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夢の中で会った、ような
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みなさん初めまして、おはようございます。俺の名前は、伊勢嶋雪兎。群馬在住の高校一年生、16歳のホモです…。
あれ?この自己紹介、今までに何度も行ったような。だけど、そんな事はありえないよね。何せ俺は、この度初めて物語の「主人公」になるのだから。
さてさて、高校生活が始まってはや数日を迎えましたよ。通う先は、市内にある名門男子校。毎日からっ風に吹かれながらチャリを漕いで通学するのは難儀だけど、高校自体はここに入学して良かったと思っています。何でかって?ヒントは、男子校!
スポーツに関しても名門校なので、いい体格した運動部員が結構多いんですよね。体育の着替えでは、その見事な身体を惜しげもなく晒してくれたりとか。全く、ホモにとっては目の毒…。いや、目の保養ですね。ウヒャラッホイ!
中でも、最推しは柔道部員の岩本大地くん!類まれなる才能と体格に恵まれ、中学時代には数々の大会で名を馳せていたとか。しかもそれだけじゃなくて、本人の気質もめちゃくちゃ紳士です。出席番号が一つ違いだから、クラスでも前後の席になってすぐに仲良くなりました。
それから、何くれとなく世話を焼いてくれるんですよねぇ…。俺がヒョロくて頼りなさそうだから、気を使ってるのかな。まぁでも、理由は何でもいいんです。大事なのは、これからどう転ぶかでしょう?信じていれば、彼と結ばれる展開だって…。あり得なくは、ないよね?何せ、これはBL小説なんだし!
さて、今日は転校生が一人やって来るらしいんですよ。新学期が始まって間もないと言うのに、また何でこんな中途半端な時期に。何でも中学時代はオーストラリアで過ごしていて、日本での手続きが入学式に間に合わなかったとか。そうなんだ。まぁ正直、どうだっていいけどね。
HRで、その転校生との顔合わせ&自己紹介がありました。名前は、一ノ瀬蒼くん。何だかまるで、BL小説の攻めみたいな名前だなぁ。自作に活かせるかも知れないから、メモしとこ。見た目も、褐色のイケメンでいかにもスポーツやってますみたいな感じだ。岩本ほどじゃないけど、背もスラッとして高いしね。だけどその、肝心の自己紹介ってのが…。
「一ノ瀬蒼です。中学時代は、サッカー留学でオーストラリアにいました。その前に、ちょっとだけ群馬にいた事もあります。映画では恐竜が徘徊してましたが、思ってたよりは都会だなって感じました。よろしく」
うわぁー、壮大に滑りましたよ!何だ何だ、この残念なイケメンは。なんぼ顔だけは良かったとしても、こいつだけはスルー安定だな。だから、あんまり近づかないでおこう…。そう、思っていたのに。
「それじゃ席は、出席番号順の方がいいですよね。おれ、伊勢嶋くんの後ろに座ります。悪いけど君の方から、一つずつ後ろにずれてくれないかな」
教師が口を開く前に、勝手に自分で席を指定しやがった!何だこの、シキリ野郎はよ!岩本も他の奴らもお人好しなので、どうぞどうぞってな感じで席を移動させている。あーあ。岩本と前後の、楽しい席順だったのになぁ…。ってかこいつ、何で俺の名字が「伊勢嶋」だって知ってんの?教師から、クラスの名簿でも渡されていたのかな。
ってな訳で、俺としては甚だ不本意であったが…。当の本人は、まったく悪びれる様子もなく後ろの席から話しかけてきた。
「それじゃ、『雪兎くん』。これからの学校生活、どうぞよろしくね」
よろしくね、じゃねぇよ。こちとら、お前のせいでさっきから不機嫌なんじゃい。ってか名字だけでなく、フルネームで名前知ってやがったのか。オーストラリアでどうだったか知らないが、あんまり馴れ馴れしくしないでほしいって話。こっちも、あんまり馴れ合うつもりはない。だけど…。
だけどこの人、いつかどこか…。夢の中で会った、ような。なんてね、気のせいか。お気に入りのBL漫画か、乙女ゲーで似たようなキャラがいたとかそんなんでしょ。それに先ほど、彼から話しかけられた時…。
『あたしからも、頼むわ。どうぞ、弟の事をひとつよろしくね』
って声が、直接脳内で聞こえた気がする。これもきっと、気のせいだよね。昨晩も遅くまでBL小説の執筆をしていたので、脳が暴走したのだろう。でも、何でだろう。悲しくもないのに、何でか涙が流れそうになってきた…。本当、疲れてるなぁ。今日はあんまり無理しないで、早く寝るようにしよう…。
ところでこれはBL小説だから、そのうち俺がこの「一ノ瀬くん」と付き合うの?いやいや、ないって。あり得ないよ、そんな展開は!何なら、今ここで5000兆円くらい賭けてもいいよ。
だけど、そうだなぁ…。この体験を、自作のBL小説に活かすってのはアリかも。その場合、タイトルは何にしよう。えーと、『転校先で知り合った優等生腐男子と、何でか付き合うようになりました』とか?悪くはないかな。だけどこれだと、視点が転校生側=一ノ瀬くん側になっちゃうな。俺の視点にすると…。
『転校してきた褐色のオレ様イケメンから、何でか溺愛されています』?
