上 下
28 / 59
第5章 火山街決戦編

混戦のボルケニア

しおりを挟む
ラクサスが走りだそうとする直前。店の中に居たユリカがある袋を投げ渡す。
「ラクサスさん。これを使ってください!」
「何だこれ?」
袋を開けると粘土でこねたような球が袋の半分ほどを占めていた。ユリカはそれの効用を説明する。
「あぁ…そういうことね。」
「ラクサスさんなら使いこなせるはずです!」
ユリカはそう言って期待のまなざしを向ける。それを受けてエリスが
「分かったから!早く行くわよ!」
そう言って背中のこうもり型の翼を広げていく。
「あぁ……分かったよ。」
ラクサスは羽と尻尾を広げて飛んでいく。
「それじゃあ行ってくるぜ。ユリカちゃん。」
そう言ってラクサスは飛んで行った。

「させませんよぉ~!」
ノワールが魔法陣を展開してラクサスを魔弾で追尾しようとする。しかしこれにヒビが入った。
「させると思っているのか?」
「フラン・マーガレットぉ~!」
フランは剣で魔法陣を斬ってしまった。魔法陣はまさにガラスのように砕け散った。
「この聖剣デュランダルは魔法を切り裂く。覚悟しろ。」
そうしてフランは剣を構える。その後ろには棍棒を担ぎ、溶岩ゴーレムの背中に乗ったバロンもいる。
「フハハ!フラン嬢!やっちまいやしょうぜ!」
「そうだな。」
そうして二人がノワールに向かっていく。ノワールはラクサスの追撃を諦めて迎撃態勢に入る。

「それで騎士連中が一番暴れてんのはどこなんだ?」
「そんなの分からないわよ!でも先鋒隊はフランさんたちに任せていいようね。」
そうエリスが言っていると街でひときわ高い建物の前でフランの部下と騎士たちが激突しているのが目に入る。悪魔は視力がいいので様子が詳細に目に入るがどうやら近くに子供たちが集まっているようだ。争いに巻き込まれて怯えている。
「ったくもう!この戦場でロリショタに手を出すとか何考えてんのよ隣国は!行くわよラクサス!」
「お前に命令される筋合いはねぇ!てかてめぇ、子どもをロリショタ呼ばわりってそっちの気でもあんのか…」
そうして二人は子供たちの方へ駆け付ける。

「だから!神器の場所を教えろってんだよ!クソガキ!」
大柄な騎士が子供の胸ぐらをつかんでいる。
「しらない!しらないってば!」
「あぁもういい!こいつぶっ殺しちまおうぜ。」
そう言って隣に居た細柄な騎士がそう言い剣を振り上げる。
「騎士様!どうか愚息の命だけは!」
「黙れ雑魚愚民が!魔族に魂売ってるような国に人様同様の人権があると思うな!心配しなくともすぐ送ってやる!地獄が寂しくないな!!」
「待ちなさい!」
エリスがそう叫びながら上空から落ちて来た。
「何?!」
大柄な騎士が何か言おうとするもすかさずエリスが首筋に噛みつく。
「うがが!」
大柄な騎士が抵抗するものの、万力のように固定されて動かないどころか騎士の身体を抱きしめてくるので余計拘束が酷い。
「ジェ、ジェームズ!早く解放しろ!」
そう大柄な騎士が言うので細い騎士が剣を構えて切りかかるもそれは逆に地面に防がれる。
「え?」
見ると地面が変形し巨大なゴーレムを形作っているではないか。
ラクサスは上空に浮遊しながら右手の袋を見た。
「簡易ゴーレムの核ねぇ~。面白いなこの丸薬。ユリカも凄いものを仕入れたな。」
ラクサスが持っているのは簡易ゴーレムの核である。これは簡易的な効果だが、ゴーレムをいつでもどこでも生み出せるものであり、災害現場などで非常に重宝する。魔力を粘土玉に込めるだけで発動し周囲の者を飲み込めるので非常に役に立つ。
『ゴシュジンサマ…』
「あぁ。そうか召喚したんで命令しないとな。とりあえずそこらの子どもたちを守ってくれ。」
『コドモタチマモル…』
ラクサスがそう指示するとゴーレムは騎士たちを巨腕で振り払った。
「ぎゃああああ!なんだこの怪力!」
細い騎士が困惑していると大柄な騎士がやって来た。
「‥‥‥」
「あ!お前!何とかしてく…」
細い騎士が何か言いかけたところで大柄な騎士が頸を絞めてくる。
「お、おめぇ何で…」
困惑する騎士が良く見てみると目に光が無いし赤くなっている。これは…
「ハァ…ハァ…おっさんの血なんて飲むもんじゃないわね。吸血して眷族にはできたけど……」
そう、エリスが眷族にしてしまったのだ。眷族にするというのはすなわち、従者のような扱いである。
「さぁもっと眷族を増やすわよ!ラクサスも手伝って!」
「ったく待ってろ。今新戦力が来る予定だからよ。」
そうラクサスが上空で寝ていると奥から音がした。
「ほぉ、てめぇら!よくも俺の部下たちをコケにしてくれたなぁ!」
そこに来たのは龍に乗った騎士であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...