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楓ならってこの時思ったんだ
しおりを挟むデパートを出ると、
いつの間にか陽は落ち暗くなっていた。
学生が多かった道も、
仕事帰りのサラリーマンやこれから仕事に行く者達で
日中とはまた違った色を感じさせた。
颯が止めてある車まで歩いている途中だった、
色々な人の心の声が飛び交う中、
聞こえてしまった。
(あのホステス電話中だしちょうどいい、、するか)
私は立ち止まり辺りを見回す。
すると電話中のホステスらしき人に
ある程度の距離を保ち近ずくフードの男の姿があった。
「美優さん!車もう少し向こうですよ(何止まってんだ)」
颯は私の手を握り、引っ張る。
「、、、うざい」
「はっ?(いきなり何?俺の事?)」
「あいつ、、、」
私はフードの男を指差す。
「颯、、、あいつ尾行して」
「えっ?何すかいきなり」
「あいつ今から前の女から財布盗むから、、、尾行して阻止して」
「えっ?なんでわかるんすか?(本当かよ)」
「、、、見失う前に行って」
「もしかして俺から逃げる為の作戦ですか?(盗む根拠もないのに)」
「いいから早く行って」
「はいはい、、、わかりました。ただし俺が戻って来るまでここから一歩も動かないこと!(しょうがねぇなー)」
颯が背を向けると私はスーツの裾を摘み、頭を颯の背中に軽く付ける。
「、、、はある」
「えっ?なんて?」
「根拠はある」
父さん達以外に言うつもりなんてなかった。
でもなんとなくだけど、颯ならって。
この時はそう思ったんだ。
ねぇ、颯は信じる?私の能力を。
「私、人の心が読めるんだ」
私は、颯の背中を押した。
颯は一瞬私をちらっと見た後、フードの男を追った。
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