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第6章 ラクサスの牧場生活編
二人のネクロマンサー
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アルファ帝国の廃塔の上に望遠鏡を持った影がある。見張りかと思うかもしれないが真実は否である。
フードを取ったところに現れたのは化粧をした青髪の女の頭である。首元に記された刻印はこの塔の所有者であるアルファ帝国ではなく、ベータ帝国の者であることを示していた。
ネクロマンサー
それは死体を自由自在に操る禁忌を用いる魔術師のことである。人の死体に魔法をかけることで理論上は世界的大英雄の死体まで操れる代物である。
ベータ帝国はその存在を公的に認めてはいない。当然であるそもそもむやみやたらに使えるようなら禁術などと言う名はつけられていない。古来より人の死体を用いることは生と死の概念を深く浸食するとされ忌むべきものであったのがこの世界の少なくともアルファ帝国とベータ帝国の風習である。
「ったく白骨死軍が半壊っていったい何が起こってるのよ…」
女はガムを悔しそうに噛みながら通信機を付ける。通信機に出てきたのは男だった。
「あ?何だよ。俺ちゃんは今忙しいんだよ。」
「イライラしてるじゃないわよ!白骨死軍が全滅してるじゃない!アンタ早く応援を呼びなって!」
女はまたイラついてガムを噛み潰す。そうして双眼鏡を上に上げると、ネクロマンサーの女はまた別の恐ろしいことに気付く。今からこの塔に向かって爆速で翔けてくる怪物がいるではないか。
「あ、あれは…グリフォン!何であんなところに!」
グリフォンなど神話でしか聞いたことのないような怪物だ。体の大きさだけで何トンもあるだろう。猛々しい爪や巨大な翼もより恐怖心を煽って来る。そんなものが空気を切り裂いて急に目の前に近づいて来ようものなら悲鳴を上げずにはいられないだろう。更にグリフォンの上にコートをなびかせた男が乗っかっている。
「まさか…あのグリフォンを操っているというの…っては?!アンタ!どうかしなさいよ!」
女はそう言って向こうの通信機の向こうの男に声をかける。しかし…
「悪い、姉ちゃん…俺ちゃんもだわ。」
「は?」
ラクサスが塔に着く数分前
「お前が件のネクロマンサーか!」
ネロはそう声を上げて言う。片手にサーベルを持ち相手の首に突き付ける。
「へっへっへ…まさかね…俺ちゃんたちの白骨死軍を超えて来るとは…あれでも結構な精鋭そろえてたんだぞ…」
「残念だったな。あんなシンプルな白兵戦は朝飯前なんだよ!目をつむってでもお前らの軍は抜けられる。ハッハッハ!」
ネロはそう言って大笑いする。彼の身体には多数の傷がついていたがそれはいずれ治るだろう。ネロはたった数分で馬を走らせ、街の遥か奥にあるこの塔に行き着いたのである。道中には倒れて白骨がバラバラに並んでいた。
「ベータ帝国の差し金だろう?もう勝手に当国にちょっかい掛けるのを止めてくれとの魔王陛下からのお達しだ。とっとと尻尾巻いてお家に帰ることを勧めるよ。まぁ…」
ネロは腰の刃を抜き放った。
「俺は戦いたいだけだから、どっちかと言うと君には俺と戦って欲しいんだけどね!ネクロマンサーさん!」
「や、止め…俺そんなに身体能力高くないんだよ!」
しかしネロは…
「うるさぁぁぁぁい!」
と言ってネロが男をぶった切ろうとしたところで後ろの兎の獣人が止めに入る。
「ネロさん!待ってください。」
「ん?どうかした?ラビちゃん。」
ラビと呼ばれた女性は通信機を手に取る。
「これが通信機ならばきっと相手にも繋がっているはず。適当に偽情報でも吐かせましょう。」
