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オーディアス攻略作戦
戦わないタイプのJK
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「これで……!」
悪魔付きの防御を掻い潜って、私のパイルバンカーが彼? の胸に深々と突き刺さって、HPを削り切る。
これで、3回目だ。
「やっぱり、ダメだなぁ」
近くで私と一緒に戦っていたゴングマンさんが、悪魔付きのHPバーを見て疲れたため息をこぼす。
本来は、エネミーはHPを削り切られるとHPバーが消滅する。だけど悪魔付きのそれは消える所か復活してしまう。
「うーん、回数系じゃないっぽいよね」
私もゴングマンさんに頷きながら、再び起き上がった悪魔付きへと向かい合った。そろそろ、MPがやばい。
「でも……」
今日は沢山の事があった。
シュクレの口車に乗ってダンジョン攻略へ乗り出したらまさかのダンジョンのモチーフが実家。色々と気苦労をしながら何とかダンジョンボスにたどり着いたと思ったらまさかの無限復活。
一旦休憩を挟んだら、IAFのCMから親バレしてゲーム禁止令。ヨイニの家凸から父親とガチの殴り合い。
「今日は負ける気がしない」
ずっと対立していた父親の事は、今でも許せない。でも、彼の考えも今なら理解できる。
蔑まれ、疎まれていた時とは違って……私でもこの世界に胸を張って生きて良いんだという温かい肯定感が全身を包んでいた。
*「アニー! わかったぞ!」*
再び悪魔付きとの攻防が始まる中、視界の端で気になるコメントが流れる。N.Kというイニシャルだけのシンプルな名前だけど、後ろ姿のアイコンが何となく兄に似ている。
父親との騒動の中、ほぼ何も言わずに事の推移を静観していた兄だけど、彼にも思う事があったのだろう。
*「風間家には……定期的に悪魔付きに類する子孫が生まれている! 多分、遺伝的な形質の一種で、これは風間家がなくならない限りは生じるんだろう」*
*「お、有識者ニキか?」*
*「ソースはよ」*
兄のコメントを皮切りに、さらにコメントが加速していく。彼はそれには構わず、次のコメントが流れた。
*「つまり、悪魔付きの対処方法は2つ! ダンジョンの完全破壊か、受容と共存だ!」*
「シュクレ!」
私は大声でIAFに世界一詳しいシュクレの名前を叫んだ。兄の言葉に、専門家の意見が聞きたかった。
「ここまでに見た影軸や、小屋の中にあった絵巻物からも……確証はないですが可能性はあります!」
「アニーちゃん、どっちにするんだ?」
ゴングマンさんの言葉に、私はニッと笑う。
「まぁ、まずは楽チンな方かな」
そう言って、悪魔付きへ近づく。
攻撃の代わりに、防御へ専念する。豪雨の様に降り注ぐ悪魔付きの攻撃を次々と弾いていた。
深呼吸をして、精神を研ぎ澄ましていく。
「そっか、これが……」
私が唯一、まだ習得できていなかった風間流の裏秘技。其乃七、明鏡止水だ。これは攻防の技じゃない。
一点の揺らぎも無い水面の様な精神が絶大な集中力と視野の広さを生み、あらゆる動作が最適化される。
そして……水面に映るのは相手の心だ。
*「アニーちゃん、マジですごいな」*
*「レイドボスと単騎で殴り合ってしかも押してるんだが……?」*
父との戦いで、私の中には風間流という名の戦闘システムが構築された。悪魔付きの動きはそれと似ている。
少しずつ、真綿で包む様に、悪魔付きの戦闘パターンを解析して、アンチパターンを構築する。
「戦いって、対話でもあるんだね」
相手の一挙手一投足から、相手がどんな考え方をして、今、何を思っているのかが伝わってくる。まぁ、今回はAIなんだけど。
「……」
戦いの中で、お互いを理解し合う。激しい攻防を繰り広げていた戦闘はやがて拮抗し、緩やかに減速していく。
「……」
やがて戦いは終わって、私は悪魔付きと向かい合う。彼は、私でもあるんだ。そう気がついた時、目の前の悪魔付きが黒い霧へと変換される。
「なっ」
その霧は私を包み込むと、やがて同化して消えていった。シュクレが詠唱加速を手に入れた時のエフェクトの色違いだ。
*「スキル、共景雲海を取得しました」*
エフェクトが消えると同時に、脳内にシステム音声が流れる。同時に、ドーム状に私たちを覆っていたコメントが一気に流れる。
*「うおーさすが暴君ー!」*
*「すげぇ! マジで1人で倒しやがった!!」*
「やったな、アニー!」
