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第1章 5人のヒロイン

第11話 母性の象徴――おっぱい

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「ルビア……その、大丈夫?」
「ん~?」

 ひとしきり愛を確かめ合った後。

「その……我を忘れちゃって……!」
「うふふ、お姉ちゃんに夢中になってくれたんでしょ~? 嬉しいよ~!」

 そう言ってその胸で包んでくれるルビア。

 もう1回――の前に。

「ルビアはやっぱり、前の世界での記憶があるんだよね?」
「へ? なぁにそれ?」

 あ、あれぇ?
 俺の勘違かんちがい……?

「け、けどさ……さっき俺が教えた言葉――」
「あ~、あれね、うんうん! あれはねぇ~……大昔のエルフの言葉よ? 旅が趣味だったエルフさんのね」
「そ……そっか……」

 そりゃあ……どこにでも似たような言葉はあるか……。

「け、けどね~! 何となくアマトちゃんのことは昔から知っているような気もするの! じゃないと……さすがにこんなことしないよぉ~!」
「そ、そうだよね!」

 きっとうっすらと何となく記憶があるんじゃないかな。
 そして、俺のことも少なからず想っていてくれていたに違いない。

 じゃなきゃ、エルフのとんでも文化のせいで結ばれたことになるもの。

「……あれ? でもルビアは……」

 その血って――。



「そろそろいいかしらっ!」
「――!?」

 イイイ、イセッ!?

「あらあら~」
「……本当、はじめまして」
「……うふふ。そうね、はじめましてだね~」

 今さらはじめましての挨拶!?
 い、いや……そんなことより!

「イ、イセ! あのね……!」

 どう言い訳したものか! 無理だ!
 現在進行形で裸で抱き合ってるんだもの!

「それじゃ! 早速3人でっ!」
「うふふ、いらっしゃ~い」

 3人!?



 ここが……そうか。

 我至れり、理想郷ニルヴァーナ



 ◇



「私たちの旅にはあなたの能力が必要です。ぜひお力添ちからぞえをお願いできませんでしょうか」

 日も暮れた頃、ようやく本題に入る。
 間違えた、本題はイチャイチャすることだった。

「え~、どうしよっかなぁ~?」
「えっ!?」

 い、いつもなら渋々でも受け入れてくれてたのに。

「必要なのは~、能力だけ?」
「ぐぅっ」

 違うけど……違うけどっ!

「悲しいなぁ~、能力だけが必要だなんてぇ~……」
「……違います、――が必要です……」
「え? 聞こえないよぉ~?」
「あなたが必要です! 一緒に旅してください!」

 優しい彼女が……意地悪だ……。

「うふふ、いいよ~! あ、でもぉ~、他人たにん行儀ぎょうぎな話し方はやめてね?」
「……わかった」

 前提というか、彼女に不審がられないようにするために丁寧ていねいな口調。
 それももいいか。

「それじゃ、早速しゅっぱぁ~つ!」
「行動が早いっ! さすがに急すぎだってっ!」

 もう夜だし!
 腰がちょっと痛いし!

「え~?」
「とりあえず……今日のところはルビアの話を……いや」

 今までどんな暮らしをしてきたのか聞こうと思ったけど……。
 同居している男がいる可能性を思い出す。
 多分聞いたら死ぬ。

「……この食器とか、男物だけどっ! 誰と住んでるのかなっ!」

 イセやめて! 俺を殺す気!?

「え? だからそれは――……た、たまに大き目のお皿を使いたくなる時って、あるじゃない?」
「この枕は?」
「……気分によって?」
「このゆりかごは?」
「しゅ、趣味で作ったのよ~!」

 趣味……?

「――ってことは誰とも一緒に住んでいないの?」

 彼ぴっぴ的な邪神的存在も!?

「えっ!? あ~…………」
「……」
「もちろんよ~! お姉ちゃん、いつか会える運命の人のこと、ず~っと待ってたんだから~!」
「へ、へぇ~? そうなんだ? へぇ~……」

 やったーーー!!!

「さて、今日はもう外に出れないからルビアの話を聞きたいな。今までどんな暮らしをしてきたのかとかさ!」

 これで心置きなく聞けるぞ! やったー!

「実はね~、村を追い出されなかった私だけど~、結局ここで暮らすことに――」
「えっ!?」

 開幕から記憶と違うことに驚きながらも、夜遅くまでルビアの話を聞いて過ごすのだった。




「やれやれだわっ」






 ******

「今日は遅かったな! 子どもは寝る時間だぞ!」
「……おっぱい……」
「? おっぱいが吸いたいのか?」
「……ちゅよい……」
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