで前科があります。 まあ、そこらにいる胡散臭いルポライターの手合いですよ」
どうやら担当者はマスコミを毛嫌いしているらしい。何しろ自分たちの都合でしか報道しないので信用できないのであろう。
「今は、群馬県で起きた交通事故を調べていたらしいんですがね……」
先島は年の明けた辺りで起きた自動車事故を思い出していた。センターオーバーをして来た大型トラックと、乗用車の正面衝突の事故があった。両方とも大破しており、特に乗用車に乗っていた一家は全滅したのだとニュースで読んだ記憶がある。
「作家の水死体と交通事故と関連しているのですか?」
先島は担当者から渡された報告書を読みながら質問をした。
「いいえ……全然ありません。 両方の車に乗っていた人物はみなさん死んでますから……」
担当者は首を振った。
「本件は事故死であると考えられています……が……」
それだけ言うと徐にショルダーバックのジッパーを開けた。作家の持ち物と言われた奴だ。
「問題なのは……」
古びた一冊の手帳を出して広げていた。作家の持ち物らしく書き込みが多い。しかも、字が汚く読み辛い書き込みばかりだ。
「ここに記載されている人物です」
担当者が指差す先には『チョウから情報を入手』とあった。その隣にあったのは携帯電話の番号。
「……」
それは、先島にとっては馴染みの番号だった。
刑事たちは裏付け捜査の為に、手帳に記載された物を片っ端から調べたらしい。そんな中で、チョウの電話番号が留意事項として、捜査データベースに引っかかったのだ。
麻薬関係の取引で海上が使われる事が多く、水上警察は過去に問題の有った人物を特に注視しているのだ。
もっとも情報を入手と記入された日付は、作家が事故にあった日よりも後だったので、関連性は薄いとされ調査対象からは外されているのだ。
「気になったので付近の防犯カメラを調べたのですが、被害者は駅前で飲んだ後で一人で帰宅しているんです」
作家の事件当日の足取りは、独りで駅前の立ち飲み屋で飲んだ後、東京と神奈川の県境にかかる橋に向かっている。その様子を防犯カメラが写していた。しこたま飲んだらしく千鳥足であったのも確認済みだ。
「鑑識が橋を調べたり、遺体を調べたりしましたが争った形跡が何処にも無かったので事故であろうと……」
橋から転落する様子は写ってはいない。だが、橋の欄干付近に嘔吐物があり、酩酊の末に橋から落下して死亡した物と結論付けたのだった。
「そうですか……」
そんな報告を聞き流しながら、先島はチョウの携帯番号を眺めていた。
「コイツは北安共和国の工作員でしてね……」
先島は担当刑事にそう告げた。担当刑事も静かに頷いた。
「ええ、ひょっとしたら事故に見せかけて殺した……という線もあるかもと疑ったのですが、事故として片付けられてしまったので」
作家の水死と工作員の関連性は不明だ。だが、偶然など信じない先島はチョウの足取りを追う事にした。
「今度こそ尻尾を掴んで見せる……」
かつて苦い思いをチョウにさせられた先島はそう呟いた。
先島はチョウの確保まであと一歩と言う所まで追い詰めた事が有る。
その時は覚せい剤の取引現場を抑える予定で乗り込んだ。しかし、警察上層部の裏切り者の密告によりチョウを取り逃がした。そして、現場では罠に嵌められた同僚や部下を失ってしまっているのだ。
余りの怒りに我を忘れた先島は、署内の会議室で裏切り者と対峙した際に相手を射殺してしまった。
その事を咎められた先島は警察に留置されたが、警察内部の手酷い汚点の発覚を恐れた上層部が事件をもみ消した。
釈放された先島は公安警察を追い払われて、国家保安室と言う実態も曖昧な組織に移動させられた。つまり、国家の監視下に置かれているのだ。
先島は捜査の途中で家族を交通事故で失っている。失う者が無い先島にとって、警察や国家の思惑などどうでも良い事だ。
何しろ国家の暗闇を熟知している先島は爆弾のような物だ。自由にさせると何をしでかすか分からない。警察の上層部は身分を刑事のままにして首輪を嵌めらる事にしたのだ。
(狂犬でも飼い犬のままの方が使い勝手が良いのか……)
それでも先島は公安を離れる気は無かった。同僚や部下の敵を取りたかったからだった。
「手帳を預かって行ってもよろしいですか?」
先島は手帳を手に持ったまま尋ねた。他にも手掛かりがあるかもしれないと考えたのだ。
「はい、どうぞ。 ご遺族からは関わり合いになりたくないと、引き取りを拒否してきましたからね」
そう言うと担当者は他に取り出した雑多な小物を鞄に詰め始めた。
「えらい嫌われようだな……」
先島は苦笑した。担当者も釣られて笑っていた。
「生前は色々とやらかしていたみたいですよ…… この大作家先生は……」
担当者は笑いながら快諾していた。
「この遺体はどうなるんですか?」
ふと、気になって聞いてみた。
「葬儀会社の方が適当に処分するようです」
なんでも、行政に迷惑はかけたくないとして、火葬費用は負担するが埋葬などはやらないのだそうだ。適当と言っても葬儀会社が契約している共同墓地に入れてしまうだけの話だ。
「へぇ、珍しいですね……」
孤独死などして身寄りが判明しない時には、行政などが負担して荼毘にして共同墓地に埋葬するケースが多いと聞いた事が有る。
「そうでも無いですよ。 特に借金などを苦にしての自殺などの遺体は引き取り拒否が多いですね」
余計な面倒を抱え込みたくないのだろう。特に借金関係は法的に面倒な手続きをしなければならないので一番嫌われる原因だ。
人生の最後まで寂しい人なのだなと先島は思った。
「それにしても、こんな問題ある人物がよく日本に潜り込めますよね?」
担当者は話題を変えたいのか、書類に何やら記入しながら訊ねて来た。人物とはチョウの事だ。
「ええ、奴らの国には偽装の専門機関もあるからね……」
何しろ個人を特定する情報を、国家がすりかえてしまうのだ。簡単に他人に成りすます事が出来る。日本に潜入できたのもそういう伝手が働いているのだろう。
(電話を監視されているのを解ってるはずだろうに何故持っているんだ?)