ははは、なんつってね。
~TO BE CONTINUED…?~
あれ?この自己紹介、今までに何度も行ったような。だけど、そんな事はありえないよね。何せ俺は、この度初めて物語の「主人公」になるのだから。
さてさて、高校生活が始まってはや数日を迎えましたよ。通う先は、市内にある名門男子校。毎日からっ風に吹かれながらチャリを漕いで通学するのは難儀だけど、高校自体はここに入学して良かったと思っています。何でかって?ヒントは、男子校!
スポーツに関しても名門校なので、いい体格した運動部員が結構多いんですよね。体育の着替えでは、その見事な身体を惜しげもなく晒してくれたりとか。全く、ホモにとっては目の毒…。いや、目の保養ですね。ウヒャラッホイ!
中でも、最推しは柔道部員の岩本大地くん!類まれなる才能と体格に恵まれ、中学時代には数々の大会で名を馳せていたとか。しかもそれだけじゃなくて、本人の気質もめちゃくちゃ紳士です。出席番号が一つ違いだから、クラスでも前後の席になってすぐに仲良くなりました。
それから、何くれとなく世話を焼いてくれるんですよねぇ…。俺がヒョロくて頼りなさそうだから、気を使ってるのかな。まぁでも、理由は何でもいいんです。大事なのは、これからどう転ぶかでしょう?信じていれば、彼と結ばれる展開だって…。あり得なくは、ないよね?何せ、これはBL小説なんだし!
さて、今日は転校生が一人やって来るらしいんですよ。新学期が始まって間もないと言うのに、また何でこんな中途半端な時期に。何でも中学時代はオーストラリアで過ごしていて、日本での手続きが入学式に間に合わなかったとか。そうなんだ。まぁ正直、どうだっていいけどね。
HRで、その転校生との顔合わせ&自己紹介がありました。名前は、一ノ瀬蒼くん。何だかまるで、BL小説の攻めみたいな名前だなぁ。自作に活かせるかも知れないから、メモしとこ。見た目も、褐色のイケメンでいかにもスポーツやってますみたいな感じだ。岩本ほどじゃないけど、背もスラッとして高いしね。だけどその、肝心の自己紹介ってのが…。
「一ノ瀬蒼です。中学時代は、サッカー留学でオーストラリアにいました。その前に、ちょっとだけ群馬にいた事もあります。映画では恐竜が徘徊してましたが、思ってたよりは都会だなって感じました。よろしく」
うわぁー、壮大に滑りましたよ!何だ何だ、この残念なイケメンは。なんぼ顔だけは良かったとしても、こいつだけはスルー安定だな。だから、あんまり近づかないでおこう…。そう、思っていたのに。
「それじゃ席は、出席番号順の方がいいですよね。おれ、伊勢嶋くんの後ろに座ります。悪いけど君の方から、一つずつ後ろにずれてくれないかな」
教師が口を開く前に、勝手に自分で席を指定しやがった!何だこの、シキリ野郎はよ!岩本も他の奴らもお人好しなので、どうぞどうぞってな感じで席を移動させている。あーあ。岩本と前後の、楽しい席順だったのになぁ…。ってかこいつ、何で俺の名字が「伊勢嶋」だって知ってんの?教師から、クラスの名簿でも渡されていたのかな。
ってな訳で、俺としては甚だ不本意であったが…。当の本人は、まったく悪びれる様子もなく後ろの席から話しかけてきた。
「それじゃ、『雪兎くん』。これからの学校生活、どうぞよろしくね」
よろしくね、じゃねぇよ。こちとら、お前のせいでさっきから不機嫌なんじゃい。ってか名字だけでなく、フルネームで名前知ってやがったのか。オーストラリアでどうだったか知らないが、あんまり馴れ馴れしくしないでほしいって話。こっちも、あんまり馴れ合うつもりはない。だけど…。
だけどこの人、いつかどこか…。夢の中で会った、ような。なんてね、気のせいか。お気に入りのBL漫画か、乙女ゲーで似たようなキャラがいたとかそんなんでしょ。それに先ほど、彼から話しかけられた時…。
『あたしからも、頼むわ。どうぞ、弟の事をひとつよろしくね』
って声が、直接脳内で聞こえた気がする。これもきっと、気のせいだよね。昨晩も遅くまでBL小説の執筆をしていたので、脳が暴走したのだろう。でも、何でだろう。悲しくもないのに、何でか涙が流れそうになってきた…。本当、疲れてるなぁ。今日はあんまり無理しないで、早く寝るようにしよう…。
ところでこれはBL小説だから、そのうち俺がこの「一ノ瀬くん」と付き合うの?いやいや、ないって。あり得ないよ、そんな展開は!何なら、今ここで5000兆円くらい賭けてもいいよ。
だけど、そうだなぁ…。この体験を、自作のBL小説に活かすってのはアリかも。その場合、タイトルは何にしよう。えーと、『転校先で知り合った優等生腐男子と、何でか付き合うようになりました』とか?悪くはないかな。だけどこれだと、視点が転校生側=一ノ瀬くん側になっちゃうな。俺の視点にすると…。
『転校してきた褐色のオレ様イケメンから、何でか溺愛されています』?
ははは、なんつってね。
~TO BE CONTINUED…?~
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