あのときは泣きたかった。

エピソード30

　どうもこの人もなんか飛んでるな..。
　ホリーは落ち着いていた。そりゃそうだ、ラビットズドームでせっかく内野中枢を１１歳にしてプレーできる..。このよくわからぬ天才達にはわからない落ち着きを持っているのだ..。監督の話をよく聞いて、今大会のＭＶＰを..。
　闘志に燃えるホリーであった。
「では、３番センター山口。」
　..嘘だろ..。ホリーは愕然とした。

「はい。」

　無表情で答える山口..。
「４番、レフト遠藤真広。」
　..嘘だろ..。ホリーは愕然とした。
「はい、がんばります。」
「オッケー、次、５番ショート堀、正明。」
「はい。」
　..俺、五番？スタメンか..。

　同じ気持ちが三つ流れるとは、全く持って大変なチームのショートであることを理解していたのだ..。

「後、山口、投球練習をしておくように..。」
「おー。」
　チームで歓声が上がる。
「..わかりました。」