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第5章 火山街決戦編
襲い掛かる怪物と思わぬ助太刀
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「な、何なんだよ…あれ…」
ラクサスは混乱していた。
ボルケニアの海の向こうにいたもの…それは…
「あ、あれは…クラーケン?!」
ラクサスは例の怪物クラーケンがボルケニアに分布していたとは知らなかった。しかしその怪物は巨大なイカの形を取っていた。
「ま、まさか……」
ラクサスはその存在に気がついた。そして、ゆっくりと振り返った。
『ぎゃあお!』
すぐさま巨大な触手が襲い掛かって来る。
「ハッハッハ!どうですかラクサスさん。私の怪物は!」
隣でヴェールが高笑いする。
「そもそも私が何でボルケニアに侵攻したと思います?」
「な、なぜって神器を手に入れるためだろ?」
「そうですね。でも私程度ではアルファ帝国に攻め込んでも袋叩きにあってしまうのが必定です。そこで私は考えたんですよ、どうすれば良いかを。」
「そ、そうか…」
ラクサスは完全に見誤ってしまっていた。そもそもヴェールは七武衆の一角に過ぎない。そんなのがボルケニアに侵攻しても一時は占領できるかもしれないがどうせ帝国の本隊が来てフルボッコが関の山だ。
「お前たちは戦力を隠していたんだな…」
「ご名答!と言いたいところですが。少し違いますね。このクラーケンは元々あなた方の帝国に封印されていました。ですから封印をこっそり解かせていただきました。」
「なっ……まさか‥‥」
「そう。封印を解くには鍵が必要ですねぇ。それが遺跡からお奪いした例の神器だったんですよ!」
「そうか…すべて繋がって…」
「その通り!つまり我々はこのクラーケンを復活させ、ボルケニアを滅亡させるのが目的なんですよ!」
ラクサスはここまでコケにされて黙っていられるわけがない。しかし、今この状況ではどうすることもできない。
『ぎゃおぉぉぉん!』
「ぐはっ……」
クラーケンの触手が街の建物を砕くのも当然か。ラクサスは触手を矛で切り裂いていく。しかし相手はデカいイカだ。触手の一本を斬り落とそうが意味などないし、そもそも爆速で再生するのでいたちごっこである。
「ちなみにこのクラーケンは鯨をよく食べていたそうで、一時期絶滅の危機に追い込んだとか。」
「な……に?」
ラクサスは絶句した。鯨を食らうどころか絶滅寸前まで…
クラーケンは鞭のように触手を用いてラクサスに打ち付けてくるがラクサスはそれを避けるのが精いっぱいで攻撃など夢のまた夢である。
「いや怪物過ぎるだろ…もう少しバランス考えてくれ!」
ラクサスは文句を言うが全く攻勢が緩まることはない。
「さて、あなたの命もあと数分でしょうかね?」
『ぎゃおぉぉぉぉぉん!!』
「ぐはっ……!」
案の定であった。クラーケンの触手が直撃しラクサスは吹っ飛ぼうとする。しかしそうはならなかった…
なぜならその触手は既に切られていたからである。
「何ッ!」
ラクサスは命が助かったけれども、この状況で助けてくれたのは誰だろうか。
「‥‥‥」
それは身長2mほどの仮面を被った外套の大男であった。
「あ、あの…ありがとう…ございますですかね。先輩かもしれませんし。」
ラクサスは大男に礼を言うすると大男は無言で頷いた。そして音もなくヴェールの背後から頸に大鎌を当てる。
「?!」
ヴェールは動揺していたがすぐに落ち着いて。
「音もなく背後に立つ…死神の類ですか。私は聖職者ではありませんけれどあまりお世話になりたくはありませんね。」
ヴェールは動くことなく背後に風の刃を発生させる。大男は何とか仮面を手で覆ってから避ける。
「狂った笑顔を張り付けた仮面…不気味ですねぇ。なくとも能力に影響がないと思われますけれども死神の雰囲気でも出しているんでしょうか。」
ヴェールは余裕しゃくしゃくだが、ラクサスにとっては共に戦う相手がいるだけで100人力である。しかしやはり超クソゲーなのは変わらない。
その間にも大量の触手が街を呑み込もうとしている。
「お、恐ろしすぎるだろ!」
ボルケニアには大勢の無垢な住民たちがいる。彼らの一生を終わらせてはいけない…
ラクサスが目をつぶった瞬間触手が巨大な鉄の塊で止められる。
「おぅおぅ!待たせてくれたなァ!ラクサス!」
来たのはジャーマだった。そしてここに来る前に合流したのかエリスやフランもいた。
「ベータの刺客ってのはてめぇか?悪いな俺様が直々に相手しなくて。」
「あなたが魔族四天王のジャーマさんですか…お初にお目にかかります。とは言っても先の大戦に従軍していましたので初対面ではないのかもしれませんが。」
「お前が……ヴェールか?」
「えぇ。七武衆のヴェールです。」
「そうか…じゃあお前の墓場はここになるわけだな。」
ジャーマは怒りながら腕を刃に変えて切り裂いていく。
「あれは…ジャーマさんの能力ね。全身で鉄を生み出して攻撃することができるわ。まぁ鉄と言ってもその硬度はオリハルコンに匹敵するけれども。」
「流石は四天王‥‥」
ラクサスが感心しているとジャーマが
「ラクサス!エリス!お前らはとっととヴェールを倒して来い!」
「え?」
「この怪物は多分俺様でないと止められない。質量が違い過ぎるからな。だからお前はヴェールをやれ!多分お前らで協力すれば倒せんだろ。でなければせめて粘れれば良い。そしたら俺様はこいつ倒してから合流してやるから。」
