外務省夢叶える課［～幻の、政党戦争～。比較的、平和主義の仮想フィクション物語］です。

エピソード18

　２時間後、最初の政策希望者が出た。
「６０代、女性、子供、孫あり..。」
「あなたの政策の趣旨にあった願いを教えてください。」
「死んだ夫に会いたいんです..。」
　..。
(いきなりきた)
「旦那さんですよね、亡くなった..。」
「会いたいというのは？」
「孫がゲームでプロ野球の選手の映像が忠実にコンピューターで再現をされていたんです..。」
「テレビゲームですよね。」
「はい。」
「それと、亡くなった旦那さんと関係があるのですか？」
「あのようにはできないのでしょうか？」
「声はないんですけど、実況の方の声は入ってるし、旦那の声は残っています。」
「..しかし、旦那さんは亡くなっているんですよね。」
「はい。」
「お墓にもあるんですよね。」
「はい。」
「すると..いや、..。」
　マニュアルでもこのようなことは考えられていた..しかし、最初から..。
「昔で言う、輪廻転生みたいなことで、会ってみたいと..。」
「輪廻転生？」
「..記録掛けます？」
俺は言う。
「続けてくれ、我々の判断で記録を止めるわけにはいかない..。」
「輪廻転生とは長年研究がされていました..それは、今のゲームを見ても、漫画を見てもわかるでしょう..でもね、奥さん、..。」
「人間は一生は一回なんですよ。一度会えなかったら結婚だってできないですよね..。出逢いが１００％で、亡くなってから会うのが１％..というのは恐らく勘違いであり、間違いです..。」
「そうですか、一度の会うのが１００％なら、せめて、映像でも今の私に顔を見せてほしいと思ったのですが..。」
「気持ちはよくわかります。最近はそういうニーズが増えているのも確かです..。」
　関係筋が動くか..マニュアル通り..しかし、しょっぱなから輪廻転生..。
　何て物悲しいんだいつの世の中も..しかし、喜びが１で悲しみが１００ではない..。それを伝えることができたのはさすが、外務省の職員といったところか..。
弁護士の方も口を出さない..。
「３Ｄで再現して、声紋の再現まではできません..。」
「３Ｄで我慢してくれれば関係に話を通して実現できると思います..。」
「それで、記録に残ったお声と一緒に、お墓参りに旦那さんに笑顔でご報告していただいたらどうです？」
「お孫さんも、お子さんも、違う目で旦那さんを理解してくれるかもしれませんよ。」
「ありがとうございます。」
　..素直に聞いてくれたな..よかった..。


　俺は思った。