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第6章 ラクサスの牧場生活編
やっぱ父親って強いなぁ…
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剣を受け止めたのは大男だった。筋骨隆々とした体に巨大な羽。そしてラクサスが親の顔と同じくらい見ていた顔…
勇者の目の前に立ちふさがったのはラクサスの父、ドリア・バレンタインであった。
「な、何で親父がここに…」
「何で?吾輩は貴様の父だ。貴様のすることぐらい分かっとるわ。報告しろと言ったはずだバカ野郎め。無謀な賭けで死ぬことを美談とは言わん。だが…よく耐えた…」
「で、でも親父…身体にデカい傷が出来てっぞ。」
「バカめ。戦場で傷を気にする戦士がいるか!大丈夫だ。」
「何とまぁ…随分と強そうなのがいたものだと思ったら父親か。確かに髪色は似ているな。」
勇者は大剣を抜くとそう呟いた。
「勇者…貴様のような存在には12年前我が国は苦汁を飲まされたな…特に先代の魔王様の事については吾輩は決して恨みを忘れたことはない…」
「ふっ、12年前の昔話か。年寄りは昔語りがお好きなようで。」
「年寄りか…確かに吾輩も歳を取った。だが貴様に負けるようなことはせん!」
ドリアは両手の拳を合わせると呪文を唱えた。
すると地面に巨大で複雑な魔法陣が出来る。魔法陣の端からは光が出て来て半円状に伸びていく。
「何だこれは…」
勇者が上を見ると自分が巨大なドームに囲まれていることが分かる。
『黒の陣 重圧』
瞬間魔法陣の色が漆黒に染まり、内部の空気が勇者を押しつぶした。
「ぐがが!これは…圧力…」
上級悪魔族はその他の種族に比べて数が圧倒的に少ない。しかしその代わりに通常の種族では使用できないようなチート魔術を用いることができるという強みがある。現にラクサスの魔術も洗脳させる実力差はある者の理論上どんな生物であろうとも従えられる能力だ。そしてドリアの魔術は…
「魔術の基本は何だか分かるかね?そう魔法陣だ!」
『魔法陣』それは古来より魔術を使う時の基礎となるものであり、魔術に関わるなら万人が最初に覚えるべきものである。しかし魔法陣の良さが全ての魔術師の序列や強さを決めると言ってもいい。現実魔法陣を作ること自体は誰でも行うことができる。しかし…これは異常だった。
(速すぎる…どんな時間でこの術を作ってんだ…レベルが高すぎる…)
ドリアの圧力はただ上から重さを押し付けるのではない。周辺の空気全てが体全体を締め付ける。常人ならばとっくに体中の骨を折っているかそれ以前に内臓が潰されて気絶するだろう。しかし勇者は耐えた
「ふむ…吾輩の術でスクラップに出来ぬとは…ではこれでも行くか。」
ドリアは一瞬で魔法陣の色を変えると
『白の陣 斬撃』
ドリアは腰の剣を抜くと切りつけた。その斬撃が無数の細かい斬撃に分かれ、ドームの中全体を切り裂く。勇者は剣でこれを薙ぎ払ったがさすがに体に傷は残る。
「性質の違う魔術を同じ魔法陣で出しただと…」
勇者は膝をついて睨みつけて言う。
「これがお前の魔術か…」
通常大規模魔術を構成するにはそれなりの準備が必要であるはずだが、ドリアはそれをすぐに展開して見せる。それどころか普通違う魔術を展開するのには魔法陣を書き換える必要があるが、彼はそんな仕草をすることもなく、違う魔術を発動しているのだ。
これがドリアの魔術『全ての魔術は一つ』自由に魔法陣を展開しその効力を得ることができる。無論これは攻撃だけではなく他の用途にも使える。
「力が抜けていく…この黒の魔法陣のせいか…」
いつの間にかドリアの魔法陣は勇者の力をある程度削り取っていた。