ジャーマはそう言って檄を飛ばす。
「は、はい!」
ラクサスとエリスはジャーマに見送られて飛んでいく。
ラクサスは混乱していた。
ボルケニアの海の向こうにいたもの…それは…
「あ、あれは…クラーケン?!」
ラクサスは例の怪物クラーケンがボルケニアに分布していたとは知らなかった。しかしその怪物は巨大なイカの形を取っていた。
「ま、まさか……」
ラクサスはその存在に気がついた。そして、ゆっくりと振り返った。
『ぎゃあお!』
すぐさま巨大な触手が襲い掛かって来る。
「ハッハッハ!どうですかラクサスさん。私の怪物は!」
隣でヴェールが高笑いする。
「そもそも私が何でボルケニアに侵攻したと思います?」
「な、なぜって神器を手に入れるためだろ?」
「そうですね。でも私程度ではアルファ帝国に攻め込んでも袋叩きにあってしまうのが必定です。そこで私は考えたんですよ、どうすれば良いかを。」
「そ、そうか…」
ラクサスは完全に見誤ってしまっていた。そもそもヴェールは七武衆の一角に過ぎない。そんなのがボルケニアに侵攻しても一時は占領できるかもしれないがどうせ帝国の本隊が来てフルボッコが関の山だ。
「お前たちは戦力を隠していたんだな…」
「ご名答!と言いたいところですが。少し違いますね。このクラーケンは元々あなた方の帝国に封印されていました。ですから封印をこっそり解かせていただきました。」
「なっ……まさか‥‥」
「そう。封印を解くには鍵が必要ですねぇ。それが遺跡からお奪いした例の神器だったんですよ!」
「そうか…すべて繋がって…」
「その通り!つまり我々はこのクラーケンを復活させ、ボルケニアを滅亡させるのが目的なんですよ!」
ラクサスはここまでコケにされて黙っていられるわけがない。しかし、今この状況ではどうすることもできない。
『ぎゃおぉぉぉん!』
「ぐはっ……」
クラーケンの触手が街の建物を砕くのも当然か。ラクサスは触手を矛で切り裂いていく。しかし相手はデカいイカだ。触手の一本を斬り落とそうが意味などないし、そもそも爆速で再生するのでいたちごっこである。
「ちなみにこのクラーケンは鯨をよく食べていたそうで、一時期絶滅の危機に追い込んだとか。」
「な……に?」
ラクサスは絶句した。鯨を食らうどころか絶滅寸前まで…
クラーケンは鞭のように触手を用いてラクサスに打ち付けてくるがラクサスはそれを避けるのが精いっぱいで攻撃など夢のまた夢である。
「いや怪物過ぎるだろ…もう少しバランス考えてくれ!」
ラクサスは文句を言うが全く攻勢が緩まることはない。
「さて、あなたの命もあと数分でしょうかね?」
『ぎゃおぉぉぉぉぉん!!』
「ぐはっ……!」
案の定であった。クラーケンの触手が直撃しラクサスは吹っ飛ぼうとする。しかしそうはならなかった…
なぜならその触手は既に切られていたからである。
「何ッ!」
ラクサスは命が助かったけれども、この状況で助けてくれたのは誰だろうか。
「‥‥‥」
それは身長2mほどの仮面を被った外套の大男であった。
「あ、あの…ありがとう…ございますですかね。先輩かもしれませんし。」
ラクサスは大男に礼を言うすると大男は無言で頷いた。そして音もなくヴェールの背後から頸に大鎌を当てる。
「?!」
ヴェールは動揺していたがすぐに落ち着いて。
「音もなく背後に立つ…死神の類ですか。私は聖職者ではありませんけれどあまりお世話になりたくはありませんね。」
ヴェールは動くことなく背後に風の刃を発生させる。大男は何とか仮面を手で覆ってから避ける。
「狂った笑顔を張り付けた仮面…不気味ですねぇ。なくとも能力に影響がないと思われますけれども死神の雰囲気でも出しているんでしょうか。」
ヴェールは余裕しゃくしゃくだが、ラクサスにとっては共に戦う相手がいるだけで100人力である。しかしやはり超クソゲーなのは変わらない。
その間にも大量の触手が街を呑み込もうとしている。
「お、恐ろしすぎるだろ!」
ボルケニアには大勢の無垢な住民たちがいる。彼らの一生を終わらせてはいけない…
ラクサスが目をつぶった瞬間触手が巨大な鉄の塊で止められる。
「おぅおぅ!待たせてくれたなァ!ラクサス!」
来たのはジャーマだった。そしてここに来る前に合流したのかエリスやフランもいた。
「ベータの刺客ってのはてめぇか?悪いな俺様が直々に相手しなくて。」
「あなたが魔族四天王のジャーマさんですか…お初にお目にかかります。とは言っても先の大戦に従軍していましたので初対面ではないのかもしれませんが。」
「お前が……ヴェールか?」
「えぇ。七武衆のヴェールです。」
「そうか…じゃあお前の墓場はここになるわけだな。」
ジャーマは怒りながら腕を刃に変えて切り裂いていく。
「あれは…ジャーマさんの能力ね。全身で鉄を生み出して攻撃することができるわ。まぁ鉄と言ってもその硬度はオリハルコンに匹敵するけれども。」
「流石は四天王‥‥」
ラクサスが感心しているとジャーマが
「ラクサス!エリス!お前らはとっととヴェールを倒して来い!」
「え?」
「この怪物は多分俺様でないと止められない。質量が違い過ぎるからな。だからお前はヴェールをやれ!多分お前らで協力すれば倒せんだろ。でなければせめて粘れれば良い。そしたら俺様はこいつ倒してから合流してやるから。」
ジャーマはそう言って檄を飛ばす。
「は、はい!」
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