俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!

ぽりまー

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跡継ぎ選別

39話

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 ガウェインはクレアの目、呼吸、気迫から十分に本気で殺しに来るだろうと感じ取った。しかし、それでも今回は殺すことがルール違反である為、そこまでしないだろうという余裕があった。

「島原流剣術、彼岸花」

 そうつぶやくと、クレアは一歩踏み出した。

 クレアが視界から消えた。しかし、ガウェインは感じ取った。右側面下方に居る。刃が首に向かって上がって来つつあることを。

 ガウェインは驚異的な反応でクレアの刀を剣で受ける。首まで10センチ離れていない至近距離まで刀が到達していた。

 そのままクレアを払いのけ、後方へ下がる。ガウェインはこの攻撃で確信した。ルールなど関係なしに、本気で殺しに来ていることを。

「お前、殺害は即失格だということを忘れているわけではあるまいな」
「もちろん知っている。だが、島原流禁断の技、裏の型を使わなくては勝利は難しいと判断した」

 島原流、裏の型とはなにか。今までの島原流剣術は武士やその他門下生が身に付けられるように作られた護身や相手の制圧、そして殺害まで幅広い目的の技であった。しかし裏の型は、人を斬り殺すことのみを考え、最大限効率化された技である。これは剣術に限らず、本来の徒手術や、その他派生の武術においても存在する、人体を壊す事のみに特化した殺人拳である。

 ガウェインは剣を正面に構える。

「お前がその気なら俺も本気で行こう。そういえばこの選別ではまだ見せたことが無かったな。俺の聖剣開放を」

 正面に構えた剣を高く掲げ、詠唱する。

「我が魂は正義の光に満ち、我が勇気は輝きを絶やさず。故に我が剣は太陽を宿す。顕現せよ、ガラティーン!!!」

 ガウェインの剣が変形する。そして、刀身が太陽の様な眩しく熱い光に包まれた。

「我が太陽の剣、ガラティーンでお前を灰も残さず焼き尽くす」

 ガウェインが剣を振る。すると灼熱の斬撃がクレアへ飛んで行った。

 クレアはそれを避けながらガウェインを中心とした円を回るルートを走る。その間、クレアは考えた。まずアの斬撃やガウェインを取り巻く灼熱のせいでうまく接近することが難しいだろうということ、そしてガウェインの剣は斬られるのは当然として、剣で受けることもができないだろうということを。しかし、近づかなけれな攻撃は当たらない。

「なら、あれを使うか」

 クレアは走るのを止め、ガウェインの方へ向く。そして姿勢を低くし、力強く後方の足で踏み出した。

 クレアは地面をほぼ滑空しながら進み、高速でガウェインとの距離を詰める。そして今クレアが走る道は、ガウェインの斬撃と灼熱の間にできた針穴よりも細く、一瞬しかない隙の一本道だ。

 周りの灼熱は、高速移動しているクレアにすらも髪や服の端を焦がす。だが止まらない。みるみる距離を詰め、ついに間合いに入った。

「島原流裏の型、香子突ききょうすづき

 ガウェインが反応するもすでに遅く、クレアの刀が鳩尾を貫いた。

 周りの灼熱が収まる。そしてあまりの出来事に会場は沈黙した。ガウェインの吐血の音が遠くからでも鮮明に聞こえた。

 次第に状況を理解した観客たちはクレアの勝利を確信した。しかし、ガウェインのガラティーンの光はまだ死んでいなかった。

「ッアァ……ハァ……ハァ……ハァ……く、クレア。見事な攻撃だったぞ……だが今のお前は俺のガラティーンから確実に逃げられない状況にいる……!!」

 ガウェインは剣を振り上げる。最後の一撃だという様に、今日最高の光を放つ。

「これで……終わりだッ!!! ガラティ―――ン!!!!!」

 勢いよく剣が振り下ろされる。剣は超高温の熱とプラズマ、を帯び、まるで巨大なビームソードだった。

 クレアは刀をひねり横に振る。刀はガウェインの腹を切り裂きながら体の外へ出る。そして自由になった刀を切り上げ、振り下ろされるガウェインの腕を斬り飛ばした。

 手のついた剣が宙を舞い、遠くで落ちた。ガウェインは完全に気を失っている。しかし全く倒れることは無かった。

「し、勝者クレア!!! は、速くガウェイン様に回復魔法を!!!!」

 観客はただ黙ってこの結果を見ていた。壮絶な戦いに言葉を失ったからだ。クレアも勝利の喜びを表さず。ただ運ばれていくガウェインを心の中で称えていた。



 ガウェインが搬送され、クレアも客席へ帰ろうとした時、一人の男が会場へ現れた。

「この選別について一つ提案がある」
「あ、アーサー様!!!?」

 アーサーはクレアを指さし、言う。

「この選別は我とクレアの試合をもって頭首を決めたい」

 アーサーの発言に他の兄妹たちが反論する。

「どういうことだ!!」
「先ほどの試合を見て思った。この選別の結果は、我かクレアのどちらかとなるだろう。であれば我とクレアの試合1試合のみ行えば済むであろう」
「な、なんだと!? じゃあ他の試合はどうなる!?」
「その他の試合をする意味はもはや無くなった。それとも先ほどの試合を見てもまだクレアに勝利する自信がある者がいるのか?」

 兄妹たちは痛いところを突かれ、黙ってしまった。

「ふん……さて、観客の皆様や父上ももうわかっただろうが、ガウェインが敗北した今、アーサーかクレアの候補に絞れたと思う。だからこの一騎打ちをもって選別を終わらせたい。よろしいな?」
「クレアが受け入れるのであれば許可しよう。公平に行かねばならんからな」

 クレアは固い覚悟をもって答えた。

「私は構わない。始めよう」



 




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