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第54話 怪訝な表情
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大型ショッピングセンター。
ディミトリとアカリは大型のショッピングセンターにやってきた。その店は敷地内の駐車場が満杯になった時用に、離れた空き地に駐車スペース設けている。
そこに強奪した車を止めた。青年が警察に通報しているかも知れないからだ。
(利用料金を十万程ダッシュボードに置いておくと言えば良いか……)
ショッピングセンターから可愛そうな青年に電話する事にして、今後の事を考えねばならなかった。
(一旦、家に帰ってサプレッサーを作り直さないと……)
手元にあるサプレッサーは用をなさない。今回の銃撃戦で交換用の弾倉がもっと必要な事が分かった。
これはミリタリーオタクの田島に頼んで譲って貰おう。
拳銃に付属していた弾倉はグラつきが有ったが、手持ちのモデルガンの弾倉はグラつきが無かった。玩具と思っていたが、中々使いでが良かったのだ。もちろん、改造は必要だがどうという事は無い。
(多人数相手だと弾がいくら有っても足りない……)
普段、使っているのはアサルトライフルだ。携帯する弾も百~二百がせいぜい。多数の弾倉の携帯は行動を制限されてしまう。
それに兵隊の時には、突撃する者・支援火力を張る者と役割が分かれていたので、弾がそれほど必要が無かったのだ。
(そう言えば拳銃が必要な場面って無かったからな……)
拳銃は戦局が駄目詰まりな状況で、ライフルの弾が無くなるような最後の最後で使うような物だ。なので、さほど重要視していなかったせいもある。それに拳銃が必要な場面に遭遇していたらディミトリは生き残ってこれなかったであろう。
(まあ、サプレッサーをどうにかするのが先だな……)
そんな事を考えながら、ショッピングセンターに向かって駐車場を歩いていると一台の車が目に止まった。
駐車場の端っこにポツンという感じで停車している。
(ん?)
ディミトリの直感が何かを告げた。懐にある銃を握りながら車に近づく。
見た目には普通の車だし、取り立てて目立った外観はしていなかった。
(んんん……)
車には誰も乗っていないし、荷物が有る訳でも無い。しかし、何か変なのだ。
車の周りを回って正面に来た時に、何にピンと来たのかが分かった。
(ふ、ナンバープレートが前と後ろで違うじゃねぇか……)
これはニコイチと呼ばれる盗難車だ。ナンバープレートを変更しているのは、発覚を遅れさせるためであろう。
よく見ると車のナンバープレートを、車体に止めているボルトが外れているのだ。それで違和感を覚えたのであろう。
車体に止めるボルトが取れかかっている事は有り得ない。警察に見つかると職務質問されてしまうからだ。
(よし、これを頂いて行こうか)
車のドアを開けてみるとすんなりと開いた。鍵を開けっ放しになっているのだ。
「コイツで移動しようか?」
「君の車?」
アカリはディミトリの不思議な行動に戸惑ってしまった。ショッピングセンターに向かうと言っていたのに、途中で見かけた車で移動すると言い出したからだ。
「いいや、友だちの車さ」
「……」
ディミトリは車に乗ると、ハンドルのカバーを剥がした。そして、イグニッションスイッチの裏から線を引き出し直結させた。
エンジンは素直に架かった。
「……」
その様子を見ていたアカリは、ディミトリが何をしようとして居るのか理解出来た。映画なんか良く見かける車泥棒のやり方だ。
しかも、彼は手慣れている感じだった。
初めて逢った時には銃で撃たれていた。姉によると腕から何か不思議な装置を取り出す手伝いをさせられたとも言っていた。
そして、夜中に廃工場を見張ったり、不思議な行動をする少年なのだ。
(本当にこの子は中学生なの?)
