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序章 彼が魔王軍に入るまで
いつから魔王は猛々しい大男だと錯覚していた?
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ラクサスが着いたのは大きな都市だった。ラクサスがいた街より何倍も大きい。街の隅々まで尖塔が立っているし、道には車も走っている。
「いや~。まさかここまで文明レベルが高いとは…」
上空から都市を見下ろしてラクサスが呟く。
「そう思うか。まぁ貴様は吾輩ほど王都には出ていないからな。見る者も多いだろう。だが、その内貴様もここを訪れる機会も増える。」
「そう言うものでしょうかね。」
そして都市の中でもひときわ大きい建物の前についた。
「よし、一回地面に降りるぞ。飛んだまま城壁を超えると全自動迎撃の餌食になって蜂の巣だ。」
「ヒィィィィィ!」
ドリアは建物の屋上に着陸すると、翼をたたんで降りた。ラクサスもそれに倣う。
「さて、着いたな。」
ドリアはそう言ってドアを開けた。すると中から男が出てきた。身長はリコールと同程度だが顔が違う。緑の肌に巨大な目、おまけに長い舌。これはいかにも
「カメレオン…」
ラクサスが呟くと
「いかにも私はカメレオン獣人のヨーゼフ・ゼフォン。魔王様の雑用係です。」
ヨーゼフは恭しく頭を下げる。
「ドリア様。ご子息を連れてまいられたのですね。」
「ああ、よろしく頼んだ。」
「ドリア様は行かれないので?」
「行くわけないだろう。これはコイツの用だ。吾輩が口出しするものではない。」
と言い放った。この男は放任主義と言うか、やるべきことはやれと散々言い含められてきたのである。
「そうですか。では私が案内します。」
そう言ってヨーゼフはラクサスを案内する。
「ここです。」
そう言ってヨーゼフは巨大な門を見せる。
「この中にいるのか?」
そうしてヨーゼフがドアを開けるとそこには…
「キャハハ!何コイツおっかしーwww」
散らかった地面に幼女が寝転がってポテチを食いながらマンガを読んでいた。
「・・・・・・・」
ヨーゼフは無言になる。そして黙って部屋の中に入って扉を閉め。20秒後にドアがまた空いた。
「いやはや失礼。どうぞ。」
苦笑いをしているヨーゼフ。どうやらかなり気まずいようだ。
「は、はい……」
ラクサスも戸惑って中に入る。中は一見すると貴族の部屋のように綺麗であるが、よく見ればすべて部屋の壁際にゴミを簡易的に寄せているだけだ。
「壁に全部寄せているだけの掃除じゃないか‥‥」
「え?何のことです?」
ヨーゼフはバツが悪そうにきょとんとする。
それはそうと部屋の奥には巨大な玉座があり、そこに金髪の幼女が座っていた。
「あの、魔王様は?」
「いや何を言ってるんですか。いるでしょう?目の前に。」
「え?でも、その玉座には幼女しか…」
「だ か ら!それが魔王様なんです。」
「はぁ……」
ラクサスは魔王と聞いてどこかの大男を想像していた。いや、百歩譲ってそれが爺さんであったり、妖艶な女性である可能性もあっただろう。しかし、目の前にいるのは幼女!頭の先から爪の先まで幼女。ラクサスはロリコンではないのであまり見るのは止めたが。
「貴方様が魔王ですか?」
「うむ、私がこの帝国第99代皇帝にして魔王 ハンナ・レイドラ(中略)パンドラ・ギーツじゃ!」
「いや、名前に中略があるの?」
「いや~全部名前を呼ぶと3年かかるの。」
「寿限無かな?まぁいいや。ハ(中略)ーツ様何か御用ですか?」
「略しすぎじゃ!あと私は競走馬ではないぞ!ゴホン!」
魔王は咳払いをする。
「そなた市に出たドラゴンを追い払ったそうじゃな。」
「は、はい。」
「そのドラゴンとやらの強さがS+級でさ。」
「え?そんなに?」
「うむ、という訳で人生7度目の一生のお願いだ!ぜひ我が魔王軍に入ってくれ!」
「え、あぁ…はい…元々父には憧れていて魔王軍には入るつもりでしたが……」
「そうか!では、よろしく頼むぞ!」
そう言って魔王は小さな手でラクサスに握手を求める。
