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火照る跡に-表-
しおりを挟む伊織の携帯に揺れるストラップは
私の誕生石が付いていた。
「携帯貸して、付けてあげる」
「はい」
私は携帯を伊織に渡すと
手際よくストラップを付ける。
「はい、またお揃いが増えたね」
「とっても嬉しいです」
「さぁ今日は帰ろうか」
「はい」
私たちは図書室を後にし
学校を出た。
家に帰ると私は鏡を見た。
伊織から貰ったネクタイ。
そして、首筋などに出来た、
キスの跡。
恥ずかしくて私は目を反らした。
翌朝、制服へ着替えると、
初めて自らネクタイを結ぶ。
今日は伊織は部活の朝練の為、
私は一人で登校していた。
だけど、誰も見ていないはずなのに、
跡が見えていないか、
誰かが見ているのではないかと、
恥ずかしくなり体が熱くなる。
「大丈夫ですか?」
「えっ?」
「大丈夫ですか?顔赤いですけど」
「あ、はい、大丈夫です」
私が信号待ちをしていると、
私の顔の前に黒髪が揺れ、
同じ学校の制服を着た男子生徒に話しかけられる。
「ならよかった」
「、、、、、」
「それ」
男子生徒は私の首筋を指差すと、
私は恥ずかしくなり、
首元を隠す。
「最上先輩とラブラブって噂本当なんですね」
この人、私たちを知っている?
「あの、別れてくれませんか?」
「えっ?」
「絶対別れさすから覚悟しといて」
男子生徒は、信号が青に変わると
走っていった。
学校へ着くと
凪がすでに登校していた。
「葵、おはよう、、あっ!」
私のネクタイに気が付く。
「ふふっ、そっかそっか」
「凪?」
「伊織先輩って意外に束縛激しいタイプなんだね」
凪も私の首筋の跡に
気が付いたんだろう。
にやけた顔で私を見ていた。
そして、私はこんな感じで、
1日を過ごすことになった。
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