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電脳暴君はまだまだ夢の中
ゲリラ大規模イベント
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朝、携帯端末の断続的な通知音に目を覚ます。
「んあ……?」
寝ぼけ眼で目を通すと、IAFのフレンドからの通知らしい。
「緊急、ゲリラ大規模イベント……?」
通知の一番下、IAFの運営会社からのメールに目を通す。どうやら、大規模イベントを開催するらしい。
「開催時期は……ってもう始まってる!?」
普通なら何日後に始めますとかあるはずなのに、通達と同時に開始されている。ゲリライベントだ。驚きつつも、とりあえずメメントモリの知恵袋、シュクレへチャットを送信する。
*「どうなってるの?」*
*「アニーさん、おはようございます! イベントの件ですよね?」*
主語もすっ飛ばして疑問だけを送ると、シュクレがすぐに返信を返してくれた。というかいつチャット送っても即座に返信が返ってくるんだけど、彼女は一体、いつ寝ているのだろう。
*「そう!」*
*「初期リスポーンの4つより外側の空間が開放されました。24時間後にそこからモンスターが大量に押し寄せるそうです。既に告知から4時間が経過しているので残り20時間ですね」*
*「貢献ポイントはどんな風に計算されるの?」*
*「いつも通り、クラン単位の貢献ポイントのランキング報酬と、個人報酬が別にあるみたいです」*
イベント自体は、初回イベントに近い普通の防衛戦だ。それ故に、何か違和感が際立っている。
*「こんなに急に始まるなんて、普通じゃないよね?」*
私がチャットを打ち込むと、シュクレのチャットが書き込み中の表示でしばらく沈黙する。
*「以前、IAFは構造が逆さまだってお話したの覚えていらっしゃいますか?」*
*「え? うん。内側へ向かうにつれてモンスターが強くなるのは微妙って話だよね?」*
*「今回のイベント、外側のモンスターは剛輪禍周辺のモンスターより遥かに強い様です」*
*「つーまーりー?」*
*「外側により強いモンスターがいるなら、構造的な欠陥は解消されます。おそらく今回のイベントは、AIによる矛盾解消機能を応用しています」*
*「それで?」*
*「IAFの構造はまるで、最初からこのイベントの為に存在していた様な、そんな意図を感じます。そしてそれが、唐突に開始されました。営利企業の施策としては、違和感を感じますね」*
*「あーなるほどー。何でだろうね?」*
*「そこは、今は分からないですね」*
*「そりゃそっか、とりあえずログインするね」*
ログインすると、親の顔の次くらいに見慣れた真っ白なログインルームが眼前に広がっていた。
*「IAFへようこそ。どちらの街へログインされますか?」*
いつものように無機質なAI音声が聞こえてくる。今、IAFでログインできる街は5つある。
初期リスポーンのフォートシュロフとクロノシア、それぞれの街から行ける幻夢境街と実夢境街、そして先日ログインしていた剛輪禍だ。
「うーん、どうしようかな」
IAFは大きな円を描く様に外周から内側へ次の街が開放されてきたから、今回のイベントで最初の戦場となるのは初期リスポーンのフォートシュロフとクロノシアの2つ。
最初の街にフォートシュロフを選んだ私は剛輪禍が開放されるまでクロノシアへはアクセスできなかった。それにクロノシアは要は序盤の街で、行く理由も無かったのでぶっちゃけよく知らない。
初期の街は捨てて幻夢境街と実夢境界に戦力を集中させた方が合理的な気はするけど……。
*「アニー! おはよう」*
私が悩んでいると、ヨイニからのチャットが届いた。
*「おはよう! 緊急イベント、びっくりだよね」*
*「そう、その件で話があるんだけどフォートシュロフに来てくれないかな?」*
*「ん、了解! 噴水前で良い?」*
*「それでお願い!」*