「誠心誠意お仕えさせていただく所存でございます。ハンナ様。」
「陛下で構わん、皆そう呼んでいるのでな。」
「では陛下。よろしくお願いいたします。」
そう言ってラクサスは膝まづく。
「いや~。まさかここまで文明レベルが高いとは…」
上空から都市を見下ろしてラクサスが呟く。
「そう思うか。まぁ貴様は吾輩ほど王都には出ていないからな。見る者も多いだろう。だが、その内貴様もここを訪れる機会も増える。」
「そう言うものでしょうかね。」
そして都市の中でもひときわ大きい建物の前についた。
「よし、一回地面に降りるぞ。飛んだまま城壁を超えると全自動迎撃の餌食になって蜂の巣だ。」
「ヒィィィィィ!」
ドリアは建物の屋上に着陸すると、翼をたたんで降りた。ラクサスもそれに倣う。
「さて、着いたな。」
ドリアはそう言ってドアを開けた。すると中から男が出てきた。身長はリコールと同程度だが顔が違う。緑の肌に巨大な目、おまけに長い舌。これはいかにも
「カメレオン…」
ラクサスが呟くと
「いかにも私はカメレオン獣人のヨーゼフ・ゼフォン。魔王様の雑用係です。」
ヨーゼフは恭しく頭を下げる。
「ドリア様。ご子息を連れてまいられたのですね。」
「ああ、よろしく頼んだ。」
「ドリア様は行かれないので?」
「行くわけないだろう。これはコイツの用だ。吾輩が口出しするものではない。」
と言い放った。この男は放任主義と言うか、やるべきことはやれと散々言い含められてきたのである。
「そうですか。では私が案内します。」
そう言ってヨーゼフはラクサスを案内する。
「ここです。」
そう言ってヨーゼフは巨大な門を見せる。
「この中にいるのか?」
そうしてヨーゼフがドアを開けるとそこには…
「キャハハ!何コイツおっかしーwww」
散らかった地面に幼女が寝転がってポテチを食いながらマンガを読んでいた。
「・・・・・・・」
ヨーゼフは無言になる。そして黙って部屋の中に入って扉を閉め。20秒後にドアがまた空いた。
「いやはや失礼。どうぞ。」
苦笑いをしているヨーゼフ。どうやらかなり気まずいようだ。
「は、はい……」
ラクサスも戸惑って中に入る。中は一見すると貴族の部屋のように綺麗であるが、よく見ればすべて部屋の壁際にゴミを簡易的に寄せているだけだ。
「壁に全部寄せているだけの掃除じゃないか‥‥」
「え?何のことです?」
ヨーゼフはバツが悪そうにきょとんとする。
それはそうと部屋の奥には巨大な玉座があり、そこに金髪の幼女が座っていた。
「あの、魔王様は?」
「いや何を言ってるんですか。いるでしょう?目の前に。」
「え?でも、その玉座には幼女しか…」
「だ か ら!それが魔王様なんです。」
「はぁ……」
ラクサスは魔王と聞いてどこかの大男を想像していた。いや、百歩譲ってそれが爺さんであったり、妖艶な女性である可能性もあっただろう。しかし、目の前にいるのは幼女!頭の先から爪の先まで幼女。ラクサスはロリコンではないのであまり見るのは止めたが。
「貴方様が魔王ですか?」
「うむ、私がこの帝国第99代皇帝にして魔王 ハンナ・レイドラ(中略)パンドラ・ギーツじゃ!」
「いや、名前に中略があるの?」
「いや~全部名前を呼ぶと3年かかるの。」
「寿限無かな?まぁいいや。ハ(中略)ーツ様何か御用ですか?」
「略しすぎじゃ!あと私は競走馬ではないぞ!ゴホン!」
魔王は咳払いをする。
「そなた市に出たドラゴンを追い払ったそうじゃな。」
「は、はい。」
「そのドラゴンとやらの強さがS+級でさ。」
「え?そんなに?」
「うむ、という訳で人生7度目の一生のお願いだ!ぜひ我が魔王軍に入ってくれ!」
「え、あぁ…はい…元々父には憧れていて魔王軍には入るつもりでしたが……」
「そうか!では、よろしく頼むぞ!」
そう言って魔王は小さな手でラクサスに握手を求める。
「誠心誠意お仕えさせていただく所存でございます。ハンナ様。」
「陛下で構わん、皆そう呼んでいるのでな。」
「では陛下。よろしくお願いいたします。」
そう言ってラクサスは膝まづく。
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