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31話
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『エマ・ジョンソンは誘拐した。返して欲しければ明日までにハグラン山に来い。早い分には何時でもいい。そして我々と戦え。もし、遅れる事があったらエマ・ジョンソンを痛めつけながら殺す。
888部隊 』
アスファルトの地面に落ちたクレープの生クリームが暑さで溶ける中、俺はとりあえず拠点へと走るのだった。
「はぁはぁ」
上がった息を整えるように一度大きく深呼吸する。
「ど、どうしたの?」
異様な空気を放つ俺を見るなり、リビングにいた夕貴がそう訊いてくる。
「エマが・・・エマが誘拐された」
その言葉に夕貴の表情は一瞬にして変わる。この状況は最悪もいい所、日本から出てきて1番の高い壁だ。しかも・・・・誘拐犯が888部隊とは・・・・
白い紙を見せる。
異変を察知した他の面々も徐々に揃っていき、空気が氷のように冷えていく。
「・・・・俺が1人で行ってくる」
こうなったのは俺のせい。俺のせいで仲間を殺させる訳にはいかないからな。
「おまっ・・・・1人でって」
拓斗が言葉を放とうとするが、夕貴がそれを止めた。
「わかったわ・・・・」
「夕貴ちゃん!?」
驚いた表情でみんな夕貴の事を見つめる。そのみんなの中に俺も入っている。そんな簡単に認めてくれるなんて・・・・
「どうせ何言ったって、口論になって論破したって、歩希は絶対に一人で行くって聞かないわ。そうでしょ?歩希」
「うん。玄関開かないようにしてでも一人で行く」
「なら、無駄な事はやめて、歩希がやりたいようになればいい。ただ絶対に死なない事。これだけは絶対に守りなさい・・・・これはお願いじゃなくて命令。わかった?」
そういう夕貴の顔は部下に命令する上司の顔だ。
「そのぐらいわかってる。俺らの目標は日本の破壊・・・・それは肝に銘じている」
そう言い残し、俺は武器庫に向かった。
武器庫でグロックとナイフを取り、グロックはホルスター、ナイフはナイフケースにしまう。日本刀をベルトに付け、玄関へと向かう。
「じゃ、行ってくるわ。じゃーな」
みんなにそう言い、玄関の扉に手をかける。
「またね、歩希」
その言葉を背に扉を開けて1歩踏み出そうとすると、夕貴とは違う声が俺の耳まで届いた。
「待って!歩希さん!」
そう言ってきたアッシュの方に向く。アッシュはペルーで出逢った時から髪が伸びて少々女の子っぽくなった。
「これ、持っていってください」
渡されたのは絆創膏。
「どうせオーバースモールを使うんでしょ?傷口をほったらかしてたら、そこからウイルスが入ってきたりするのでちゃんと絆創膏貼っといてくださいよ!帰ってきたら消毒などもしますから。それとまだ誘拐犯されて数時間だから平気だと思うんですけど、この炎天下だし、エマさんが脱水症状になってないかも心配です。ですから、速攻で連れ戻してください!」
今ではDESTROYERSのお母さんと言う感じになったアッシュ。医学に精通している人がいて本当に良かった。怪我をしてもちゃんと治してくれるし、これで多少は無理できる。
「わかったよ。んじゃ、今度こそ行ってくる」
そして俺はハグラン山に向かうのだった。
ハグラン山に着いた俺は山道を歩く。葉が揺れた瞬間、俺は日本刀を抜き、背後から来る攻撃を受ける。
「1度目すら決まらなかった攻撃がどうして決まると思った?」
ケロッグのがら空きとなった腹に蹴りを入れ、吹っ飛ばす。
「俺の仲間を・・・・エマを返せ。何故誘拐した?回答によっては俺はお前らを全員殺す」
「何故誘拐したか?ハハッ」
一度笑い、ケロッグが言った。
