上 下
4 / 6
4月10日 晴れ

ダル系男子×ワンコ系後輩男子

しおりを挟む
 「おっと、自己紹介が遅れたね。俺の名前は、伊勢嶋雪兎。通りすがりの、BL同好会部長だよ。君らのわちゃわちゃを見ていて、微笑ましく思っていた所だ。と同時に、新作BL小説の構想がエブエブと湧き上がっていた所だよ…!」

 あぁ、知ってるこいつ。直接会って話した事はないけど、変人として有名だから。伊勢嶋雪兎18歳ホモ、俺と同じく新三年生。この度、初めて同じクラスになったんだとか。うん。あんまり、お目出度いとは思わないな。
 実家が市内では有名な個人病院で、うちの学長とも密接な関係(意味深)。学校にもクッソ献金してるから、こいつ相手に逆らえる教師はいないんだとか。クラス内での立場は、空気だって聞いたけれど。
 言ったとおり、本来部員一人では同好会とも認められないんだけど…。実家の権力のおかげか、見なかった事にされてるらしい。「BL同好会」なる物を設立し、あまつさえ部室まで勝ち取って一人で放課後に色々と(意味深)シてるらしいよ。いやまぁ詳しくはないけど、何かのコンテストに入賞したりとかちゃんとした実績も残してるらしい。
 ってか、伊勢嶋の紹介は一旦このへんで。あまりにキャラが濃すぎて、主要人物である俺らが霞むからね。そんな事を考えていたら、向こうから何か話しかけてきたぞ。
 「三原裕人くん、元バスケ部員だね?君のことは、ずっと前から知っていた。有名人だし。いかにも、BL小説における攻めっぽい名前だなと思っていた」
 有名さで言うなら、お前にだけは言われたくないわい。ってか後半部分、腐女子の元カノと一言一句同じ事言ってるな…。こいつら会わせたら、絶対に気が合いそう。いや、会わせませんけどね。俺ってそんな、「有名人」なのかなぁ…。いちおうこれでも、強豪であるうちのバスケ部でレギュラーは張ってましたが。だからそこにいる、堀北くんとやらにも知っていてもらえたのかな。
 「そしてそこの君は、堀北希望くんだね?いやぁ、重ねて受けの見本みたいな子だ。君たちを見ていると、次回作の創作意欲が次々に湧いてくる。どうだね、天文部とやらの存続…。この俺に、委ねてみないかい?」
 あれ?俺、いつの間にか天文部に入部する前提になってる?まぁ、いいか。何やら面白そうだし、ちょっとこのまま成り行きに身を委ねてみるか。
 「え?そ、そりゃ俺がこのまま勧誘を続けていても一人の部員も誘えなかったでしょうし…。思い出のある天文部の部活動と部室を残してくれるなら、何でもしますけど」
 「ん?今、何でもするって言ったよね!?いけないなぁ。君みたいな子が、何でもするとか気軽に言っちゃ。いや、別に大した事ではないよ。ただ、君たちの事を観察して…。次回作の、参考にさせてもらいたいんだ。そう…。ダル系男子×ワンコ系後輩男子の、ゆるキュンBLストーリーにね!」

 「俺って、ダル系男子なんだ?」
 「俺って、ワンコ系後輩男子なんですか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

BL学園の姫になってしまいました!

内田ぴえろ
BL
人里離れた場所にある全寮制の男子校、私立百華咲学園。 その学園で、姫として生徒から持て囃されているのは、高等部の2年生である白川 雪月(しらかわ ゆづき)。 彼は、前世の記憶を持つ転生者で、前世ではオタクで腐女子だった。 何の因果か、男に生まれ変わって男子校に入学してしまい、同じ転生者&前世の魂の双子であり、今世では黒騎士と呼ばれている、黒瀬 凪(くろせ なぎ)と共に学園生活を送ることに。 歓喜に震えながらも姫としての体裁を守るために腐っていることを隠しつつ、今世で出来たリアルの推しに貢ぐことをやめない、波乱万丈なオタ活BL学園ライフが今始まる!

それはきっと、気の迷い。

葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ? 主人公→睦実(ムツミ) 王道転入生→珠紀(タマキ) 全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

聖也と千尋の深い事情

フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。 取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

平凡な365日

葉津緒
BL
平凡脇役(中身非凡)の王道回顧録 1年間、王道連中を遠くから眺め続けた脇役(通行人A)の回想。 全寮制学園/脇役/平凡/中身非凡・毒舌 start→2010

処理中です...