俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!

ぽりまー

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跡継ぎ選別

42話

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 次の日、当主の引継ぎ式が行われた。

「アーサー・バンガード、前へ!」

 アーサーが前方のマックロイの元へ歩く。その他の兄妹たちは整列し跪いて待機しており、その後ろで部外者が傍聴している。

「アーサー・バンガード。そなたを正式にバンガード家次期当主とする。バンガードの名に恥じぬよう、これからも導き発展させ、後世に繋ぐのだ」
「このアーサー・バンガード、謹んで襲名し、勤めを果たして見せます」
「うむ。ではアーサーよ、ほかの者たちに当主の証である聖剣を見せるのだ」

 アーサーは腰の鞘から剣を抜き、掲げる。

 キャリバーンは太陽に照らされ黄金の輝きを放っていた。

 観衆から拍手が送られる。

「このアーサー、ただいまを以てバンガード家当主を襲名した! 我と共にバンガードの更なる発展を目指そうではないか!!!」

 会場は大歓声に包まれ、とても良い式になった。



 式が終わり、クレアたちは帰宅の準備を進めつつ休んでいた。

「明後日ここを出るぞ。それまでに準備を済ませておこう」
「分かりました!」
「ゆっくり準備してもいいってことですよね、それって」
「好きにしたらいいが最終日に慌てるなよ?」
「余計なお世話です、クレアさん」

 詩音は窓の近くで黄昏ていた。

「終わったなぁ」
「何がです?」
「選別だよ。なんかあっという間だったなぁって」
「そうだな。結果としては残念だったが、兄妹や父上に認めてもらうには十分な成果だった」
「そうですねぇ。クレアさん、物凄く頑張っていましたから。凄いと思います」
「照れるからあまり言うな。そうだ、今日は祝賀パーティーがあるそうだ。客人も招待して執り行うそうだが皆も来てもいいそうだ」
「パーティーかぁ。面白そうだ」
「ドレスコードとかってあるんですか?」
「心配するな。ドレスとタキシードを借りれるよう手配してある」
「それは楽しみですね!」
「大いに楽しむといい。では私は兄妹たちの元へ行ってくる」

 クレアは部屋を後にし、残った三人も思い思いの時間を過ごした。



 夕刻、それぞれ着替えた4人はパーティー会場へ来ていた。

「おお、みんなドレス似あってるじゃん!!」

 ルナは淡紫色を基調としたひざ丈のシンプルなデザインのドレスで、普段からは見られない大人びた様子が童顔とのギャップとなり更に魅力を増していた。

 クリスタは黒がベースのふんだんにレースをあしらったロングドレスで、こちらはクリスタのイメージにとてもマッチしたデザインとなっている。

クレアは真っ赤なロングドレスで、流石はご令嬢だというように完璧に着こなしている。だが普段の勇敢な戦士の様なたたずまいからは想像できない上品さと妖艶さを放っていた。  

「当然ですね」
「そ、そんな……し、詩音さんも……その……かっこいいです!!!」
「私のはそんなでもないだろ。まあ、一応感謝はするが………… ありがとう」

 その後、華やかで盛大にパーティーが行われた。詩音たちはダンスなんてやったことなかったが、クレアに教わって見よう見まねで踊り、途中調子に乗った詩音がブレイクダンスをかまし、それにランスロットやトリスタンが加勢してブレイクダンス大会になり会場を大いに沸かせるというハプニングはあったが何とか成功した。



 会場の騒ぎが一息ついて、外で涼もうと詩音は庭へ出ると、クレアに手招きされた。

「どうしたんだよ。なんか面白いもんでもあったか?」
「そういうわけではないが……いや、詩音と話がしたくてな」
「おお。なんだ、話って」

 クレアは詩音の目を見て言った。

「今日までのこと、本当に感謝している。ありがとう」
「なんだそんなことか。いいんだよ」
「私の願いというか、我が儘で修行に付き合ってもらって、結果は残せなかったがここまで私を強くしてくれた。本当に感謝している」
「だから、いいんだって。同じパーティーメンバーだろ? 助け合って当然じゃないか」
「ああ。詩音はそういうだろうと思っていたさ。あと、実はもう一つあって」
「なんだ?」
「お前と修行した日々、そして選別で応援してくれた詩音を見て、心が温かくなって、同時に締め付けられるような感覚になったんだ。それで、この気持ちは何なのかずっと考えてた。そうして、やっとわかったんだ」

 クレアは一歩詩音に近づき、真剣な眼差しで詩音を見る。クレアの顔は少し紅潮していた。

「私は詩音のことが―」
「詩音さーん! クレアさーん! 何やってるんですか? デザートが来ましたよ!!!」

 ルナが入り口のドア付近から詩音たちを呼ぶ。

「今行くー!! あ、クレア。さっきなんて言おうとしたんだ?」
「いや、もういい。今はな」
「え――なんだよそれ」
「いいから。早くいかないとデザートが無くなるぞ? 確か今日は有名パティシエが作った最高級ケーキだったろう」
「マジか! おい、行くぞクレア! しこたま食ってやる!!」

 詩音がクレアの手を引き、会場へ戻る。クレアも笑顔でそれについていく。クレアはこの思いを今は内に秘め、だがいつかちゃんと詩音にこの思いを伝えようと固く決意した。

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