「そんなの汚名返上・・・・888部隊は最強なんだ。敗北は許されない。それも無名の組織に敗北するなんて言語道断。だから、その敗北を取り消すためにね・・・」
俺は・・・俺はその言葉を聞いて今までにない以上の怒りを覚えた。
888部隊 』
アスファルトの地面に落ちたクレープの生クリームが暑さで溶ける中、俺はとりあえず拠点へと走るのだった。
「はぁはぁ」
上がった息を整えるように一度大きく深呼吸する。
「ど、どうしたの?」
異様な空気を放つ俺を見るなり、リビングにいた夕貴がそう訊いてくる。
「エマが・・・エマが誘拐された」
その言葉に夕貴の表情は一瞬にして変わる。この状況は最悪もいい所、日本から出てきて1番の高い壁だ。しかも・・・・誘拐犯が888部隊とは・・・・
白い紙を見せる。
異変を察知した他の面々も徐々に揃っていき、空気が氷のように冷えていく。
「・・・・俺が1人で行ってくる」
こうなったのは俺のせい。俺のせいで仲間を殺させる訳にはいかないからな。
「おまっ・・・・1人でって」
拓斗が言葉を放とうとするが、夕貴がそれを止めた。
「わかったわ・・・・」
「夕貴ちゃん!?」
驚いた表情でみんな夕貴の事を見つめる。そのみんなの中に俺も入っている。そんな簡単に認めてくれるなんて・・・・
「どうせ何言ったって、口論になって論破したって、歩希は絶対に一人で行くって聞かないわ。そうでしょ?歩希」
「うん。玄関開かないようにしてでも一人で行く」
「なら、無駄な事はやめて、歩希がやりたいようになればいい。ただ絶対に死なない事。これだけは絶対に守りなさい・・・・これはお願いじゃなくて命令。わかった?」
そういう夕貴の顔は部下に命令する上司の顔だ。
「そのぐらいわかってる。俺らの目標は日本の破壊・・・・それは肝に銘じている」
そう言い残し、俺は武器庫に向かった。
武器庫でグロックとナイフを取り、グロックはホルスター、ナイフはナイフケースにしまう。日本刀をベルトに付け、玄関へと向かう。
「じゃ、行ってくるわ。じゃーな」
みんなにそう言い、玄関の扉に手をかける。
「またね、歩希」
その言葉を背に扉を開けて1歩踏み出そうとすると、夕貴とは違う声が俺の耳まで届いた。
「待って!歩希さん!」
そう言ってきたアッシュの方に向く。アッシュはペルーで出逢った時から髪が伸びて少々女の子っぽくなった。
「これ、持っていってください」
渡されたのは絆創膏。
「どうせオーバースモールを使うんでしょ?傷口をほったらかしてたら、そこからウイルスが入ってきたりするのでちゃんと絆創膏貼っといてくださいよ!帰ってきたら消毒などもしますから。それとまだ誘拐犯されて数時間だから平気だと思うんですけど、この炎天下だし、エマさんが脱水症状になってないかも心配です。ですから、速攻で連れ戻してください!」
今ではDESTROYERSのお母さんと言う感じになったアッシュ。医学に精通している人がいて本当に良かった。怪我をしてもちゃんと治してくれるし、これで多少は無理できる。
「わかったよ。んじゃ、今度こそ行ってくる」
そして俺はハグラン山に向かうのだった。
ハグラン山に着いた俺は山道を歩く。葉が揺れた瞬間、俺は日本刀を抜き、背後から来る攻撃を受ける。
「1度目すら決まらなかった攻撃がどうして決まると思った?」
ケロッグのがら空きとなった腹に蹴りを入れ、吹っ飛ばす。
「俺の仲間を・・・・エマを返せ。何故誘拐した?回答によっては俺はお前らを全員殺す」
「何故誘拐したか?ハハッ」
一度笑い、ケロッグが言った。
「そんなの汚名返上・・・・888部隊は最強なんだ。敗北は許されない。それも無名の組織に敗北するなんて言語道断。だから、その敗北を取り消すためにね・・・」
俺は・・・俺はその言葉を聞いて今までにない以上の怒りを覚えた。
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