フラれたので、記憶喪失になってみました。この事は一生誰にも内緒です。

三毛猫

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嘘のはじまり-裏-

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俺は振り向き双葉の元へと近寄る。

「だ、、れ、、」
「えっ、、、?」

双葉は俺をまっすぐ見つめる。

「あ、なた、、、だれ?」

すると病室のドアが開き、
看護師さんが面会時間の終了を知らせにと来た。
俺は看護師さんに問う。


でも頼むから、嘘だと言ってくれ。


「双葉、もしかして記憶ないんですか?」



看護師さんは俺の問いに静かに頷いた。

俺はその真実に戸惑いを
隠せなかった。







その後


数日の間、俺は病室に行かなかった。
いや、行けなかった。
どんな顔をして会えば良い?
双葉に何をしてやれる?

俺はどうすれば良いんだ?

俺は悩んだ。

そして一つの答えを見つけた。

いや、この時はこれしか浮かばなかった。

俺が双葉にしてやれる事。

俺は病院へと走った。

病室に居ない双葉を俺は探した。

すると看護師さんから、
双葉は最近屋上で居ると教えてもらった。

屋上に着くと双葉は松葉杖を立てかけ
フェンス越しに夕日を眺めていた。

そして俺は声をかけた。

「双葉」

双葉はゆっくりと俺の方に振り向いた。

「ふたば、って、私?」
「そうだよ」
「、、、、、」

双葉は再び夕日を見た。
今日の夕日はすごく淡いオレンジ色で
双葉を照らして居た。


そして俺は実行する。

今から双葉に嘘をつくという事を。


「先生から記憶が無いって、、記憶喪失だって聞いた」
「うん、、、そうみたい」
「俺の事も忘れてるのか?」
「うん、、、貴方も、他の人も、わからない」



俺は双葉を後ろから抱きしめた。




そして耳元で双葉に囁く。




"教えてあげる、、、双葉は俺の彼女だよ"













これが俺が思い付いた、
双葉に対する償い。

俺は嘘をつく。
ただ双葉の為を思って。

俺は俺の心に嘘をつく。
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