姉が少年を怖がっていた理由はこれなのだろうと確信したのだ。
(この子は目的の為には、悪事であろうと躊躇する事は無い……)
しかし、アカリはディミトリがする事を咎めるのは止めにしている。言っても聞かないだろうと分かっているつもりだからだ。
それよりも、気がかりなのは自分を連れ去ろうとしていた男たちが、姉を拘束していると言っていた事だ。
事実、連絡がつかない点も気になっている。本当に拘束されているのなら、不思議少年の手助けが必要なのだ。
「僕は一旦自分の家に帰る必要が有る」
ディミトリは車を走らせはじめた。本当はアカリに運転して欲しかったが、彼の事を怪訝な顔で見ているからだ。
まあ、自動車の窃盗を目の前で見せられて平気な方がおかしい。
それで、しばらくは自分で運転する事にしたのだった。
「どこか逃げ込める宛は有るの?」
「ええ、友人の家に行こうかと……」
「それは駄目だ……」
「どうしてなの?」
「彼らは君を何らかの方法で追跡している」
「え?」
「じゃなかったら、どうやって君に辿り着いたのさ?」
「あ……」
「その友人を巻き込むのは関心しないね……」
「……」
「携帯電話は持ってる?」
「ええ」
「じゃあ、電源切ってくれる?」
「はい……」
ディミトリは携帯電話の位置確認を利用していると睨んでいた。
アカリはバッグから携帯を取り出した。
「それ、お姉さんのだよね?」
「はい、姉のアパートで間違えて持ってきてしまったんです……」
「そうか……」
これで、アカリがアオイの携帯を持っていた謎が解けた。つまり、アオイはアカリの携帯を持っている事になる。
次はアオイの所在だ。逃げる時の会話でアオイは捕まったとアカリは言っていたのだ。
「お姉さんは彼らに捕まったと言ってたよね?」
「ええ。 大人しく着いてくれば、船で会えると言ってました」
「船……」
ディミトリはロシア系の連中が、どうやって日本に来たのかが分かった気がした。
船なら工夫すれば武器などを持ち込めるからだ。そして、自分たちは船員の振りして入国する。外国でもよく使われる手だ。
(次は黒い不審車をどうやって誤魔化すかだな……)
黒い不審車と中華系やロシア系のマフィア連中が揉めているのは薄々感じていた。
ディミトリの自宅を二十四時間監視するようになったからだ。以前は昼間だけだったのに、それが延長されたのは何かあったと考えるのが妥当だろう。
きっと、自分が中華系やロシア系の連中と揉めているのに気が付いたのに違いない。
だが、監視するだけ接触して来ない。自分の扱いを決めかねているのだろうとディミトリは考えていた。
ディミトリとアカリは大型のショッピングセンターにやってきた。その店は敷地内の駐車場が満杯になった時用に、離れた空き地に駐車スペース設けている。
そこに強奪した車を止めた。青年が警察に通報しているかも知れないからだ。
(利用料金を十万程ダッシュボードに置いておくと言えば良いか……)
ショッピングセンターから可愛そうな青年に電話する事にして、今後の事を考えねばならなかった。
(一旦、家に帰ってサプレッサーを作り直さないと……)
手元にあるサプレッサーは用をなさない。今回の銃撃戦で交換用の弾倉がもっと必要な事が分かった。
これはミリタリーオタクの田島に頼んで譲って貰おう。
拳銃に付属していた弾倉はグラつきが有ったが、手持ちのモデルガンの弾倉はグラつきが無かった。玩具と思っていたが、中々使いでが良かったのだ。もちろん、改造は必要だがどうという事は無い。
(多人数相手だと弾がいくら有っても足りない……)
普段、使っているのはアサルトライフルだ。携帯する弾も百~二百がせいぜい。多数の弾倉の携帯は行動を制限されてしまう。
それに兵隊の時には、突撃する者・支援火力を張る者と役割が分かれていたので、弾がそれほど必要が無かったのだ。
(そう言えば拳銃が必要な場面って無かったからな……)
拳銃は戦局が駄目詰まりな状況で、ライフルの弾が無くなるような最後の最後で使うような物だ。なので、さほど重要視していなかったせいもある。それに拳銃が必要な場面に遭遇していたらディミトリは生き残ってこれなかったであろう。
(まあ、サプレッサーをどうにかするのが先だな……)
そんな事を考えながら、ショッピングセンターに向かって駐車場を歩いていると一台の車が目に止まった。
駐車場の端っこにポツンという感じで停車している。
(ん?)