「ん?あぁならそうする?タイガ!この男縛り上げてくれ。」
「うす!」
そう言ってネロたちが男を縛り上げて電話をしているのである。
「は?バカじゃないの!?何でそのバトルジャンキー野郎に負けてるのよ!」
情けなく思った女は怒ってガムを吐き捨てる。
ラクサスの乗ったグリフォンはそのまま塔に突っ込んでいき、ラクサスは矛を持って飛び移る準備をする。すると、コートの内側が動いている。
「行くか…お前ら!」
ラクサスはコートをはぎ取ると中から大量の短剣が出てきた。短剣はものすごい勢いで吹き飛んで行って、塔の窓ガラスを突き破っていく。
「きゃあ!何よ!」
「やっと会えたな。ネクロマンサーの女!とっとと倒れてもらうぞ!」
ラクサスはグリフォンを置いておくと、そのまま矛を構えて塔の中に乗り込んだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ…アタシだってやりたくてやった訳じゃ…」
「そんな理屈が通じると思ってんのか!ガイコツ連中で街を荒らしやがって!責任は取ってもらうぞ?」
ラクサスはそう邪悪な笑みを浮かべると矛に雷のエネルギーを溜めた。彼にとっては既に彼女は敵としか認識していなかった。
「喰らいやがれ!」
ラクサスが矛の一撃を食らわせようとした瞬間…
「待て!」
ラクサスの矛をとある大剣が受け止めた。
「ん?!」
大剣の持ち主は仮面を付けており、さほど高い服を着ているわけではなかったが、神々しい雰囲気を保っており、ラクサスのような悪魔が踏み入れば一瞬ですべて吹き飛ぶだろうオーラだ。
「な、何だよお前!」
ラクサスは慌てて聞き返す。
(どう考えてもおかしいだろ…潜在的なオーラがおかしい。前に戦ったヴェールの比じゃねぇぞ…)
悪魔族であるラクサスはある程度オーラを感知できるようになっていたが、この男のオーラはどう考えてもおかしい。
大剣を持っている男は小さくつぶやいた。
「俺は勇者だよ。」
フードを取ったところに現れたのは化粧をした青髪の女の頭である。首元に記された刻印はこの塔の所有者であるアルファ帝国ではなく、ベータ帝国の者であることを示していた。
ネクロマンサー
それは死体を自由自在に操る禁忌を用いる魔術師のことである。人の死体に魔法をかけることで理論上は世界的大英雄の死体まで操れる代物である。
ベータ帝国はその存在を公的に認めてはいない。当然であるそもそもむやみやたらに使えるようなら禁術などと言う名はつけられていない。古来より人の死体を用いることは生と死の概念を深く浸食するとされ忌むべきものであったのがこの世界の少なくともアルファ帝国とベータ帝国の風習である。
「ったく白骨死軍が半壊っていったい何が起こってるのよ…」
女はガムを悔しそうに噛みながら通信機を付ける。通信機に出てきたのは男だった。
「あ?何だよ。俺ちゃんは今忙しいんだよ。」
「イライラしてるじゃないわよ!白骨死軍が全滅してるじゃない!アンタ早く応援を呼びなって!」
女はまたイラついてガムを噛み潰す。そうして双眼鏡を上に上げると、ネクロマンサーの女はまた別の恐ろしいことに気付く。今からこの塔に向かって爆速で翔けてくる怪物がいるではないか。
「あ、あれは…グリフォン!何であんなところに!」
グリフォンなど神話でしか聞いたことのないような怪物だ。体の大きさだけで何トンもあるだろう。猛々しい爪や巨大な翼もより恐怖心を煽って来る。そんなものが空気を切り裂いて急に目の前に近づいて来ようものなら悲鳴を上げずにはいられないだろう。更にグリフォンの上にコートをなびかせた男が乗っかっている。
「まさか…あのグリフォンを操っているというの…っては?!アンタ!どうかしなさいよ!」
