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第4章 神器防衛編
合いたくなかったやつとの再会
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スカーレットは自身の工房の中にラクサスを案内する。
鍛冶場は熱く、奥でかまどが燃えている。
「じゃあ矛を打つから、奥にでも座ってておくれよ。」
スカーレットはそう言ってラクサスを奥の座敷に案内する。
(座布団まででけぇな…)
ラクサスが座敷に座ると、スカーレットはかまどを見る。すると…
「ったァ!何だこういう時に限って炭切らしちゃってるよ…」
「え?じゃあ俺が取って来ますよ。丁度街の方巡りたかったんでね。」
そう言ってラクサスが立つ。
「あぁ、じゃあ一緒に行こうか。」
そう言って2人で外に出る。
炭は街の奥の共用倉庫にあるらしいが、そこに行くまでの距離が非常に長い。相変わらずスカーレットの後ろへついて行く。
「しかし悪いね。こんなことまで付き合わせてさ。」
「いやいいんすよ。俺なんて所詮悪魔族とは言えド新人で、まだまともな職にも就いてないので。」
そう言ってラクサスは苦笑いする。
ラクサスは一般的にはドリアの息子としてしか見られておらず、まだまともな役目も貰っていないのが現状だ。
悪魔族は一般的に強い種族と言われているがそもそも例の隷属魔術と己の腕力だけで魔王軍の幹部をできるのかすらも怪しい。
(できればもう少しばかりいい能力が良かったなぁ…炎とか雷とかさ…)
例の女神はこう言った。「魔王としての出生です。」
しかしいざ蓋を開けて見ればどうか…この意味の分からない悪魔族ではないか…あの女神は約定を違えたのか…
「ん?どうしたんだい?」
黙って考え込んでいたラクサスにスカーレットが声をかける。
「あ、あぁ何でもないっすよ。」
ラクサスは話を逸らす。
「そう?着いたよここがボルケニアの中心部で町一番の市場さ。」
市場は非常に広かった。
店の広さもそうだがやはり商品数の多さである。これでも帝都のは及ばないのだろうが少なくともラクサスの地元よりは多いのは確かだ。
商品は武器や素材から挙句の果てには玩具まである様子だ。
スカーレットは身体がデカいが、大鬼族が多いからか建造物の大きさからして不自然ではない。代わりにラクサスが小人になった気分だった。
「それで…炭は…あそこだねぇ。」
そう言ってスカーレットは人混みを縫うようにして向かう。
「いや……ちょっ……」
ラクサスも置いて行かれないようにする…するとそこに見慣れた顔があった。
ユリカが宝石を見ていた。
「おぉ!ユリカじゃん!何してんだよ?」
ラクサスが話しかけるとユリカは嬉しそうにこちらを振り向く。
「あ!ラクサスさん!来ていらっしゃったんですね。」
「あぁ、鍛冶屋に用事を頼みに行ったんだ。」
「はぁ…そう言うことなんですね。私は素材の仕入れです。」
「ふぅん…頑張れな。」
「はい!よろしくお願いします!」
そう言ってユリカは頭を下げる。
「あら?ユリカちゃん。どうしたのって…アンタ!」
すると今度はラクサスが見たくない顔だった。吸血姫エリス…
「エリス!何でお前がいるんだよ!てかユリカの知り合いだったのかよ!」
「それはコッチのセリフよ!この童貞悪魔!」
「ど、ど、童貞じゃねぇし!」
「じゃあ何よ!このヘタレ野郎!」
「うるせぇ!」
二人が揉めているのでユリカが
「まぁまぁ落ち着いてください。ラクサスさん!エリスさんはこう見えて凄い優しい方なんですよ!この前なんて…」
ユリカがフォローを入れるが……
「いやそれ騙されてるって!エリスは性格がねじれにねじれた女なんだ!」
「何よ!アンタこそ体の小ささに見合わず態度だけはデカい癖に!」
「まぁそうだな…お前は胸の大きさと器の大きさが比例しているようで羨まs……痛てて!暴力反対!」
ラクサスがエリスにヘッドロックをかける。
「よし!このまま頸を折ってあげるわ。」
「いやぁ!助けて~。メスゴリラ吸血鬼に殺される~!」
「は?誰がゴリラよ!」
そうエリスが慌てた隙を見てラクサスはするりと腕を抜ける。
「ハッハッハ!チビだとこういう時便利ですねぇ~。胸につっかえないで良かったし!」
「ハァ?!そんな理屈が通ると思ってるの?!」
それを見てエリスはよりキレてラクサスを追いかけまわし始めた。
ユリカはそれを見て呆れながら追いかけていく。
「もぅ……エリスさんもラクサスさんも……」
そう言いながらユリカは追いかけるのだった。
「よいしょっと、ラクサスはどこに行ったのかな。」
スカーレットが炭を担いで歩いていると目の前でラクサスが追いかけられていた。
「おーい。ラクサス。炭持ってきたよ?」
スカーレットが呼びかけるも。返事が無いのは当たり前だ。追いかけまわされているのだから。
ラクサスが走っていると人通りの多い広場に来た。周囲の人々が何事かと見てみる。
「何だ痴話げんかか。」
「ずいぶん若いな…」
とカップルに見せるような温かい目である。
ラクサスは広場の中心に来た。