チョウの不思議な行動に、先島は新しい事件の匂いを感じていた。
安置室と言っても病院などにある部屋と違って、倉庫の一角なのかと見間違うような場所だ。地か駐車場の片隅にある倉庫のような場所だった。
そこに若い刑事と見た目くたびれた中年男がやって来た。
「これが羽田沖で発見された御遺体ですね?」
男はステンレス製の運搬台の上に乗っていた遺体に手を合わせた。
男の名前は先島秀俊(さきしまひでとし)。先島は公安警察所属の刑事だった。
刑事と言っても一般の警察署に所属する刑事とは違っている。市民生活の治安を守るのが警察なら、国家の安全を守るのが公安の仕事だ。
日本に諜報機関が存在しないため、公安警察がその代行をしているようなものだ。
そして、先島は国家に害する人物の調査などを行う公安所属の刑事だ。
「はい、名前は百ノ古巌(モモノコイワオ)五十六歳・男性・独身。 職業は小説家となっています」
若い刑事は担当者だったらしく、手に持ったメモ帳を見ながら答えていた。
最初、水上警察は事件性を疑っていた。だが、多摩川の河口付近に百ノ古のショルダーバックが落ちており、中に入っていた運転免許証から本人と断定出来た。
そして、百ノ古の行動を追いかけてみた所。当日に百ノ古は終始単独で行動しており、事件性が皆無であった事が判明したのだ。
恐らくは誤って川に転落した事故死であろうと警察は結論付けていた。何しろ争った形跡も無く、微量ながらもアルコールが検出された為だった。
「本人は社会派作家を気取っていたようです」
担当者は疲れているのかため息が多かった。様々な事件を扱っている部署なので忙しいのであろう。
「その方が飲み屋のお姉ちゃんにモテルみたいですからねぇ……」
そんな事をメモ帳を見ながら言っている。行きつけの店にも聞き込みに言っていたようだった。
「まあ、実態は掴んだ情報を記事にしない代わりに、調査協力費を脅し取るゴロツキのライターですね」
事件を担当していた刑事はため息をつきながら言った。
「それに恐喝や詐欺などで前科があります。 まあ、そこらにいる胡散臭いルポライターの手合いですよ」
どうやら担当者はマスコミを毛嫌いしているらしい。何しろ自分たちの都合でしか報道しないので信用できないのであろう。
「今は、群馬県で起きた交通事故を調べていたらしいんですがね……」
先島は年の明けた辺りで起きた自動車事故を思い出していた。センターオーバーをして来た大型トラックと、乗用車の正面衝突の事故があった。両方とも大破しており、特に乗用車に乗っていた一家は全滅したのだとニュースで読んだ記憶がある。
「作家の水死体と交通事故と関連しているのですか?」
先島は担当者から渡された報告書を読みながら質問をした。
「いいえ……全然ありません。 両方の車に乗っていた人物はみなさん死んでますから……」
担当者は首を振った。
「本件は事故死であると考えられています……が……」
それだけ言うと徐にショルダーバックのジッパーを開けた。作家の持ち物と言われた奴だ。
「問題なのは……」
古びた一冊の手帳を出して広げていた。作家の持ち物らしく書き込みが多い。しかも、字が汚く読み辛い書き込みばかりだ。
「ここに記載されている人物です」
担当者が指差す先には『チョウから情報を入手』とあった。その隣にあったのは携帯電話の番号。
「……」
それは、先島にとっては馴染みの番号だった。
刑事たちは裏付け捜査の為に、手帳に記載された物を片っ端から調べたらしい。そんな中で、チョウの電話番号が留意事項として、捜査データベースに引っかかったのだ。
麻薬関係の取引で海上が使われる事が多く、水上警察は過去に問題の有った人物を特に注視しているのだ。
もっとも情報を入手と記入された日付は、作家が事故にあった日よりも後だったので、関連性は薄いとされ調査対象からは外されているのだ。
「気になったので付近の防犯カメラを調べたのですが、被害者は駅前で飲んだ後で一人で帰宅しているんです」
