フラれたので、記憶喪失になってみました。この事は一生誰にも内緒です。

三毛猫

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気付いてなかったのは俺だけだった-外-

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私たちは先にホテルに戻った。

そして夕食までの間、
色々な話をした。

葵が記憶喪失になってから、
初めての遠出だったから、
葵はとっても嬉しそうで、
私も嬉しかった。


だけど、何となく気付いた。

私って、こう言う感は昔から当たるんだよね。

こう言う時は、葵自身が解決するまで
見守っておくのが一番なのだろうか。

それとも私は葵の親友だから、
協力してあげるべきなのだろうか。


「ねぇ、今日の山下先輩って、なんか葵にぐいぐい来てるよね」
「そうかな?」
「うん、告白でもされた?」

一瞬にして葵の顔が赤くなり反応する。

「、、、、、凪」
「なに?」
「夕食の後、山下先輩と話がしたいから、協力してくれる?」

葵のお願いにびっくりはしたが、
頼られた事が嬉しかった。

告白されたかされないかの返答は無かったけど、
葵の態度を見ればわかる。

そして相手は伊織先輩の親友。
多分葵はたくさん悩んだんだろう。


「もちろん!」

私は葵に返事をした。




そして私は、伊織先輩に夕食後ロビーで会う約束をした。


「じゃあ、後でね葵」
「うん、ありがと」

私は葵を部屋に残し、
ロビーへと向かう。

伊織先輩はその見た目からか、
通りすがる女性たちにチラチラと見られていた。

「お待たせしました!」
「全然大丈夫だよ」

そして岡崎先輩にお土産を買いたいので
一緒に見て欲しいと伊織先輩にお願いをした。

実際お土産は買おうと思っていたから、
一緒に選んでもらえてよかった。

「ありがとうございます!買えてよかったです」
「いいの見つかってよかったよ」

伊織先輩は笑っていたけど、
時より上の空だった。

そして葵はしっかり話が出来ただろうか。
そんな時部屋の片隅にひっそりと
置かれた卓球台を発見する。

「あの、、あれやりません?」

私は、卓球台を指差す。

そして私たちは卓球をした。
しばらくラリーが続いた所で、
伊織先輩が、玉が床に落ちる。


「ごめんごめん」

伊織先輩は笑って私にあやまった。

そして私は伊織先輩に問う。


「、、、心配なんですか?」
「えっ?」

伊織先輩はドキっとした様な
顔で私を見る。

「葵と山下先輩が二人っきりな事がそんなに心配ですか?」
「凪ちゃん、、、知ってたの?」


伊織先輩も葵も本当に、
鈍感なんだから。


「知らなかったのは葵と、伊織先輩だけ」
「、、、、、」
「でも心配する事ないですよ、だって葵は、記憶を失くしても失くさなくても、伊織先輩を好きな気持ちは変わらないのだから」


さぁ再開しましょうと言い、
私は玉を伊織先輩に投げた。



岡崎先輩にも言われてた。
余計なお節介はするなって。

だけど、私はこんな性格だから、
やっぱり黙っておくなんてできなかった。


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