「因縁の相手」

著恋凛

文字の大きさ
上 下
138 / 187
最終章、全面戦争・・・編

11話(128話)「因縁の相手① またな!」

しおりを挟む
そして今、俺の目の前に身長や色々となところがデカくなった穂乃果がいる。
「ここまで来るのに何ヶ月かかったと思うんだよ。まーでも、最後に難関が残ってるんだけどな。」
俺は洗脳解除薬があるか確認するために触る。そこには確かな感触があった。
「お兄ちゃんはAPOに入る気無いの?」
その問いに当然の答えを返す。
「入る訳ないだろ。あんな洗脳軍団に。」
「それじゃ、私の敵だね。殺してあげる。」
そう穂乃果は淡々と継げる。
「殺すなんて言って、お前は人を殺した事など無いだろうに。」
「殺した事ぐらいある。」
「嘘だな。」俺はそう前置きを置いてから言う。
「人を殺した事がある人は雰囲気がするんだよ。殺した数が多ければ多いほどな。でも、お前からは雰囲気が無い。」 
穂乃果はムスッとした顔になる。
それと同時に俺の脳内に直接声が届いた。
「APOの幹部だよ。何時でも動ける様にしときな。」
その声はとても懐かしく、俺に能力を与えた張本人だ。
「久しぶりだな。Nちゃん。」
「久しぶりだね。」
「なんかようか?」
「いやー、ただお別れの挨拶をしようかと思ってね。」
「そうか。」
「君と会ってから1年も経って無いけど楽しかったよ。さようなら。」
俺は食い気味に言う。
「さようならじゃなくて“またね”だろ。すぐにこの闘いを終わらせてお前の感情を表に出してやるから待ってろよ。穂乃果。」 
最後の言葉を聞いていたか分からない。でも、俺は約束を守るタチの人だからな。
俺は穂乃果をマジマジと見つめる。
「最後の兄妹喧嘩はプリンの争いだったな。何回も何回も喧嘩したがそれは余興に過ぎない。
これが最後の喧嘩だ。」
喧嘩した数は数知れず。まさに穂乃果と俺は因縁の相手だ。
「そうだね。これで終わりにしよう。」
そして俺が瞬きして目を開いた刹那の瞬間、ナイフのような物が俺の目の前まですごい速度でジリジリと迫って来てた。
何とか回避する。
「痛っ。」 
回避したつもりだったがナイフは頬をカスっていた。頬から少量の血が滴り落ちる。
今投げたのは穂乃果じゃない。予備動作無しにこんな事は出来ないし、飛んできた方向が違う。
俺がナイフを飛ばして来た方を向く前に穂乃果が口を開く。
「誰?邪魔をするならAPOの人だろうと闘うよ。嫌なら出ていって。次いでにこの部屋に入らない様にみんなに言っといて。」
すると、足音がしてその足音は徐々に薄れていく。
「これで二人っきりだね。始めようか。」
「ちょっと待て。」
そう言いながら俺は肩に掛けていた刀袋を遠くに滑らせる様に投げる。それとナイフとレプリカナイフ、さっき奪った拳銃も。
「兄妹と言えば素手と素手の殴り合いだろ。」
その言葉に穂乃果は首を縦に振る。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

処理中です...