ヨイニとのチャットを終えて、今度はAIの方へ声をかける。
「フォートシュロフで!」
*「承知しました。転送を開始します」*
「んあ……?」
寝ぼけ眼で目を通すと、IAFのフレンドからの通知らしい。
「緊急、ゲリラ大規模イベント……?」
通知の一番下、IAFの運営会社からのメールに目を通す。どうやら、大規模イベントを開催するらしい。
「開催時期は……ってもう始まってる!?」
普通なら何日後に始めますとかあるはずなのに、通達と同時に開始されている。ゲリライベントだ。驚きつつも、とりあえずメメントモリの知恵袋、シュクレへチャットを送信する。
*「どうなってるの?」*
*「アニーさん、おはようございます! イベントの件ですよね?」*
主語もすっ飛ばして疑問だけを送ると、シュクレがすぐに返信を返してくれた。というかいつチャット送っても即座に返信が返ってくるんだけど、彼女は一体、いつ寝ているのだろう。
*「そう!」*
*「初期リスポーンの4つより外側の空間が開放されました。24時間後にそこからモンスターが大量に押し寄せるそうです。既に告知から4時間が経過しているので残り20時間ですね」*
*「貢献ポイントはどんな風に計算されるの?」*
*「いつも通り、クラン単位の貢献ポイントのランキング報酬と、個人報酬が別にあるみたいです」*
イベント自体は、初回イベントに近い普通の防衛戦だ。それ故に、何か違和感が際立っている。
*「こんなに急に始まるなんて、普通じゃないよね?」*
私がチャットを打ち込むと、シュクレのチャットが書き込み中の表示でしばらく沈黙する。
*「以前、IAFは構造が逆さまだってお話したの覚えていらっしゃいますか?」*
*「え? うん。内側へ向かうにつれてモンスターが強くなるのは微妙って話だよね?」*
*「今回のイベント、外側のモンスターは剛輪禍周辺のモンスターより遥かに強い様です」*
*「つーまーりー?」*
*「外側により強いモンスターがいるなら、構造的な欠陥は解消されます。おそらく今回のイベントは、AIによる矛盾解消機能を応用しています」*
*「それで?」*
*「IAFの構造はまるで、最初からこのイベントの為に存在していた様な、そんな意図を感じます。そしてそれが、唐突に開始されました。営利企業の施策としては、違和感を感じますね」*
*「あーなるほどー。何でだろうね?」*
*「そこは、今は分からないですね」*
*「そりゃそっか、とりあえずログインするね」*
ログインすると、親の顔の次くらいに見慣れた真っ白なログインルームが眼前に広がっていた。
*「IAFへようこそ。どちらの街へログインされますか?」*
いつものように無機質なAI音声が聞こえてくる。今、IAFでログインできる街は5つある。
初期リスポーンのフォートシュロフとクロノシア、それぞれの街から行ける幻夢境街と実夢境街、そして先日ログインしていた剛輪禍だ。
「うーん、どうしようかな」
IAFは大きな円を描く様に外周から内側へ次の街が開放されてきたから、今回のイベントで最初の戦場となるのは初期リスポーンのフォートシュロフとクロノシアの2つ。
最初の街にフォートシュロフを選んだ私は剛輪禍が開放されるまでクロノシアへはアクセスできなかった。それにクロノシアは要は序盤の街で、行く理由も無かったのでぶっちゃけよく知らない。
初期の街は捨てて幻夢境街と実夢境界に戦力を集中させた方が合理的な気はするけど……。
*「アニー! おはよう」*
私が悩んでいると、ヨイニからのチャットが届いた。
*「おはよう! 緊急イベント、びっくりだよね」*
*「そう、その件で話があるんだけどフォートシュロフに来てくれないかな?」*
*「ん、了解! 噴水前で良い?」*
*「それでお願い!」*
ヨイニとのチャットを終えて、今度はAIの方へ声をかける。
「フォートシュロフで!」
*「承知しました。転送を開始します」*
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