そこには巨大な金色の銅像があり、その前にクソデカい矛が刺さっている。
ラクサスは思わずそれを引き抜いてしまった。
鍛冶場は熱く、奥でかまどが燃えている。
「じゃあ矛を打つから、奥にでも座ってておくれよ。」
スカーレットはそう言ってラクサスを奥の座敷に案内する。
(座布団まででけぇな…)
ラクサスが座敷に座ると、スカーレットはかまどを見る。すると…
「ったァ!何だこういう時に限って炭切らしちゃってるよ…」
「え?じゃあ俺が取って来ますよ。丁度街の方巡りたかったんでね。」
そう言ってラクサスが立つ。
「あぁ、じゃあ一緒に行こうか。」
そう言って2人で外に出る。
炭は街の奥の共用倉庫にあるらしいが、そこに行くまでの距離が非常に長い。相変わらずスカーレットの後ろへついて行く。
「しかし悪いね。こんなことまで付き合わせてさ。」
「いやいいんすよ。俺なんて所詮悪魔族とは言えド新人で、まだまともな職にも就いてないので。」
そう言ってラクサスは苦笑いする。
ラクサスは一般的にはドリアの息子としてしか見られておらず、まだまともな役目も貰っていないのが現状だ。
悪魔族は一般的に強い種族と言われているがそもそも例の隷属魔術と己の腕力だけで魔王軍の幹部をできるのかすらも怪しい。
(できればもう少しばかりいい能力が良かったなぁ…炎とか雷とかさ…)
例の女神はこう言った。「魔王としての出生です。」
しかしいざ蓋を開けて見ればどうか…この意味の分からない悪魔族ではないか…あの女神は約定を違えたのか…
「ん?どうしたんだい?」
黙って考え込んでいたラクサスにスカーレットが声をかける。
「あ、あぁ何でもないっすよ。」
ラクサスは話を逸らす。
「そう?着いたよここがボルケニアの中心部で町一番の市場さ。」
市場は非常に広かった。
店の広さもそうだがやはり商品数の多さである。これでも帝都のは及ばないのだろうが少なくともラクサスの地元よりは多いのは確かだ。
商品は武器や素材から挙句の果てには玩具まである様子だ。
スカーレットは身体がデカいが、大鬼族が多いからか建造物の大きさからして不自然ではない。代わりにラクサスが小人になった気分だった。
「それで…炭は…あそこだねぇ。」
そう言ってスカーレットは人混みを縫うようにして向かう。
「いや……ちょっ……」
ラクサスも置いて行かれないようにする…するとそこに見慣れた顔があった。
ユリカが宝石を見ていた。
「おぉ!ユリカじゃん!何してんだよ?」
ラクサスが話しかけるとユリカは嬉しそうにこちらを振り向く。
「あ!ラクサスさん!来ていらっしゃったんですね。」
「あぁ、鍛冶屋に用事を頼みに行ったんだ。」
「はぁ…そう言うことなんですね。私は素材の仕入れです。」
「ふぅん…頑張れな。」
「はい!よろしくお願いします!」
そう言ってユリカは頭を下げる。
「あら?ユリカちゃん。どうしたのって…アンタ!」
すると今度はラクサスが見たくない顔だった。吸血姫エリス…
「エリス!何でお前がいるんだよ!てかユリカの知り合いだったのかよ!」
「それはコッチのセリフよ!この童貞悪魔!」
「ど、ど、童貞じゃねぇし!」
「じゃあ何よ!このヘタレ野郎!」
「うるせぇ!」
二人が揉めているのでユリカが
「まぁまぁ落ち着いてください。ラクサスさん!エリスさんはこう見えて凄い優しい方なんですよ!この前なんて…」
ユリカがフォローを入れるが……
「いやそれ騙されてるって!エリスは性格がねじれにねじれた女なんだ!」
「何よ!アンタこそ体の小ささに見合わず態度だけはデカい癖に!」
「まぁそうだな…お前は胸の大きさと器の大きさが比例しているようで羨まs……痛てて!暴力反対!」
ラクサスがエリスにヘッドロックをかける。
「よし!このまま頸を折ってあげるわ。」
「いやぁ!助けて~。メスゴリラ吸血鬼に殺される~!」
「は?誰がゴリラよ!」
そうエリスが慌てた隙を見てラクサスはするりと腕を抜ける。
「ハッハッハ!チビだとこういう時便利ですねぇ~。胸につっかえないで良かったし!」
「ハァ?!そんな理屈が通ると思ってるの?!」
それを見てエリスはよりキレてラクサスを追いかけまわし始めた。
ユリカはそれを見て呆れながら追いかけていく。
「もぅ……エリスさんもラクサスさんも……」
そう言いながらユリカは追いかけるのだった。
「よいしょっと、ラクサスはどこに行ったのかな。」
スカーレットが炭を担いで歩いていると目の前でラクサスが追いかけられていた。
「おーい。ラクサス。炭持ってきたよ?」
スカーレットが呼びかけるも。返事が無いのは当たり前だ。追いかけまわされているのだから。
ラクサスが走っていると人通りの多い広場に来た。周囲の人々が何事かと見てみる。
「何だ痴話げんかか。」
「ずいぶん若いな…」
とカップルに見せるような温かい目である。
ラクサスは広場の中心に来た。
そこには巨大な金色の銅像があり、その前にクソデカい矛が刺さっている。
ラクサスは思わずそれを引き抜いてしまった。
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