ヨイニが近づいてきて、拳を突き出す。
「いえーい!」
私はそれに応えて、拳を合わせた。
悪魔付きの防御を掻い潜って、私のパイルバンカーが彼? の胸に深々と突き刺さって、HPを削り切る。
これで、3回目だ。
「やっぱり、ダメだなぁ」
近くで私と一緒に戦っていたゴングマンさんが、悪魔付きのHPバーを見て疲れたため息をこぼす。
本来は、エネミーはHPを削り切られるとHPバーが消滅する。だけど悪魔付きのそれは消える所か復活してしまう。
「うーん、回数系じゃないっぽいよね」
私もゴングマンさんに頷きながら、再び起き上がった悪魔付きへと向かい合った。そろそろ、MPがやばい。
「でも……」
今日は沢山の事があった。
シュクレの口車に乗ってダンジョン攻略へ乗り出したらまさかのダンジョンのモチーフが実家。色々と気苦労をしながら何とかダンジョンボスにたどり着いたと思ったらまさかの無限復活。
一旦休憩を挟んだら、IAFのCMから親バレしてゲーム禁止令。ヨイニの家凸から父親とガチの殴り合い。
「今日は負ける気がしない」
ずっと対立していた父親の事は、今でも許せない。でも、彼の考えも今なら理解できる。
蔑まれ、疎まれていた時とは違って……私でもこの世界に胸を張って生きて良いんだという温かい肯定感が全身を包んでいた。
*「アニー! わかったぞ!」*
再び悪魔付きとの攻防が始まる中、視界の端で気になるコメントが流れる。N.Kというイニシャルだけのシンプルな名前だけど、後ろ姿のアイコンが何となく兄に似ている。
父親との騒動の中、ほぼ何も言わずに事の推移を静観していた兄だけど、彼にも思う事があったのだろう。
*「風間家には……定期的に悪魔付きに類する子孫が生まれている! 多分、遺伝的な形質の一種で、これは風間家がなくならない限りは生じるんだろう」*
*「お、有識者ニキか?」*
*「ソースはよ」*
兄のコメントを皮切りに、さらにコメントが加速していく。彼はそれには構わず、次のコメントが流れた。
*「つまり、悪魔付きの対処方法は2つ! ダンジョンの完全破壊か、受容と共存だ!」*
「シュクレ!」
私は大声でIAFに世界一詳しいシュクレの名前を叫んだ。兄の言葉に、専門家の意見が聞きたかった。
「ここまでに見た影軸や、小屋の中にあった絵巻物からも……確証はないですが可能性はあります!」
「アニーちゃん、どっちにするんだ?」
ゴングマンさんの言葉に、私はニッと笑う。
「まぁ、まずは楽チンな方かな」
そう言って、悪魔付きへ近づく。
攻撃の代わりに、防御へ専念する。豪雨の様に降り注ぐ悪魔付きの攻撃を次々と弾いていた。
深呼吸をして、精神を研ぎ澄ましていく。
「そっか、これが……」
私が唯一、まだ習得できていなかった風間流の裏秘技。其乃七、明鏡止水だ。これは攻防の技じゃない。
一点の揺らぎも無い水面の様な精神が絶大な集中力と視野の広さを生み、あらゆる動作が最適化される。
そして……水面に映るのは相手の心だ。
*「アニーちゃん、マジですごいな」*
*「レイドボスと単騎で殴り合ってしかも押してるんだが……?」*
父との戦いで、私の中には風間流という名の戦闘システムが構築された。悪魔付きの動きはそれと似ている。
少しずつ、真綿で包む様に、悪魔付きの戦闘パターンを解析して、アンチパターンを構築する。
「戦いって、対話でもあるんだね」
相手の一挙手一投足から、相手がどんな考え方をして、今、何を思っているのかが伝わってくる。まぁ、今回はAIなんだけど。
「……」
戦いの中で、お互いを理解し合う。激しい攻防を繰り広げていた戦闘はやがて拮抗し、緩やかに減速していく。
「……」
やがて戦いは終わって、私は悪魔付きと向かい合う。彼は、私でもあるんだ。そう気がついた時、目の前の悪魔付きが黒い霧へと変換される。
「なっ」
その霧は私を包み込むと、やがて同化して消えていった。シュクレが詠唱加速を手に入れた時のエフェクトの色違いだ。
*「スキル、共景雲海を取得しました」*
エフェクトが消えると同時に、脳内にシステム音声が流れる。同時に、ドーム状に私たちを覆っていたコメントが一気に流れる。
*「うおーさすが暴君ー!」*
*「すげぇ! マジで1人で倒しやがった!!」*
「やったな、アニー!」
ヨイニが近づいてきて、拳を突き出す。
「いえーい!」
私はそれに応えて、拳を合わせた。
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