「やれラクサス!相手はまだ神の力が十分に整っていない!今倒すべきだ。放っておくと面倒なことになりかねんからな。」
「おう親父!」
ラクサスはポチに乗り込んで敵陣に突っ込む準備をした。
「食らえクソ勇者!てめぇの遺体を向こうの国に送り付けてやるよ!」
「何?!」
ラクサスが突っ込んでいき、敵陣を粉砕しようとする。
「はいちょっと待ってね~。」
女性の声がしてくる。出てきたのは萌え袖をした女子だ。ラクサスの矛を蹴りで受け止められたことにイラついたラクサスがキレる。
「あ?お前誰だよ!」
「誰って失礼だなぁ~。ベータ帝国の七武衆のオランジュなんデスケド!」
「七武衆?あのヴェールの身内か?!」
「そうだよ~。ウチの味方をよくやってくれたね~!っと言いたいけどこの度はこのバカ勇者を連れ帰りに来ただけだからね。」
そうオランジュは袖で勇者をバシバシ叩く。
「おい!そんなのが認められると思っているのか?!」
するとオランジュは目を細めて呟く。
「うるさいなぁ~…アンタコロすよ?」
「あ?!てめぇに言われたかねぇぞクソアマ?!」
「っと…向こうから来てるね~。獣人騎士団か…っとはいはい!帰る帰る!ほらクーゲル!」
クーゲルと言うのがこの勇者の名前だったのか。それよりもオランジュの性格が思った何倍も酷いことにラクサスは驚いていた。
「貴様がラクサスの話していた七武衆か…かつては辛酸を舐めさせてもらった。」
「おじさんの言っている昔がいつのことか分かんないけど。所詮残党集団でしょ?まぁこっちもある程度失ったらしいけどね。」
「口を慎め。うちの魔王軍はお前なんか片手間で殺せるわ!」
「はいはい…どっちみち今戦うのは両方得策じゃないでしょ。それじゃあね~!」
オランジュはそう言うとクーゲルを担ぎ上げて一瞬で消え去った。瞬間移動の類の能力だ。
「おい待て…消えやがった…追おうか親父?」
するとドリアは一拍置いてから呟く。
「止めておけ。今貴様が乗り込んでも袋叩きの対象になるだけだ。」
そう言ってドリアは悔しそうにこぶしを握った。
勇者の目の前に立ちふさがったのはラクサスの父、ドリア・バレンタインであった。
「な、何で親父がここに…」
「何で?吾輩は貴様の父だ。貴様のすることぐらい分かっとるわ。報告しろと言ったはずだバカ野郎め。無謀な賭けで死ぬことを美談とは言わん。だが…よく耐えた…」
「で、でも親父…身体にデカい傷が出来てっぞ。」
「バカめ。戦場で傷を気にする戦士がいるか!大丈夫だ。」
「何とまぁ…随分と強そうなのがいたものだと思ったら父親か。確かに髪色は似ているな。」
勇者は大剣を抜くとそう呟いた。
「勇者…貴様のような存在には12年前我が国は苦汁を飲まされたな…特に先代の魔王様の事については吾輩は決して恨みを忘れたことはない…」
「ふっ、12年前の昔話か。年寄りは昔語りがお好きなようで。」
「年寄りか…確かに吾輩も歳を取った。だが貴様に負けるようなことはせん!」
ドリアは両手の拳を合わせると呪文を唱えた。
すると地面に巨大で複雑な魔法陣が出来る。魔法陣の端からは光が出て来て半円状に伸びていく。
「何だこれは…」
勇者が上を見ると自分が巨大なドームに囲まれていることが分かる。
『黒の陣 重圧』
瞬間魔法陣の色が漆黒に染まり、内部の空気が勇者を押しつぶした。
「ぐがが!これは…圧力…」
上級悪魔族はその他の種族に比べて数が圧倒的に少ない。しかしその代わりに通常の種族では使用できないようなチート魔術を用いることができるという強みがある。現にラクサスの魔術も洗脳させる実力差はある者の理論上どんな生物であろうとも従えられる能力だ。そしてドリアの魔術は…
「魔術の基本は何だか分かるかね?そう魔法陣だ!」