ディミトリの直感が何かを告げた。懐にある銃を握りながら車に近づく。
見た目には普通の車だし、取り立てて目立った外観はしていなかった。
(んんん……)
車には誰も乗っていないし、荷物が有る訳でも無い。しかし、何か変なのだ。
車の周りを回って正面に来た時に、何にピンと来たのかが分かった。
(ふ、ナンバープレートが前と後ろで違うじゃねぇか……)
これはニコイチと呼ばれる盗難車だ。ナンバープレートを変更しているのは、発覚を遅れさせるためであろう。
よく見ると車のナンバープレートを、車体に止めているボルトが外れているのだ。それで違和感を覚えたのであろう。
車体に止めるボルトが取れかかっている事は有り得ない。警察に見つかると職務質問されてしまうからだ。
(よし、これを頂いて行こうか)
車のドアを開けてみるとすんなりと開いた。鍵を開けっ放しになっているのだ。
「コイツで移動しようか?」
「君の車?」
アカリはディミトリの不思議な行動に戸惑ってしまった。ショッピングセンターに向かうと言っていたのに、途中で見かけた車で移動すると言い出したからだ。
「いいや、友だちの車さ」
「……」
ディミトリは車に乗ると、ハンドルのカバーを剥がした。そして、イグニッションスイッチの裏から線を引き出し直結させた。
エンジンは素直に架かった。
「……」
その様子を見ていたアカリは、ディミトリが何をしようとして居るのか理解出来た。映画なんか良く見かける車泥棒のやり方だ。
しかも、彼は手慣れている感じだった。
初めて逢った時には銃で撃たれていた。姉によると腕から何か不思議な装置を取り出す手伝いをさせられたとも言っていた。
そして、夜中に廃工場を見張ったり、不思議な行動をする少年なのだ。
(本当にこの子は中学生なの?)
姉が少年を怖がっていた理由はこれなのだろうと確信したのだ。
(この子は目的の為には、悪事であろうと躊躇する事は無い……)
しかし、アカリはディミトリがする事を咎めるのは止めにしている。言っても聞かないだろうと分かっているつもりだからだ。
それよりも、気がかりなのは自分を連れ去ろうとしていた男たちが、姉を拘束していると言っていた事だ。
事実、連絡がつかない点も気になっている。本当に拘束されているのなら、不思議少年の手助けが必要なのだ。
「僕は一旦自分の家に帰る必要が有る」
ディミトリは車を走らせはじめた。本当はアカリに運転して欲しかったが、彼の事を怪訝な顔で見ているからだ。
まあ、自動車の窃盗を目の前で見せられて平気な方がおかしい。
それで、しばらくは自分で運転する事にしたのだった。
「どこか逃げ込める宛は有るの?」
「ええ、友人の家に行こうかと……」
「それは駄目だ……」
「どうしてなの?」
「彼らは君を何らかの方法で追跡している」
「え?」
「じゃなかったら、どうやって君に辿り着いたのさ?」
「あ……」
「その友人を巻き込むのは関心しないね……」
「……」
「携帯電話は持ってる?」
「ええ」
「じゃあ、電源切ってくれる?」
「はい……」
ディミトリは携帯電話の位置確認を利用していると睨んでいた。
アカリはバッグから携帯を取り出した。
「それ、お姉さんのだよね?」
「はい、姉のアパートで間違えて持ってきてしまったんです……」
「そうか……」
これで、アカリがアオイの携帯を持っていた謎が解けた。つまり、アオイはアカリの携帯を持っている事になる。
次はアオイの所在だ。逃げる時の会話でアオイは捕まったとアカリは言っていたのだ。
「お姉さんは彼らに捕まったと言ってたよね?」
「ええ。 大人しく着いてくれば、船で会えると言ってました」
「船……」
ディミトリはロシア系の連中が、どうやって日本に来たのかが分かった気がした。
船なら工夫すれば武器などを持ち込めるからだ。そして、自分たちは船員の振りして入国する。外国でもよく使われる手だ。
(次は黒い不審車をどうやって誤魔化すかだな……)
黒い不審車と中華系やロシア系のマフィア連中が揉めているのは薄々感じていた。
ディミトリの自宅を二十四時間監視するようになったからだ。以前は昼間だけだったのに、それが延長されたのは何かあったと考えるのが妥当だろう。
きっと、自分が中華系やロシア系の連中と揉めているのに気が付いたのに違いない。
だが、監視するだけ接触して来ない。自分の扱いを決めかねているのだろうとディミトリは考えていた。
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