「復讐の相手」

著恋凛

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9話

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空港から少し離れたカラオケに来ていた。
「んで、ある事ってなんだよ。」
「俺たちは・・・・陸上自衛隊能力部隊に復讐したい。だから、組織を作りってるんだ。」
復讐・・・復讐ってどこまでするんだろ?俺は不意にそんなことを考えた。
「はい!僕その組織に加入します!」
手を挙げながら元気よく言う快知。誰もがこいつアホだろって思った。
「おまっ、そんな即決って。」
「だって僕は愛国者でーす。ってわけでもねぇし。それに親友が国から追い出されて黙ってられるかってんだよ。」
快知、アホだと思っててごめん。良い奴なんだな。
「もちろん俺たちも入りますよ。ね?拓斗さん!」
「まぁな。」
いやぁ、こいつらも加われば結構な戦力だな。でも、それと同時に住む場所はデカくしなきゃいけないんだよな。
「あ、たぶん元幹部の人たちも誘えば全員入ると思うぞ。今回は誘ったんだけど、国家公務員だし、それなりに上の役職だから急には無理だったんだ。」
いつでも来ていいように組織も拡大しとかなきゃな。
今の組織の人数は7人。最低でも30人欲しいから、元幹部が全員入ってくれたと想定しても後17人は仲間を引き入れなきゃいけないのか。先が見えないな。
「歩希たちって家とかあるの?」
快知突然そんなことを聞いてきたので俺は即答で
「ない。」
と、言う。家は・・・小さい所で何とかするしかないか。
「お、マジで!?それなら僕の初任務が決定したな。」
「は?」
「まぁ、いい。今から整備されてない誰もいない山に向かうぞ!」
そう言い、すごい勢いで扉を開け、歩いて行く。
それに対して俺たちは会計を済ませ、着いていく。


ずんずんと俺たちの先頭を歩く快知の背を見ながら、俺は小さな声で拓斗に訊く。
「快知何しようとしてるか分かるか?」
「んまぁ、予想でしかないけどな。」
苦笑いをしながら答えた拓斗。春樹は英語が得意なのかわからんが、ハロンと楽しそうに話している。夕貴とエマも何か話している。金髪と銀髪、なんか不良みたい。と、考えるが、俺らは不良よりやばい事するのか。




そして、さらに歩くこと数分。
俺たちは本当に整備もなんにもされてない山へと来ていた。辺りに人の気配はない。
「ここら辺でいいかな。」
快知はそう呟き、足を止める。拓斗以外誰も何しにここに来たのか分からない。
「今は7人だが、この先増えるだろうから、とりあえず15でいいかな?それに治療室と作戦会議室も必要かな?」
そう独り言のように小さな声でブツブツと言う快知は一瞬拓斗の方に向く。その刹那、俺の視界は真っ黒に染まる。
「ごめんな、歩希。快知がどうしてもって言うから。」
その声は俺のすぐ後ろから聞こえた。そしてその声の主は・・・拓斗だ。拓斗が俺の目を手で隠している。
「はい、OK。」
拓斗がそう言うと同時に俺の視界は戻って行く。そこにはさっきまで無かった地下へ続く階段のようなものがあった。
なにこれドラクエみたい。と思うと同時に、嫌な思い出も蘇る。
「自分で作ったけど、すげぇAPOの本部に入口似てるな。」
「なぁーんで、それを言っちゃうんですかね。」
あの戦いで何人も死んだのに振り返っちゃうのかな。これだから快知はアホなんだよ。
「ま、入ってみるか。」
そして、階段を下る。
まず最初にあったのは玄関。それを見て俺は理解する。これは家か。
靴を脱ぎ、奥に行こうとすると、ハロンとエマに声をかけられる。
「なんで靴を脱ぐんですか?」
あぁ、オーストラリアじゃ、靴を脱がない所もあるのか。
「日本じゃ、家にいる時は絶対と言っていいほど靴を脱ぐんだ。砂とかで汚れるから。」
そう言うと2人とも靴を脱ぐ。住んできた国が違うとそうなるのも仕方ないか。
奥に進むとソファーやらテレビ、テーブルなどがあるリビングらしきものがあった。
「はいはーい。ここからは僕が家の紹介をしてくよ。まず、ここはリビング。ま、団欒の場って感じかな?次はー」
と、言いながら、奥の扉をかける快知。扉の先には横は人5人分ぐらいの広さの廊下があった。その横の壁には一定間隔で扉があり、まるでホテルのような感じだった。
「ここは一人一つある部屋です。中にはベットとクローゼットがあるよ。」
言い終えた快知は扉を閉め、次は右の扉を開ける。
扉の先はさっき同様部屋が何個かあった。違う所と言えば扉の感覚が広いのと扉の上に金属のプレートのようなものがある事ぐらいだろう。
「奥からお風呂、トイレ、治療室、作戦会議室、武器庫、娯楽室だよ。お風呂とトイレはいいとして、治療室には色々と薬を置いといたよ。作戦会議室は大きなスクリーンとイスが置いてある。そして、あそこと武器庫だけ金属製の部屋にしてるから火事が起きても燃えないよ。だから、大事な書類とかはちゃんとしまっといて。あ、武器庫と言ってもまだなんにも武器はないから。娯楽室は色々と遊んだりできるから適当に使っていいよ。」
なんか快知がNPCみたく分かりやすく説明してくれるので助かる。
そして最後に左側の扉を開ける。
中は大きなテーブルを囲むようにしてイスが7個置いてある。近くには台所もあり、冷蔵庫まである。食堂と言ったところだ。
「ちょっと歩希。僕の仕事取らないでよ。」
そうバツの悪そうな顔で言ってくる快知。
「と、まぁ、これで家紹介は終わりかな。」
そして、俺たちは今日からここに住むことになった。
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