『魔法陣』それは古来より魔術を使う時の基礎となるものであり、魔術に関わるなら万人が最初に覚えるべきものである。しかし魔法陣の良さが全ての魔術師の序列や強さを決めると言ってもいい。現実魔法陣を作ること自体は誰でも行うことができる。しかし…これは異常だった。
(速すぎる…どんな時間でこの術を作ってんだ…レベルが高すぎる…)
ドリアの圧力はただ上から重さを押し付けるのではない。周辺の空気全てが体全体を締め付ける。常人ならばとっくに体中の骨を折っているかそれ以前に内臓が潰されて気絶するだろう。しかし勇者は耐えた
「ふむ…吾輩の術でスクラップに出来ぬとは…ではこれでも行くか。」
ドリアは一瞬で魔法陣の色を変えると
『白の陣 斬撃』
ドリアは腰の剣を抜くと切りつけた。その斬撃が無数の細かい斬撃に分かれ、ドームの中全体を切り裂く。勇者は剣でこれを薙ぎ払ったがさすがに体に傷は残る。
「性質の違う魔術を同じ魔法陣で出しただと…」
勇者は膝をついて睨みつけて言う。
「これがお前の魔術か…」
通常大規模魔術を構成するにはそれなりの準備が必要であるはずだが、ドリアはそれをすぐに展開して見せる。それどころか普通違う魔術を展開するのには魔法陣を書き換える必要があるが、彼はそんな仕草をすることもなく、違う魔術を発動しているのだ。
これがドリアの魔術『全ての魔術は一つ』自由に魔法陣を展開しその効力を得ることができる。無論これは攻撃だけではなく他の用途にも使える。
「力が抜けていく…この黒の魔法陣のせいか…」
いつの間にかドリアの魔法陣は勇者の力をある程度削り取っていた。
「やれラクサス!相手はまだ神の力が十分に整っていない!今倒すべきだ。放っておくと面倒なことになりかねんからな。」
「おう親父!」
ラクサスはポチに乗り込んで敵陣に突っ込む準備をした。
「食らえクソ勇者!てめぇの遺体を向こうの国に送り付けてやるよ!」
「何?!」
ラクサスが突っ込んでいき、敵陣を粉砕しようとする。
「はいちょっと待ってね~。」
女性の声がしてくる。出てきたのは萌え袖をした女子だ。ラクサスの矛を蹴りで受け止められたことにイラついたラクサスがキレる。
「あ?お前誰だよ!」
「誰って失礼だなぁ~。ベータ帝国の七武衆のオランジュなんデスケド!」
「七武衆?あのヴェールの身内か?!」
「そうだよ~。ウチの味方をよくやってくれたね~!っと言いたいけどこの度はこのバカ勇者を連れ帰りに来ただけだからね。」
そうオランジュは袖で勇者をバシバシ叩く。
「おい!そんなのが認められると思っているのか?!」
するとオランジュは目を細めて呟く。
「うるさいなぁ~…アンタコロすよ?」
「あ?!てめぇに言われたかねぇぞクソアマ?!」
「っと…向こうから来てるね~。獣人騎士団か…っとはいはい!帰る帰る!ほらクーゲル!」
クーゲルと言うのがこの勇者の名前だったのか。それよりもオランジュの性格が思った何倍も酷いことにラクサスは驚いていた。
「貴様がラクサスの話していた七武衆か…かつては辛酸を舐めさせてもらった。」
「おじさんの言っている昔がいつのことか分かんないけど。所詮残党集団でしょ?まぁこっちもある程度失ったらしいけどね。」
「口を慎め。うちの魔王軍はお前なんか片手間で殺せるわ!」
「はいはい…どっちみち今戦うのは両方得策じゃないでしょ。それじゃあね~!」
オランジュはそう言うとクーゲルを担ぎ上げて一瞬で消え去った。瞬間移動の類の能力だ。
「おい待て…消えやがった…追おうか親父?」
するとドリアは一拍置いてから呟く。
「止めておけ。今貴様が乗り込んでも袋叩きの対象になるだけだ。」
そう言ってドリアは悔しそうにこぶしを握った。
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