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第7章 闇の商会編
ネロとの戦闘訓練
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翌朝、獣騎士団訓練場の中央の広場の上でラクサスは矛を振り回していた。
無言で両脇から棍棒を持った闘牛獣人が飛びかかってくる。
「おりゃあああ!!!」
棍棒がラクサスに届こうとした瞬間にラクサスは背をかがめた。
「くっ避けられたか!」
脚を振り切って闘牛獣人の腹を蹴って地面に倒した。そしてそのまま矛を闘牛獣人の首元に添えた。闘牛獣人は泡を食って「参りました…」と言ってしまった。
すると横からパチパチパチと拍手の音が聞こえる。
「へぇ~。やるじゃんラクサス!」
ラクサスが頸を動かすと広場にそびえたっている騎士の銅像の足元にリスの獣人が座っている。
「お前も闘えよネロ…お前の部下たちじゃ訓練にならない。」
「いやぁ~そんなこと言われてもね。今君がのしているバッファも相当ウチの隊じゃ強い方ってなってるんだ。」
ラクサスは自身の戦闘力を高めるため丁度近くにいたネロの獣人部隊と実戦形式の対人訓練をしていたのだった。それで現状ラクサスは4連勝なのだった。
「ネロ隊長。私に行かせてください。」
ネロの隣に座っているウサギの獣人のラビがそう声をかける。
「ふぅん…それもいいけどね。やっぱり僕も鈍った体を動かしたくなってさ。」
そう言うとネロは腰に帯びた二本の剣を手に取って軽く動かす。それだけで辺りの空気が変わる。まさに大将降臨と言った雰囲気だ。そしてそのままラクサスの前に下りてくる。
「やぁやぁ。僕と勝負するかい?断る権利は無しだ!」
瞬間、ネロの二本の刃がラクサスに向かって襲いかかる。ラクサスはすかさず矛で受け止めるが「甘いんだよォ!」
そう叫んだネロの思い切り振った尻尾が横からラクサスを殴り倒した。訓練用武器は危険が無いようダメージにデバフをかけているとはいえ流石に肉弾戦闘のダメージまでは軽減できずラクサスは倒れた。
「僕たちリス族の自慢はこのデカい尻尾。ただ無駄にケツにデカいハンデをつけてるわけじゃないね。」
「油断した…この世界のリスってあんなに強いのかよ…」
ラクサスがそう呟くと後ろにいたタイガが言う。
「そりゃそうだ。ネロ隊長はリス系の獣人でありながら初めて隊長にまで上り詰めた唯一無二の逸材だからな。」
「は、はぁ…そりゃ凄いことで…」
そう言ってラクサスはネロを見る。すると
「全くせっかく魔力持ってるんでしょう。使いなよこれじゃあアンフェアだ。」
ネロはそう武器を振り回しながら言う。
「本当にいいのか?行けタロウ!ジロウ!」
ラクサスは顔を上げてそう聞き返すまでもなく両側に狼を呼び出す。
「へぇ~。あれは向こうの山にいる狼だね。これまで使いこなせるのか。」
ネロはニコニコして言う。久しぶりに互角に戦う相手ができてうれしい顔だ。
「さすがにな。行くぞ!突撃だ!」
ラクサスが叫ぶと二匹の狼はネロに飛びかかる。二匹は適度に離れ、ネロの剣が同時に当たらないようにする。
「さすが、でも僕には及ばないね。獣刀流!前虎後狼!」
ネロは爆発的な脚力で飛び上がり牙を避けると素早く動き二匹の狼を上から斬り伏せる。そして洋刀一本を両手に持ちラクサスに思いっきり飛び掛かり思いっきり洋刀を振り下ろす。
「獣刀流 唐辰割り!」
ラクサスはそれを懐の短刀で防ぐ。そして背中からスライムが出て来るとネロに襲い掛かった。既に周囲のネロの部下たちも自らの手を止め戦いに魅入っていた。
「おっと!危ない!」
ネロは剣でスライムを切ろうとするがラクサスの懐から霊剣が飛び出してくる。決着が決まる…
「ネロ隊長!お客様です!」
訓練場の門に女性の声がこだます。ネロが大声で答える。
「客?今日客はラクサスと魔物連中以外には来ないはずだぜ。」
「急用だそうです。向こうの通りの銀行家のエドワード卿を始め大勢押しかけてきています。」
「エドワード卿?はぁ…相手しなきゃならないか…。」
そう言ってネロは歩いて行くのでラクサスもついて行く。
ソファに座っていたエドワード卿と言うのは恰幅のいい紳士だった。白ひげを生やしている。
「ネロ殿!やっと来られましたか。我らずっと待っておりまして。」
「社交辞令は後でいいです。どうかしました?こんな朝早くから。」
対面に座っているネロがそう話す。すると横にいた女性が涙を流しながら。
「息子が…今朝いなくなったんです!」
「息子がいない?ガキのことなんでどうせどこかに虫取りにでも行ってるんじゃないんですか?」
ネロがそう言うのと重ねて反対側の服屋の男性がネロの双肩を持って叫ぶ。
「いや俺の娘もだ!」
「ワシの孫娘もいなくなりましてな。」
「ウチの倅はふらふらどこかに行くような人間でない!これは異変だ!」
次々と溢れだす民意の洪水。ラクサスはそれに驚き、ネロもさすがに異変を感じたようだった。