女はそう言って向こうの通信機の向こうの男に声をかける。しかし…
「悪い、姉ちゃん…俺ちゃんもだわ。」
「は?」
ラクサスが塔に着く数分前
「お前が件のネクロマンサーか!」
ネロはそう声を上げて言う。片手にサーベルを持ち相手の首に突き付ける。
「へっへっへ…まさかね…俺ちゃんたちの白骨死軍を超えて来るとは…あれでも結構な精鋭そろえてたんだぞ…」
「残念だったな。あんなシンプルな白兵戦は朝飯前なんだよ!目をつむってでもお前らの軍は抜けられる。ハッハッハ!」
ネロはそう言って大笑いする。彼の身体には多数の傷がついていたがそれはいずれ治るだろう。ネロはたった数分で馬を走らせ、街の遥か奥にあるこの塔に行き着いたのである。道中には倒れて白骨がバラバラに並んでいた。
「ベータ帝国の差し金だろう?もう勝手に当国にちょっかい掛けるのを止めてくれとの魔王陛下からのお達しだ。とっとと尻尾巻いてお家に帰ることを勧めるよ。まぁ…」
ネロは腰の刃を抜き放った。
「俺は戦いたいだけだから、どっちかと言うと君には俺と戦って欲しいんだけどね!ネクロマンサーさん!」
「や、止め…俺そんなに身体能力高くないんだよ!」
しかしネロは…
「うるさぁぁぁぁい!」
と言ってネロが男をぶった切ろうとしたところで後ろの兎の獣人が止めに入る。
「ネロさん!待ってください。」
「ん?どうかした?ラビちゃん。」
ラビと呼ばれた女性は通信機を手に取る。
「これが通信機ならばきっと相手にも繋がっているはず。適当に偽情報でも吐かせましょう。」
「ん?あぁならそうする?タイガ!この男縛り上げてくれ。」
「うす!」
そう言ってネロたちが男を縛り上げて電話をしているのである。
「は?バカじゃないの!?何でそのバトルジャンキー野郎に負けてるのよ!」
情けなく思った女は怒ってガムを吐き捨てる。
ラクサスの乗ったグリフォンはそのまま塔に突っ込んでいき、ラクサスは矛を持って飛び移る準備をする。すると、コートの内側が動いている。
「行くか…お前ら!」
ラクサスはコートをはぎ取ると中から大量の短剣が出てきた。短剣はものすごい勢いで吹き飛んで行って、塔の窓ガラスを突き破っていく。
「きゃあ!何よ!」
「やっと会えたな。ネクロマンサーの女!とっとと倒れてもらうぞ!」
ラクサスはグリフォンを置いておくと、そのまま矛を構えて塔の中に乗り込んだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ…アタシだってやりたくてやった訳じゃ…」
「そんな理屈が通じると思ってんのか!ガイコツ連中で街を荒らしやがって!責任は取ってもらうぞ?」
ラクサスはそう邪悪な笑みを浮かべると矛に雷のエネルギーを溜めた。彼にとっては既に彼女は敵としか認識していなかった。
「喰らいやがれ!」
ラクサスが矛の一撃を食らわせようとした瞬間…
「待て!」
ラクサスの矛をとある大剣が受け止めた。
「ん?!」
大剣の持ち主は仮面を付けており、さほど高い服を着ているわけではなかったが、神々しい雰囲気を保っており、ラクサスのような悪魔が踏み入れば一瞬ですべて吹き飛ぶだろうオーラだ。
「な、何だよお前!」
ラクサスは慌てて聞き返す。
(どう考えてもおかしいだろ…潜在的なオーラがおかしい。前に戦ったヴェールの比じゃねぇぞ…)
悪魔族であるラクサスはある程度オーラを感知できるようになっていたが、この男のオーラはどう考えてもおかしい。
大剣を持っている男は小さくつぶやいた。
「俺は勇者だよ。」
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