作家の事件当日の足取りは、独りで駅前の立ち飲み屋で飲んだ後、東京と神奈川の県境にかかる橋に向かっている。その様子を防犯カメラが写していた。しこたま飲んだらしく千鳥足であったのも確認済みだ。
「鑑識が橋を調べたり、遺体を調べたりしましたが争った形跡が何処にも無かったので事故であろうと……」
橋から転落する様子は写ってはいない。だが、橋の欄干付近に嘔吐物があり、酩酊の末に橋から落下して死亡した物と結論付けたのだった。
「そうですか……」
そんな報告を聞き流しながら、先島はチョウの携帯番号を眺めていた。
「コイツは北安共和国の工作員でしてね……」
先島は担当刑事にそう告げた。担当刑事も静かに頷いた。
「ええ、ひょっとしたら事故に見せかけて殺した……という線もあるかもと疑ったのですが、事故として片付けられてしまったので」
作家の水死と工作員の関連性は不明だ。だが、偶然など信じない先島はチョウの足取りを追う事にした。
「今度こそ尻尾を掴んで見せる……」
かつて苦い思いをチョウにさせられた先島はそう呟いた。
先島はチョウの確保まであと一歩と言う所まで追い詰めた事が有る。
その時は覚せい剤の取引現場を抑える予定で乗り込んだ。しかし、警察上層部の裏切り者の密告によりチョウを取り逃がした。そして、現場では罠に嵌められた同僚や部下を失ってしまっているのだ。
余りの怒りに我を忘れた先島は、署内の会議室で裏切り者と対峙した際に相手を射殺してしまった。
その事を咎められた先島は警察に留置されたが、警察内部の手酷い汚点の発覚を恐れた上層部が事件をもみ消した。
釈放された先島は公安警察を追い払われて、国家保安室と言う実態も曖昧な組織に移動させられた。つまり、国家の監視下に置かれているのだ。
先島は捜査の途中で家族を交通事故で失っている。失う者が無い先島にとって、警察や国家の思惑などどうでも良い事だ。
何しろ国家の暗闇を熟知している先島は爆弾のような物だ。自由にさせると何をしでかすか分からない。警察の上層部は身分を刑事のままにして首輪を嵌めらる事にしたのだ。
(狂犬でも飼い犬のままの方が使い勝手が良いのか……)
それでも先島は公安を離れる気は無かった。同僚や部下の敵を取りたかったからだった。
「手帳を預かって行ってもよろしいですか?」
先島は手帳を手に持ったまま尋ねた。他にも手掛かりがあるかもしれないと考えたのだ。
「はい、どうぞ。 ご遺族からは関わり合いになりたくないと、引き取りを拒否してきましたからね」
そう言うと担当者は他に取り出した雑多な小物を鞄に詰め始めた。
「えらい嫌われようだな……」
先島は苦笑した。担当者も釣られて笑っていた。
「生前は色々とやらかしていたみたいですよ…… この大作家先生は……」
担当者は笑いながら快諾していた。
「この遺体はどうなるんですか?」
ふと、気になって聞いてみた。
「葬儀会社の方が適当に処分するようです」
なんでも、行政に迷惑はかけたくないとして、火葬費用は負担するが埋葬などはやらないのだそうだ。適当と言っても葬儀会社が契約している共同墓地に入れてしまうだけの話だ。
「へぇ、珍しいですね……」
孤独死などして身寄りが判明しない時には、行政などが負担して荼毘にして共同墓地に埋葬するケースが多いと聞いた事が有る。
「そうでも無いですよ。 特に借金などを苦にしての自殺などの遺体は引き取り拒否が多いですね」
余計な面倒を抱え込みたくないのだろう。特に借金関係は法的に面倒な手続きをしなければならないので一番嫌われる原因だ。
人生の最後まで寂しい人なのだなと先島は思った。
「それにしても、こんな問題ある人物がよく日本に潜り込めますよね?」
担当者は話題を変えたいのか、書類に何やら記入しながら訊ねて来た。人物とはチョウの事だ。
「ええ、奴らの国には偽装の専門機関もあるからね……」
何しろ個人を特定する情報を、国家がすりかえてしまうのだ。簡単に他人に成りすます事が出来る。日本に潜入できたのもそういう伝手が働いているのだろう。
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