「なるほど…つまり子供の集団失踪と言うことですか。これは確かに奇妙な話だ。詳しく聞きましょう。」
ネロはそう言うと真面目モードに変化した。
無言で両脇から棍棒を持った闘牛獣人が飛びかかってくる。
「おりゃあああ!!!」
棍棒がラクサスに届こうとした瞬間にラクサスは背をかがめた。
「くっ避けられたか!」
脚を振り切って闘牛獣人の腹を蹴って地面に倒した。そしてそのまま矛を闘牛獣人の首元に添えた。闘牛獣人は泡を食って「参りました…」と言ってしまった。
すると横からパチパチパチと拍手の音が聞こえる。
「へぇ~。やるじゃんラクサス!」
ラクサスが頸を動かすと広場にそびえたっている騎士の銅像の足元にリスの獣人が座っている。
「お前も闘えよネロ…お前の部下たちじゃ訓練にならない。」
「いやぁ~そんなこと言われてもね。今君がのしているバッファも相当ウチの隊じゃ強い方ってなってるんだ。」
ラクサスは自身の戦闘力を高めるため丁度近くにいたネロの獣人部隊と実戦形式の対人訓練をしていたのだった。それで現状ラクサスは4連勝なのだった。
「ネロ隊長。私に行かせてください。」
ネロの隣に座っているウサギの獣人のラビがそう声をかける。
「ふぅん…それもいいけどね。やっぱり僕も鈍った体を動かしたくなってさ。」
そう言うとネロは腰に帯びた二本の剣を手に取って軽く動かす。それだけで辺りの空気が変わる。まさに大将降臨と言った雰囲気だ。そしてそのままラクサスの前に下りてくる。
「やぁやぁ。僕と勝負するかい?断る権利は無しだ!」
瞬間、ネロの二本の刃がラクサスに向かって襲いかかる。ラクサスはすかさず矛で受け止めるが「甘いんだよォ!」
そう叫んだネロの思い切り振った尻尾が横からラクサスを殴り倒した。訓練用武器は危険が無いようダメージにデバフをかけているとはいえ流石に肉弾戦闘のダメージまでは軽減できずラクサスは倒れた。
「僕たちリス族の自慢はこのデカい尻尾。ただ無駄にケツにデカいハンデをつけてるわけじゃないね。」
「油断した…この世界のリスってあんなに強いのかよ…」
ラクサスがそう呟くと後ろにいたタイガが言う。
「そりゃそうだ。ネロ隊長はリス系の獣人でありながら初めて隊長にまで上り詰めた唯一無二の逸材だからな。」
「は、はぁ…そりゃ凄いことで…」
そう言ってラクサスはネロを見る。すると
「全くせっかく魔力持ってるんでしょう。使いなよこれじゃあアンフェアだ。」
ネロはそう武器を振り回しながら言う。
「本当にいいのか?行けタロウ!ジロウ!」
ラクサスは顔を上げてそう聞き返すまでもなく両側に狼を呼び出す。
「へぇ~。あれは向こうの山にいる狼だね。これまで使いこなせるのか。」
ネロはニコニコして言う。久しぶりに互角に戦う相手ができてうれしい顔だ。
「さすがにな。行くぞ!突撃だ!」
ラクサスが叫ぶと二匹の狼はネロに飛びかかる。二匹は適度に離れ、ネロの剣が同時に当たらないようにする。
「さすが、でも僕には及ばないね。獣刀流!前虎後狼!」
ネロは爆発的な脚力で飛び上がり牙を避けると素早く動き二匹の狼を上から斬り伏せる。そして洋刀一本を両手に持ちラクサスに思いっきり飛び掛かり思いっきり洋刀を振り下ろす。
「獣刀流 唐辰割り!」
ラクサスはそれを懐の短刀で防ぐ。そして背中からスライムが出て来るとネロに襲い掛かった。既に周囲のネロの部下たちも自らの手を止め戦いに魅入っていた。
「おっと!危ない!」
ネロは剣でスライムを切ろうとするがラクサスの懐から霊剣が飛び出してくる。決着が決まる…
「ネロ隊長!お客様です!」
訓練場の門に女性の声がこだます。ネロが大声で答える。
「客?今日客はラクサスと魔物連中以外には来ないはずだぜ。」
「急用だそうです。向こうの通りの銀行家のエドワード卿を始め大勢押しかけてきています。」
「エドワード卿?はぁ…相手しなきゃならないか…。」
そう言ってネロは歩いて行くのでラクサスもついて行く。
ソファに座っていたエドワード卿と言うのは恰幅のいい紳士だった。白ひげを生やしている。
「ネロ殿!やっと来られましたか。我らずっと待っておりまして。」
「社交辞令は後でいいです。どうかしました?こんな朝早くから。」
対面に座っているネロがそう話す。すると横にいた女性が涙を流しながら。
「息子が…今朝いなくなったんです!」
「息子がいない?ガキのことなんでどうせどこかに虫取りにでも行ってるんじゃないんですか?」
ネロがそう言うのと重ねて反対側の服屋の男性がネロの双肩を持って叫ぶ。
「いや俺の娘もだ!」
「ワシの孫娘もいなくなりましてな。」
「ウチの倅はふらふらどこかに行くような人間でない!これは異変だ!」
次々と溢れだす民意の洪水。ラクサスはそれに驚き、ネロもさすがに異変を感じたようだった。
「なるほど…つまり子供の集団失踪と言うことですか。これは確かに奇妙な話だ。詳しく聞きましょう。」
ネロはそう言うと真面目モードに変化した。
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