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エピソード140

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「こんな感じでどうでしょうか、先輩..。」

真琴は言う。
「うまい。」

季節は、もう春を終えるところ、やっと、このレベルについてこれるまで練習をしてきた..。もちろん、部活だけではなく勉強もしてきた..。
彼との別れはそれまでの思い出を山口が努力、と言ったような気がした、思い出を作るというのは環境だけではない、それまでの努力なのだ..。
まっ、当時は漢字は私の方が点はよかったけれど、それも今はいい思い出..。

時々、いっくんの受賞作品を見に行って、彼と会っている気がした..。
絵画とは不思議だ。

その絵を慕うのに、先輩の顔だけたてる人はいいかもしれないが、そのままの人間に見えてくるのだ..。それははっきり違うと、会っていないときに、ときに強く思ったり、演奏をしながら考えてきたものだ..。

自然に先輩と打ち解けられたのは、康くんのおかげ..。

その上にたどり着けるか..彼はきっと勝負に出ていたのだ。
試合では新顔相手に投げてたけど、それは表、裏ではそんな勝負ばかりしている..それがスポーツだと思っているのはきっと変わっていないし、今から思えば、それが山口康太のスタンスだったのだろう..。

「それ、足賀田の?」

同じ地元の先輩がいた..。

「..はい。」
「そっか、すごい偶然、あの頃は春と思えば二人のスーパープレーヤーだったわね..懐かしいな..。」

「そんな彼らももう中学生か..。」

「何?もう、2年も足賀田に帰ってない?」
「あなた正気?」
「たぶん違います。」

「そうか、ガールフレンドか..。」

「そんな感じだったもねあの二人..。」

「そっか、彼女だったんだ..。」

「先輩、だめですよ、今、うちの学年には、真琴が必要なんです..。」
「中学生が、勉強や、部活をおろそかにするのはよくないじゃないですか..。それどころか、彼氏のために北海道に帰られたら人生変わっちゃいますよ..。」

「真琴の音は東京で響かせなきゃいけないんです..。」

「わかってる、それ以上言わないで..。」
「すみません、先輩、部活の時間に..。」
「いや、私には見えてきた気がしたわ..その彼のために演奏している真琴が..。」
「そう言ってくれてありがとうございます..。さっ、準備しますから待っていてください..。」
後輩は部活の基礎を整える、練習場のセッテイングは先輩だけのためじゃない、その新鮮さと努力を表す、絶対必要な時間だ..。
彼の話でその準備を流すわけにはいかない..。
それが、私の道。
 

今日も青空の下、陸上で走る二人のスケッチを描くいっくん..。
 

絵画で感動してよく走れるな..。それでしか繋がれないなんて、やっぱり、自分の絵の才能を上げるためにはこうした才能が必要だ..。


例え、自分が抜かれたとしても、存在意義はとっくに数年前から絵に描いてある..。

それにしても、二人とも偉いな。絵には大人の見いだす部分がないと認められるのは難しい..。その時期のその絵をそのときの自分の思い描くその部分が毎年変わっても描かなくちゃいけない..。それで残ったものが芸術として世にでる..。

 
そんなこと言ったこともないのにこの二人はよく部活でも頑張っている..。
まっ若干ホリーは、恋に芽生えているかもしれないな..。
 

さて..。

スケッチを終えて教室をあとにするいっくん..。


 
「6月の定期試験か。」
ホリーは言った..。

「唯一の救いはテスト一週間前の部活停止..。」

「俺達は先をいっていることがよくわかるな。」

「それは気持ちだけだろ。ホリー。」

「告白の時間を一週間休んでいるようなものだ..。」


「まっ、それより、ホリー。」
「2×3Xは?」
「6Xだ。」

「よし。」

山口も安心したようだった..。
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